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プレビュー:新国立劇場オペラ『ドン・パスクワーレ』2月4日(日)~10日(土) 新国立劇場オペラパレス

2024年2月4日(日)〜10日(土)
新国立劇場オペラパレス

『ドン・パスクワーレ』

美声、歌唱を堪能
誰もが楽しめる楽しいオペラ

ベルカント・オペラの傑作

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

イタリアのベルカント・オペラの代表作の一つ、ドニゼッティ作曲『ドン・パスクワーレ』が上演されます。

ドニゼッティは、自分が作ったさまざまな曲をリライトしてこの作品に取り入れていることもありますが、このオペラをわずか2週間で書き上げました。

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

ベルカント・オペラとは、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニらの作品を中心とした19世紀に作曲されたオペラ作品のこと。

「ベルカント」はイタリア語で「美しい歌唱」という意味で、18世紀頃から発展してきたイタリアの歌唱法を「ベルカント唱法」と言います。ベルカント・オペラはこの唱法で歌われる作品で、声による表現を重視した超絶技巧の歌唱が次々と繰り広げられる、まさに純粋に美しい声と美しい旋律を楽しむことのできるオペラなのです。

あらすじはよくある話ではあるのだけれど
いろいろ深読みができる

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

ストーリーは、お金持ちの老人の財産と結婚をめぐって若いカップルがあれこれ画策する……割とよくある話です。

70歳をすぎて独身、そして裕福なドン・パスクワーレは、後継ぎである甥のエルネストを結婚させようとしますが断られてしまいます。それなら自分が結婚して子供を作りエルネストの相続権を奪おうと決めます。ドン・パスクワーレが結婚を決めた相手、ノリーナは実はエルネストの恋人。ドン・パスクワーレがかわいらしく楚々とした乙女のノリーナに自分の財産の相続権を与えるや否や、ノリーナは強気で高飛車な女性に豹変します。あわわと仰天するドン・パスクワーレ、結局ノリーナとは離縁し若い恋人たちは結ばれます。

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

女性が自立することなどあり得ず男性に従うしかなかったこの時代にあって、ノリーナの豹変ぶりは大変小気味よく、見ていてワクワクします。また、とんだドタバタに巻き込まれることになり、結婚の機会を逃してしまった老人ドン・パスクワーレですが、彼の姿に悲哀さを感じつつも度量の大きさに敬意を抱いたりもします。

こういった観客を魅了するキャラクターの造形は、一流の歌手でないとできない技です。

極上の喜劇を生み出すキャストに期待

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

喜劇を成功させるのは悲劇よりも難しいとよくいわれます。

今回の公演には絶対に見逃せない歌手が揃いました。

特に主人公、ドン・パスクワーレにはバスのミケーレ・ペルトゥージが新国立劇場に初登場します。おかしみがあるものの品格や憂いのあるドン・パスクワーレに期待しましょう。ノリーナ役のラヴィニア・ビーニは世界的にブレイクしつつある期待のソプラノで彼女も新国立劇場初登場です。エルネスト役は、2019年新国立劇場の『ドン・ジョヴァンニ』のドン・オッターヴィオに出演したテノール、フアン・フランシスコ・ガテル。ドタバタの仕掛け人である医師のマラテスタ役は、バリトンの上江隼人が務めます。

ドン・パスクワーレ』2019年公演より

また、指揮のレナート・バルサドンナも新国立劇場初登場です。

素晴らしいキャストが揃い、喜劇での声の饗宴を繰り広げます。

美しいアリアも随所に散りばめられ、クスッと笑いを誘う楽しいオペラをぜひ体験しましょう。

 撮影:寺司正彦


2024年2月4日(日)〜10日(土)
新国立劇場オペラ『ドン・パスクワーレ』
会場:新国立劇場オペラパレス

開演
4日(日) 14:00 託児あり
8日(木) 14:00
10日(土) 14:00

チケット料金
29,700円〜1,650円

詳しくは:新国立劇場



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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