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プレビュー:オーストラリア・バレエ団『ドン・キホーテ』5月30日(金)〜6月1日(日) 東京文化会館

15年ぶりの来日
デヴィッド・ホールバーグ率いるオーストラリア・バレエ団


芸術監督ホールバーグ


オーストラリア・バレエ団は1962年に、英国ロイヤル・バレエ団創設者ニネット・ド・ヴァロワの推薦を受けたペギー・ヴァン・プラーグによって設立されました。オーストラリア・バレエ団の『白鳥の湖』は、英国王室をモチーフにして、新婦オデットとジークフリート王子、王子の愛人であるロットバルト男爵夫人という3人の愛憎関係に置き換えたスタイリッシュな作品に、『くるみ割り人形』はロシア革命と第二次世界大戦を生き抜いた老バレリーナ、クララの生涯の物語となっており(どちらもグレアム・マーフィ振付)とても斬新でユニークなのです。来日公演でも、度々上演されていました。今回15年ぶりに来日が実現し、披露してくれるのはヌレエフ版の『ドン・キホーテ』です。


アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルとして世界的な名声を得ていたデヴィッド・ホールバーグがボリショイ・バレエ団にプリンシパルとして入団したのは2011年のことでした。ボリショイ・バレエ団にとって初のアメリカ人プリンシパルの誕生ということでそのニュースは世界中を駆け巡りました。彼は、パリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団など世界中のトップカンパニーにも客演をしており、その気さくな人柄、美しく品格のあるダンスで大変な人気を得ていました。と同時に広く人脈も築いていました。早くに現役を引退し、交流のあったオーストラリア・バレエ団の芸術監督になったのは2021年のこと。これもまた大変な話題となりました。世界トップクラスのカンパニーであるオーストラリア・バレエですが、ホールバーグはさらなるレベルアップを目指し、精力的に活動を続けています。今回、ホールバーグ体制になって初めての待望の来日となります。2023年、カンパニーの60周年記念シーズンの幕開け公演として彼が選んだ作品が今回のヌレエフ版『ドン・キホーテ』なのです。

ヌレエフ版『ドン・キホーテ』


ルドルフ・ヌレエフ(1938-1993)は1961年、キーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)の団員としてパリ公演に参加した際、帰国する直前、空港で亡命しました。以後、西側のカンパニーに客演を続け、オーストラリア・バレエにも出演していました。その縁で1970年に『ドン・キホーテ』を提供し、1973年にヌレエフ主演で映像化されました。

ヌレエフは1983年にパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任します。ここでさまざまな古典作品を新制作し、それらはヌレエフ版としてパリ・オペラ座バレエ団のレパートリーとなりました。特徴として難易度が高い、特に男性ダンサーに求められる技量が高いことが挙げられます。当時在籍していたエトワールたちは「ヌレエフの子ども」と呼ばれ華々しい活躍をしていました。一世を風靡した稀代のプリマ・ドンナ、シルヴィ・ギエムもヌレエフからエトワールに任命された「ヌレエフの子ども」の一人です。オーストラリア・バレエ団の60周年のオープニングでヌレエフ版『ドン・キホーテ』を上演する際、完全に現役を引退していたギエムにホールバーグは主要キャストの指導をお願いします。ギエムは引き受け指導したのでした。このことも大変な話題となりました。


全4公演ありますが、プリンシパルの近藤亜香が2公演でキトリを演じます。全幕作品を日本で見る今回の彼女の出演は大変貴重です。

舞台上のダンサー全員が底抜けに明るく楽しい、そして超絶技巧が次々繰り出される圧巻のパフォーマンスをどうぞお見逃しなく。
画像:©photo: Rainee Lantry


オーストラリア・バレエ団『ドン・キホーテ』5月30日(金)〜6月1日(日)

開演
5月30日(金) 18:30
31日(土) 12:30/18:30
6月1日(日) 12:00

会場: 東京文化会館

チケット料金:2,4000〜9,000円 

詳しくは:NBS

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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