ジェノヴァが舞台の大河ドラマ、ヴェルディのオペラ『シモン・ボッカネグラ』
イタリア・オペラの巨匠ヴェルディのオペラ『シモン・ボッカネグラ』は、ジェノヴァが舞台の歴史大河ドラマ。美しい地中海の大海原を背景に、壮大な歴史絵巻が広がります。
『シモン・ボッカネグラ』は初めて見ても十分に楽しめる内容ですが、さらにオペラを楽しむために、ストーリーの基になっているジェノヴァの歴史についてもご紹介します!
オペラ『シモン・ボッカネグラ』は直近では、11月15日(水)~11月26日(日)の5日間に、新国立劇場オペラの公演が予定されています。
1.オペラ『シモン・ボッカネグラ』とは?~格調高い歴史悲劇~
ジェノヴァのサン・ジョルジョ宮殿の壁画に描かれたシモン像 出典:Wikimedia Commons
シモン・ボッカネグラ(?-1363)は、ジェノヴァ共和国の1339年9月23日の選挙で初代総督に就任した、歴史上実在の人物。このオペラはジェノヴァが舞台の歴史悲劇なのです。(詳しくは7.1.ジェノヴァの歴史とシモン・ボッカネグラを参照)
オペラ『シモン・ボッカネグラ』はヴェルディ20作目のオペラで、現在は改訂版で上演することがほとんどです。初演版から24年を経た改訂版『シモン・ボッカネグラ』はヴェルディ68歳、まさに晩年の傑作!格調高い音楽とストーリーが心に染み入る、深みのあるオペラです。
1.1 オペラ『シモン・ボッカネグラ』基本情報
邦題|原題 シモン・ボッカネグラ|Simon Boccanegra
原作:アントニオ・ガルシア・グティエレスの戯曲『シモン・ボッカネグラ』(1843年)
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ(初演版)、アッリーゴ・ボーイト(改訂版)
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
初演:1857年3月12日、ヴェネチア・フェニーチェ歌劇場(初演版)
1881年3月21日、ミラノ・スカラ座(改訂版)
構成:全3幕
上演時間:約2時間
1.2 オペラ『シモン・ボッカネグラ』先読みあらすじ
オペラ『シモン・ボッカネグラ』改訂版初版台本の表紙 出典:Wikimedia Commons
14世紀中期のジェノヴァは、貴族派と平民派が対立。平民派の野心家パオロが推薦する総督候補のシモン・ボッカネグラは、対立派貴族フィエスコの娘マリアと恋仲になっていました。2人の間に娘が生まれ、激怒したフィエスコはマリアを幽閉。シモンはフィエスコに和解を求めますが、行方不明の女児の引き渡しを要求され決裂します。幽閉中にマリアは亡くなり、シモンは総督に選ばれたその日に彼女の死を知ります。
25年後、シモンの娘アメーリアは貴族派グリマルディ家の養女として、アンドレーアと名を変えたフィエスコに育てられていました。彼女にはガブリエーレという、貴族派の恋人がいました。アメーリアに出会ったシモンは、彼女が実の娘だと知ります。アメーリアの財産を狙うパオロ。パオロはアメーリアとの結婚をシモンに拒否され、腹いせに彼女を誘拐します。
誘拐犯はシモンだと思い込んだガブリエーレとアンドレーアは議会に乱入。シモンに襲いかかります。そこに、誘拐から逃れたアメーリアが止めに入ります。
ガブリエーレは、シモン暗殺をそそのかすパオロの策略にかかります。さらにパオロはシモンの水差しに毒を仕掛け、シモンはその水を飲んで眠り込んでしまいました。襲いかかるガブリエーレ。アメーリアが制止し、シモンが彼女の実の父であると知ると、ガブリエーレはシモンに忠誠を誓います。
パオロは反逆罪で処刑。釈放されたアンドレーアは、自分がフィエスコであることを明かします。アメーリアこそ孫娘であるとシモンが告げると、2人はついに和解。毒が回ったシモンはガブリエーレを次期総督に指名し、アメーリアの腕の中で息絶えます。
2.オペラ『シモン・ボッカネグラ』の登場人物
シモン・ボッカネグラ|バリトン
ジェノヴァ共和国の初代総督。
アメーリア|ソプラノ
シモンの娘マリア・ボッカネグラ、グリマルディ家の養女。
ヤーコポ・フィエスコ|バス
シモンの政敵、後にアンドレーアとしてアメーリアを養育。
ガブリエーレ・アドルノ|テノール
アメーリアの恋人、貴族派の青年。
パオロ・アルビアーニ|バリトン
シモンの廷臣。
他
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