ニュース:「ジョージア国立バレエ」来日公演記者会見2024年7月22日(月)

12月に『くるみ割り人形』公演で来日するジョージア国立バレエ。それに先駆け、芸術監督のニーナ・アナニアシヴィリとプリンシパルのニノ・サマダシヴィリが記者会見を行った。

©Khatia Jijeishvili

ジョージアの宝、アナニアシヴィリ率いるジョージア国立バレエが12年ぶり、12月に来日

芸術監督のニーナ・アナニアシヴィリ

世界的に絶大なる人気を誇る名プリマ、ニーナ・アナニアシヴィリが祖国のジョージア国立バレエの芸術監督になったのは2004年のこと。ジョージア国立トリビシ・バレエ学校の芸術監督も兼任し、ジョージアのバレエの発展に寄与している。アナニアシヴィリが芸術監督になってからは、ワールドツアーを行い、国際的なバレエフェスティバルも開催している。さらに、レパートリーも古典作品のみならずジョージア出身のバランシン、チャブキアーニらの現代作品を取り入れ、ダンサーの育成と共にバレエ団のレベルアップも目覚ましい。日本人ダンサーも複数在籍しており、人口370万人の小国のバレエ団が世界中の注目を集める存在にまで成長した。「20年かけて手がけてきた仕事の結果を見ることができるのをうれしく思っています」とアナニアシヴィリは満足げに語った。

当日、ジョージア駐日大使であるティムラズ・レジャバ氏も登壇。大使は中学生時代に日本に滞在し、来日していたニーナのパフォーマンスを見た経験がある。「自国のバレリーナを通じてバレエを知ることができたのは幸せ」と思い出を語った。また、アナニアシヴィリのことを「日本には人間国宝があるが、ニーナ・アナニアシヴィリは私たちにとっての“人間国宝”である」と称賛した。「上司にあたる大臣や大統領と会話する時よりアナニアシヴィリと話すのは緊張する」とも。

ジョージアの魅力が詰まった『くるみ割り人形』

プリンシパルのニノ・サマダシヴィリ

12月に日本初演されるアレクセイ・ファジェーチェフとアナニアシヴィリの振付・演出による『くるみ割り人形』は、ジョージアの趣が散りばめられたユニークな作品だそう。ジョージアの首都、トリビシの医師の家庭が舞台となっている。最初にジョージア風の民族舞踊が披露される。見どころは舞台美術で、背景画をジョージアの高名なアーティスト、デヴィッド・ポピアシヴィリが手描きで描いている。子どもをおとぎ話へと誘ってくれるような作品になっているとのこと。

プリンシパルのニノ・サマダシヴィリは、この作品ではこんぺい糖の精の踊りが好きだそうで、「正確さが求められるので注意を払っている」と言うとすかさずアナニアシヴィリから「難しい」と付け加えた。

『くるみ割り人形』の作曲者、チャイコフスキーについてアナニアシヴィリは「彼はトリビシを愛していました。オペラハスの近くで暮らし、オペラ『マゼッパ』も作曲しています」とエピソードを語った。

ジョージアの魅力を知ってほしいという思い

左からニノ・サマダシヴィリ、ニーナ・アナニアシヴィリ、ジョージア駐日大使ティムラズ・レジャバ 提供:光藍社

ジョージア国立バレエの将来に関しては、「私の名前から独立することです。『ジョージア国立バレエ』という名前だけになること、それが私のミッションであり、願いです」とアナニアシヴィリは語った。バレエ団の特色を尋ねられたサマダシヴィリは「アナニアシヴィリが芸術監督であること」と答えたように、あのアナニアシヴィリ率いるジョージア国立バレエ、という認識から早く脱却し、「ジョージア国立バレエ」という名前だけで認識され評価されることがこれからのカンパニーの目標ということなのだ。

大使がジョージアの特徴として「精神力の強さ」を挙げていた。国土も狭く人口も少ない小国でありながら、オリンピックのメダリストが多いことや芸術家を輩出していること、映画産業が盛んであることを述べ、「精神力の強さ」があらゆる面で、成果を残していると説明した。そして「世界中の人々がジョージアという国を知ってくれるようになることを期待している」と語った。

大使と共に、変わらぬ輝く笑顔でチャーミングに話す偉大な芸術家、アナニアシヴィリも祖国愛に溢れ、ジョージアが豊かな芸術の歴史を有していることをもっと世界中の人々に知ってほしいという思いを持っていることが感じられた。

なお、ニノ・サマダシヴィリは7月〜8月に行われる「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」「バレエの妖精とプリンセス」公演に出演する。

親子で楽しむ夏休みバレエまつり

ヨーロッパ名門バレエ団のソリストたち
8月3日(土) 17:00開演
8月4日(日) 15:30開演
4歳から入場可能
上演時間:約2時間(休憩含む)
★演奏は特別録音音源を使用
★出演者、演目は変更の可能性あり
★こどもチケットで入場の場合は、年齢確認の場合あり
会場:東京国際フォーラムC
料金:全席指定 一般8,000円 こども(小学生以下)5,000円

7月26日(金)~8月12日(月)全国にて(全17公演)
バレエの妖精とプリンセス
ヨーロッパ名門バレエ団のソリストたち

会場:ベイシア文化ホール、長野市芸術館、愛知県芸術劇場、NHK大阪ホールほか
4歳から入場可能
上演時間:約2時間(休憩含む)
★演奏は特別録音音源を使用
★出演者、演目は変更の可能性あり
★こどもチケットで入場の場合は、年齢確認の場合あり
料金:全席指定 一般8,000円 こども(小学生以下)5,000円

詳しくは:『親子で楽しむバレエ公演2024年7月~8月』

ジョージア国立バレエ
『くるみ割り人形』
公演:2024年12月5日~27日
会場:東京文化会館、大宮ソニックシティ、神奈川県民ホール、東京エレクトロンホール、宮城大ホール他
チケット料金:15,000円~5,000円(子供無料チケットあり)

詳しくは:光藍社

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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