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プレビュー:東京バレエ団60周年祝祭ガラ「ダイヤモンド・セレブレーション」8月31日(土)、9月1日(日) NHKホール

多彩なレパートリーを持つ
ビッグ・カンパニーの実力を披露

日本ではこのカンパニーでしか見ることのできない作品ばかり


2015年に斎藤友佳理が芸術監督に就任してから、三大古典バレエ作品、ブルメイステル版『白鳥の湖』の初演、『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』の新制作の初演というチャレンジを成功させ、なおかつ勅使川原三郎振付の『雲のなごり』、金森穣振付『かぐや姫』を委嘱し世界初演を成し遂げています。常に前向きに活動を展開している東京バレエ団、実は創立60周年を迎える日本を代表する歴史あるバレエ団なのです。

『エチュード』                『バクチIII』       photo: Kiyonori Hasegawa

「世界に通用するバレエ団」を目指し、1964年に設立され、コンセプト通り海外公演を続け、20世紀を代表する振付家との交流も密で、古典にとどまらずオリジナルな現代作品もレパートリーにもつ、日本で唯一のカンパニーと言えるでしょう。

60周年記念事業として、日本ではこのカンパニーでしか見ることのできない作品を集めたガラ公演が行われます。

上演するのはカンパニーにゆかりのある
錚々たる振付家の作品

『ボレロ』 photo: Shoko Matsuhashi

6作品用意された上演作品のうち2日間で上演されるのは5作品。ハロルド・ランダー振付の『エチュード』は10年ぶりの再演となります。日常のレッスン風景から始まるこの作品は、次第に高い技術力を必要とする踊りに変化していく構成の面白さが特徴です。正確で確かなバレエのテクニックを披露され華やかさも楽しめます。

『スプリング・アンド・フォール』photo: Shoko Matsuhashi

東京バレエ団にはモーリス・ベジャールが振り付けた『仮名手本忠臣蔵』がベースになっている『ザ・カブキ』、三島由紀夫をモチーフにした『M』という作品をレパートリーに持っています。海外公演でも高い関心を集め評価を得ている大事なレパートリーです。カンパニーと強い繋がりのあるベジャール作品から『ボレロ』と『バクチIII』(9/1のみ)を上演します。『ボレロ』は許可を得た者しか踊ることのできない作品で、ゲスト・プリンシパルである上野水香が踊ります。上野は「HOPE JAPAN」という東日本大震災からの復興を掲げて被災地を回るツアーを行い、機会があるごとに踊り続けています。神聖で儀式的な雰囲気のこの作品、ラヴェルの『ボレロ』という稀有な音楽のおかげでたいへん気持ちが高揚し、ライブで体験できるのはとても貴重です。未経験の方はぜひ鑑賞していただきたいです。

『かぐや姫』 photo: Shoko Matsuhashi

『バクチIII』はヒンドゥー教がテーマで、インドの思想、文化に多大な影響を受けたベジャールが表面的なエキゾティズムにとどまらない、印象的な作品を作りあげました。3部構成からなるこの作品の3つ目が上演されます。

さらにイリ・キリアン、ジョン・ノイマイヤーと20世紀を代表する振付家の作品、それぞれ『ドリームタイム』と『スプリング・アンド・フォール』よりパ・ド・ドゥが踊られます。東京バレエ団が大切に踊り続けているレパートリーです。

『ドリーム・タイム』 photo: Kiyonori Hasegawa

そして昨年、全幕初演が行われ大成功を収めた金森穣振付『かぐや姫』よりパ・ド・ドゥが披露されます。全幕ものの新しいバレエ作品でこれから何度も上演され、海外でも上演されていくことでしょう。ドビュッシーの音楽で踊られる美しいパ・ド・ドゥは見逃せません。

カンパニーの成熟、充実さが存分に楽しめる


プリンシパルはもちろんのこと、秋元康臣もゲストに迎え、カンパニー総出演でガラ公演を盛り上げます。

「バクチIII」photo: Koujiro Yoshikawa

それぞれの個性が際立つソロももちろんすばらしいのですが、世界的評価を受けている群舞も美しく、このカンパニーはいまとても充実の時を迎えているように思えます。

日本のカンパニーがガラ公演を行うのは珍しいことです。自信に満ち、キラキラしたガラ公演を楽しみましょう。


開演
8月31日(土)15:00
9月1日(日)14:00
会場: NHKホール

チケット料金:3,000〜14,500円

詳しくは:NBS

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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