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プレビュー:映画 パリ・オペラ座 in シネマ2025 『眠れる森の美女』8月22日(金)~28日(木)限定公開

これからのパリ・オペラ座を期待させる
フレッシュなキャスト

©Agathe Poupeney

12年ぶりの上演
パリ・オペラ座バレエ団が誇る
ヌレエフ版のグランド・オペラ

©Agathe Poupeney

『眠れる森の美女』は三大バレエの一つとされている古典バレエの代表作ですが、規模の大きさ、登場人物がたくさんでいずれも実力が必要であるということから全幕を上演できるカンパニーは意外と少ないです。

舞台は絶対王政の時代、太陽王ルイ14世の宮廷をモデルにしたとされており、パリ・オペラ座バレエ団にとってはまさに世界の模範となるようなプロダクションが求められるわけです。かつて芸術監督を務めたルドルフ・ヌレエフはこの『眠れる森の美女』を絢爛豪華な舞台美術に加え、とんでもなく難易度の高いテクニックをふんだんに盛り込み、決定版のようなプロダクションを生み出したのでした。

ヌレエフは古典作品をいくつか再振付し、パリ・オペラ座は大切に踊り継いでいます。この『眠れる森の美女』はパリ・オペラ座で1989年に初演され、以後何度も上演されてきたのですが、なんと今回は、前回から12年も間があいての待望の上演となりました。

©Agathe Poupeney

男性の見せ場が多く、難易度の高い難しいパフォーマンスで圧倒される舞台は、今年の3月から4月にかけて、そして少し間をあけて6月から7月までも上演され、計29公演も行われたのでした。

今回の映像は、4月10日に上演されたものです。

若きエトワール
そして未来のエトワールが揃ったキャストに注目

©Agathe Poupeney

オーロラ姫には、ブルーエン・バティストーニ、デジレ王子にはギヨーム・ディオップがキャストされています。バティストーニは6月の牧阿佐美バレヱ団『ジゼル』公演、夏のガラ公演「バレエ・スプリーム」と来日が続いており、日本での人気も上昇中です。ディオップはパリ・オリンピックの開会式で強烈な印象を残し、その美しい容姿は世界中の注目を集めています。この二人がペアを組むのは初めてのこと。今回の『眠れる森の美女』公演では5回踊っています。

二人の相性は良さそうで、今後、このペアでの上演が増えるかもしれません。

今回の上映は貴重な初顔合わせを目撃することになります。

©Agathe Poupeney

さらに青い鳥には、カドリーユのシェール・ワグマンが大抜擢。プルミエール・ダンサーズのイネス・マッキントッシュのフロリナ王女と共に見応えのあるパ・ド・ドゥを披露しています。

第1幕での第2ヴァリエーションには日本人の母を持つスジェのパティントン・エリザベス・正子、第5ヴァリエーションには同じく日本人の母を持つスジェのクララ・ムーセーニュが登場します。実はこの二人、今回の公演でオーロラ姫デビューをしているのです。メキメキと実力をつけ、主役も務めた二人がヴァリエーションで登場しますのでお見逃しなきよう。

このようにこれからの活躍が注目される未来のエトワールがたくさん出演しています。

©Agathe Poupeney

コアなバレエ・ファンにこそ鑑賞していただきたいのですが、初めて『眠れる森の美女』を鑑賞するという方にもこのプロダクションはおすすめです。これほど豪華でダンサー一人ひとりに品格があり、美しい人たちが登場する舞台はそうそうありません。ぜひ映画館でお楽しみください。


パリ・オペラ座 in シネマ 2025
バレエ『眠れる森の美女』8/22(金)~8/28(木)TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開 
開演:各劇場による
チケット料金:一般・シニア 3,700円 学生・小人 2,500円

詳しくは:東宝東和

扉画像©Natalia Voronova

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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