プレビュー:牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』6月29日(土)、30日(日) 文京シビックホール
主役にフレッシュな顔ぶれが揃う
待望の『ロメオとジュリエット』
12年ぶりに全幕・完全版の上演
牧阿佐美バレヱ団の『ロメオとジュリエット』はアザーリ・M・プリセツキー・牧阿佐美版です。
プリセツキーは、20世紀を代表するプリマ、マイヤ・プリセツカヤの弟です。ボリショイ・バレエ団で踊ったのち、キューバ国立バレエに移籍、振付もはじめ、ローラン・プティのいるマルセイユ・バレエ団でメートル・ド・バレエとレペティトゥールとして、またモーリス・ベジャールの20世紀バレエ団のメートル・ド・バレエとして活躍し、さまざまな国際バレエコンクールの審査員も務めており、20世紀のバレエ界にとって重要な人物です。
牧阿佐美バレヱ団には1989年から、演出・振付を行っています。その作品には『ロメオとジュリエット』のほかに、『ドン・キホーテ』、マーラーの交響曲第5番を使用した『カント・ビタル(生命の歌)』『椿姫』があります。また『白鳥の湖』の振付指導も行っています。
饒舌なプロコフィエフの音楽にのせ、絢爛豪華な舞踏会や激しい剣闘シーン(牧阿佐美バレヱ団はレパートリーである『三銃士』でも剣闘シーンがたっぷりあり、この作品でも剣闘は必見です)、そしてバルコニー・シーンも含め、見どころ満載なこの作品を美しく気高いバレエとして披露します。
キャストに注目
今回ロメオとジュリエットは2キャストが組まれています。米澤真弓&清瀧千晴と米永百花&近藤悠歩です。清瀧以外は初役です。ファーストアーティストである近藤は大抜擢ですね、期待が高まります。そしてこの作品は、男性ダンサーが活躍することも楽しみです。マーキュシオに大川航矢、パリスに石田亮一、ベンヴォーリオに坂爪智来と濱田雄冴、ティボルトに正木龍之介と米倉太陽というラインナップ。カンパニーを支える頼もしい男性ダンサーの活躍に期待しましょう。
アレクサンドル・ワシリエフが手がけた美術・衣裳にもぜひ注目を
美術・衣裳はアレクサンドル・ワシリエフが手がけています。彼はロシア出身でモスクワ演劇芸術劇場で美術を担当したのち、パリに活動拠点を移し世界中の名だたる劇場、また映画でも舞台装置、衣裳を制作しています。彼はまた、服飾史家、衣裳コレクターとしても知られています。2009年には多摩美術大学美術館で「革命とファッション─亡命ロシア、美の血脈」という展覧会が開かれ、ドレス、バッグ、靴等、彼の貴重なコレクション約200点が展示されました。亡命ロシア人が世界のファッションに与えた影響を日本に初めて紹介したのでした。牧阿佐美バレヱ団のレパートリーの中では、今作以外には『三銃士』『椿姫』でも彼が美術・衣裳を担当しています。1点1点、繊細で手のこんだ装飾が施された美しい衣裳にもご注目ください。
日本を代表する歴史あるカンパニーだからこそ実現できる、由緒正しい『ロメオとジュリエット』、お見逃しなく。
牧阿佐美バレエ団『ロミオとジュリエット』
2024年6月29日(土)、30日(日) 15:00
会場: 文京シビックホール
チケット料金:13,000円~4,000円
詳しくは:牧阿佐美バレヱ団
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