プレビュー:新国立劇場オペラ「ドン・ジョヴァンニ」3/5〜3/12 新国立劇場オペラパレス

ヴェネツィアを舞台にしたスタイリッシュな舞台に注目

ストーリーに没入できる

稀代の色男、ドン・ファンを描いた『ドン・ジョヴァンニ』はテンポよくストーリーが展開し、クライマックスの「地獄落ち」まで集中が途切れることなく没入できる傑作です。
また、登場人物の多いオペラ作品としては相関関係が比較的わかりやすいので、それぞれの関係性に着目するのも鑑賞の楽しみの一つと言えるでしょう。
例えば、ドン・ジョヴァンニとレポレッロ、二人は主従関係にありますが、バディ感を感じさせる演出もあります。あるいはドンナ・アンナとドン・オッターヴィオ、二人は婚約していますが、果たして二人は本当に結婚を控えた最も幸せな二人なのか。ドン・オッターヴィオが直情的、あるいは品が良くておっとりと描かれたりしますがいずれにしろドンナ・アンナは彼に物足りなさを感じているのでは、と思われる。あるいはツェルリーナ、彼女は結構計算高いのではないか、エルヴィーラは元々の性格はいいのでは? などなど登場人物それぞれ、キャラクターを深掘りしたくなる魅力があります。それはやはりモーツァルトの音楽が素晴らしいから。有名なアリアももちろんあるのですが、音楽全部が素晴らしくてアリアもそこにだけ耳が集中するのでなく物語の流れの一部に溶け込んでいます。
そして、全く改心することなく最後までふてぶてしいドン・ジョヴァンニ。石像(父親の幽霊)によって地獄へ連れていかれます。このデモーニッシュで劇的なクライマックスが最大の見どころ。楽しみです。
物語はヴェネツィアで繰り広げられる

演出のグリシャ・アサガロフは、主人公のスペインのドン・ファンをカサノヴァになぞらえて、舞台をイタリアのヴェネツィアに設定しています。ドン・ファンとカサノヴァはどちらも大変なプレイボーイなわけですが、微妙にタイプが異なります。両者の違いは非常に深い考察を必要としますが、ざっくりいうと、ドン・ファンは傲慢で冷徹、反抗的、女性を大事にしなくて物語としては地獄に落ちるなど教訓的な結末が多い。一方カサノヴァは、教養がありロマンティックな恋多き男で、晩年は孤独だけれど罰を受けることはない。この違いが演出に多少反映されているか確かめてみるのもおもしろいかもしれないですね。
舞台美術、衣裳、どちらもとても洗練されていて豪華で美しく、音楽にマッチしています。
そして歌手も豪華です。2021年『フィガロの結婚』でアルマヴィーヴァ伯爵を歌ったヴィート・プリアンテがドン・ジョヴァンニです。ドンナ・アンナは新国立劇場にはたびたび登場している(17年『椿姫』ヴィオレッタ、21年『ルチア』のルチア、23年『シオン・ボッカネグラ』のアメーリア)イリーナ・ルング、レポレッロは23年『ラ・ボエーム』のコッリーネを歌ったフランチェスコ・レオーネです。ドン・オッターヴィオのデイヴ・モナコ、ドンナ・エルヴィーラのサラ・コルトレツィスは新国立劇場初登場です。日本人キャストでは騎士長の田中大揮、マゼットの近藤圭、ツェルリーナの盛田麻央が登場します。指揮は飯森範親、オーケストラは東京交響楽団です。
脇役がいない、登場人物がみな魅力たっぷりのドン・ジョヴァンニ、ぜひお楽しみください。
新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」より 撮影:堀田力丸
新国立劇場オペラ「ドン・ジョヴァンニ」
公演情報
3月5日(木) 18:00
3月7日(土) 14:00
3月8日(日) 14:00
3月10日(火) 14:00
3月12日(木) 13:00 託児サービスあり
会場:新国立劇場オペラパレス
チケット料金:26,400円~1,650円
詳しくは:新国立劇場










この記事へのコメントはありません。