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プレビュー 英国ロイヤル・バレエ団『ロイヤル・セレブレーション』6月24(土)~25日(日)『ロミオとジュリエット』6月28日(水)〜7月2日(日)


英国ロイヤル・バレエ団 『ロイヤル・セレブレーション』
『ロミオとジュリエット』

Photo by Alice Pennefather / ROH

最新のプログラムと代表作を引っ提げ
4年ぶり、世界のトップ・カンパニーの引越公演

待望の来日、魅力的なプログラム

英国ロイヤル・バレエ団はバレエ・カンパニーとしては世界最高位の一つであり、世界中から優秀なダンサーが集まります。現新国立劇場バレエ団の舞踊芸術監督である吉田都、そしてKバレエカンパニーの芸術監督である熊川哲也もプリンシパルとして活躍していました。

演劇性が高く、素晴らしいオリジナルのレパートリーが多数あり、その動向には常に世界中が注視しています。彼らが4年ぶりに大規模なカンパニーの引越公演を行います。

現在、このカンパニーにはプリンシパルが20名も在籍しており、とても充実しています。昨年日本で行われたガラ公演には来日しなかったマシュー・ボール、ワディム・ムンタギロフ、ナターリヤ・オシポワといった日本で人気の高いダンサーも今回出演します。

そしてプリンシパルとして在籍している平野亮一、高田茜、金子扶生という三名の日本人ダンサーも主役を踊ります。彼ら以外にもアクリ瑠嘉、佐々木万璃子ら、注目の日本人ダンサーたちも来日しステージに立ちます。日本人ダンサーでありながら日本では滅多に見ることのできない彼らのパフォーマンスを経験できる貴重な機会でもあります。

注目の新作を含む 『ロイヤル・セレブレーション』

Photo by Tristram Kenton / ROH

来日前半に上演される『ロイヤル・セレブレーション』では、4つの小品が上演されます。

英国ロイヤル・オペラ・ハウスのファン組織である「フレンズ・オブ・コヴェント・ガーデン」の60周年を祝うガラ公演が昨年行われました。その様子は英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2022/23で昨年、日本でもスクリーンで見ることができました。

そこで上演された『FOR FOUR』と『プリマ』が日本初演されます。英国ロイヤル・バレエ団の最新作ということで期待が高まります。英国ロイヤル・バレエ団のアーティスティック・アソシエイトであるクリストファー・ウィールドンが振り付けた『FOR FOUR』は、2006年「Kings of the Dance」公演で初演されたもので男性4人が出演します。

英国ロイヤルでの初演のキャスト以外にもう1キャスト組まれています。ここに活躍目覚ましいアクリ瑠嘉が登場します。対して女性4名で踊られるのが『プリマ』。こちらも2キャスト組まれています。初演時に美しい衣裳と共に注目を集めた金子扶生らによって踊られます。もうひと組のキャストの方では昨年のガラ公演にも来日し健闘した佐々木万璃子、そして佐々木須弥奈が抜擢されて出演します。

また「フレンズ・オブ・コヴェント・ガーデン」でも踊られたジョージ・バランシン振付『ジュエルズ』から「ダイヤモンド」を上演、3キャスト組まれています。チャイコフスキーの音楽に乗せて、端正で華やかなステージが繰り広げられます。

今回の「ロイヤル・セレブレーション」公演でさらに嬉しいのは、『田園の出来事』が上演されることです。振り付けたのはフレデリック・アシュトン。

アシュトンは英国ロイヤル・バレエ団をトップクラスのカンパニーにまで育てた振付家で、意地悪な姉を男性ダンサーが演じる『シンデレラ』、『リーズの結婚』、『二羽の鳩』、『マルグリットとアルマン』など傑作を多数生み出しました。

『田園の出来事』はツルゲーネフの戯曲をもとにした1幕ものの作品で、ロシアの田舎にある別荘の居間で繰り広げられる上流階級の一見平穏な様子が描かれます。節度ある人々の振る舞いに隠された感情の交流がショパンの曲に乗せて表現されます。静かな緊張感が張り詰めた、ダンスによる芝居と言ってもよく、大人が楽しめる作品です。

バレエの『ロミオとジュリエット』を経験したいなら
この機会を逃さぬよう

Photo by Alice Pennefather / ROH

 全幕作品として用意されているのはこのカンパニーを代表するケネス・マクミラン振付『ロミオとジュリエット』です。マクミランはアシュトンとならび英国ロイヤル・バレエ団のために多数の作品を振り付けました。『ロミオとジュリエット』のほかに『マノン』、『マイヤリング』、『アナスタシア』等、現在のバレエシーンで最も人気のあるドラマティック・バレエの名手です。

 14世紀、イタリアのヴェローナでは二つの名家、モンタギュー家とキャピュレット家が対立しており、モンタギュー家に生まれたロミオとキャピュレット家の令嬢ジュリエットが出会い秘密の結婚をするものの、二人は死んでしまうという悲劇です。

マクミラン版『ロミオとジュリエット』はそれぞれのシーンをルネサンス期イタリアの名家を象徴する豪華絢爛な舞台と衣裳で、さらにプロコフィエフの音楽も効果的に使用して実に印象的に表現します。舞踏会での出会いのシーン、バルコニーのシーン、秘密の結婚式、マキューシオの死、そして最後のお墓でのシーンなど、一度見ると強烈に脳裏に刻みこまれるそのパフォーマンスはドラマティック・バレエの魅力の結晶であり、バレエでしか味わえない感動が得られるのです。

もしもバレエでの『ロミオとジュリエット』を見たことがなく一度鑑賞してみたいと思っているのだとしたら、今回の機会を逃さないでいただきたいです。

これほどの大規模なグランド・バレエを7公演、しかも主演はすべて異なるキャストで上演するというカンパニーから、彼らの底力、そして自信を感じます。

4年待ち続けたかいのある素晴らしい作品、キャストで2023年の来日公演がとうとう実現します。


『ロイヤル・セレブレーション』

6月24日(土)〜25日(日)(3公演)
会場:東京文化会館

開演:
6月
24日(土)13時、18時
25日(日)13時

『ロミオとジュリエット』
6月28日(水)〜7月2日(日)(7公演)
会場:東京文化会館
開演:
6月
28日(水)18時30分
29日(木)13時30分、18時30分
30日(金)18時30分
7月
1日(土)13時、18時
2日(日)13時

★ チケット料金
26,000円〜9,000円

詳しくは:NBS


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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