愛をめぐる「聖」と「俗」、ワーグナーのオペラ『タンホイザー』〜あらすじや曲を紹介〜
皆さんは「ワグネリアン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?熱烈なワーグナーファンのことで、多くの人がその魅力のとりこになってしまうほど、ワーグナーの音楽には中毒性があると言われているのです。
そんな魅惑的な音楽がたっぷりのワーグナーのオペラを見ないなんてもったいない!
ワーグナーのオペラは難解で長時間に及ぶ大作が多いため、挫折してしまう人が多いのも事実ですが、オペラ『タンホイザー』はワーグナー初心者におすすめの作品!冒頭の有名な序曲を聴けば、壮大なワーグナーの世界に自然と没入できます。
オペラ『タンホイザー』は、「精神的な愛」と「肉欲の愛」という、愛をめぐる「聖」と「俗」が物語の核になっています。このポイントを元に、オペラ『タンホイザー』を詳しくみてみましょう!
オペラ『タンホイザー』とは?
「1861年3月13日のパリ初演の告知」
出典:Wikimedia Commons
オペラ『タンホイザー』は、ドイツの大作曲家リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が32歳の時に完成、初演したオペラです。ドイツのドレスデン宮廷歌劇場で、ワーグナー本人の指揮で初演しました。
この作品は、ワーグナーの作品では異例といえるほど改訂が加えられています。
初演翌年1846年から1852年までの間に改訂した「ドレスデン版」、1861年にナポレオン3世の要請を受けてパリ・オペラ座向けに改訂したものが元となる「パリ版」などがあります。
パリ版にはバレエ場面があり、これはバレエ好みの当時のパリ聴衆の要望に応えたものでした。しかし、通常第2幕に挿入されるバレエが、オペラ『タンホイザー』では幕開け冒頭に始まったため聴衆の反感を買い、パリ公演は3日で打ち切られてしまいます。
現在は、ドレスデン版、パリ版、両者の折衷などが上演されています。
タンホイザー|Tannhäuser
「ヴァルトブルクの歌合戦の伝説」
オペラ『タンホイザー』先読みあらすじ
「1930年バイロイト音楽祭、タンホイザー最終シーン」
出典:Wikimedia Commons
中世ドイツの騎士詩人タンホイザーは、愛の女神ヴェーヌス(ビーナス)が支配するヴェーヌスベルクの洞窟で愛欲の日々を送っていました。しかし、退屈して地上に戻ります。
ヴァルトブルク城に仕える旧友の騎士詩人ヴォルフラムがタンホイザーを見つけ、かつてタンホイザーの恋人だった城主の姪エリーザベトのために戻ってくるように説得。タンホイザーはヴァルトブルク城の騎士の仲間に戻ります。
エリーザベトはタンホイザーの帰還を喜び、愛を伝えます。エリーザベトをひそかに愛していたヴォルフラムは、彼女への恋を諦めます。
騎士たちによる歌合戦の開催が決まり、勝者はエリーザベトと縁を結ぶことが許されます。他の騎士が保守的に清らかな愛を歌うのに対し、タンホイザーは官能の愛を歌い上げ、ついにはヴェーヌスベルクでの滞在を告白してしまいます。
騎士たちはタンホイザーに剣を向け、エリーザベトが彼の命乞いをします。タンホイザーは罪を清めるため、ローマへ巡礼の旅に出ます。
やがて帰還したタンホイザーは、ローマで罪が許されなかったと告白。自棄になりヴェーヌスベルクに戻ろうとしました。
ヴェーヌスが迎えに現れた時、ヴォルフラムが「エリーザベト」の名を叫ぶとヴェーヌスは消え去ります。エリーザベトは自らの命と引き換えにタンホイザーの許しを願って亡くなっていて、その葬列が現れます。タンホイザーはエリーザベトの棺の前で息絶えます。
ローマからの巡礼者たちが、奇跡の証拠を手にして現れ、タンホイザーの罪が許されたことを告げます。人々は神の恩寵をたたえます。
オペラ『タンホイザー』の登場人物
主人公、ヴァルトブルク城を離れヴェーヌスベルクに滞在していた
タンホイザーの旧友
タンホイザーの旧友
タンホイザーの旧友
タンホイザーの旧友
タンホイザーの旧友
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ヘルマン1世の姪
ヴァルトブルク城主
ヴェーヌスベルクの愛の女神
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