プレビュー:2022年12月9日(金) ,11日(日)北とぴあ国際音楽祭2022『アルミード』/北とぴあさくらホール
北とぴあ国際音楽祭2022『アルミード』
12月9日(金)、11日(日) 北とぴあさくらホール
ついにフランス・バロック・オペラの傑作『アルミード』上演
北とぴあ国際音楽祭
メイン会場となる北とぴあのホール
左:さくらホール| 右:つつじホール
東京都北区にある複合文化施設・北とぴあ、ここのホールをメイン会場にして1995年より「北とぴあ国際音楽祭」が開催されています。特に日本での上演の機会の少ないバロック・オペラを継続して取り上げていることで注目されています。
※バロック・オペラ…17~18世紀半ば頃までのバロック時代に作曲されたオペラ作品。限られた楽器による演奏、また楽譜での装飾指示の少なさから演奏者に委ねられる部分が多く、それぞれの歌手による超絶技巧、即興的要素は非常に聴きごたえがある。
2007年のモンテヴェルディの『オルフェーオ』では、観世流シテ方能楽師、野村四郎と能プロデューサー、笠井賢一による能の様式と採り入れた演出、モンテヴェルディが指定した楽器をほぼ揃えて上演しました。他にも2008年ハイドン『騎士オルランド』を粟國淳演出で上演。2009年グルックのオペラ・コミック『思いがけないめぐり会い、またはメッカの巡礼』を飯塚励生演出で上演。2018年モンテヴェルディ『ウリッセの帰還』を小野寺修二がオペラ初演出で上演。ライヴ録音がCDとして発売された公演もあり、とても意欲的な活動を続けています。
今年は2度の延期を経て、いよいよリュリの『アルミード』をセミ・ステージ形式で上演します。
バロック・オペラの楽しみ
リュリといえばフランス・バロックオペラの様式を確立した作曲家。リュリの生涯を描いた『王は踊る』(2000年)という映画からもわかるとおり、リュリは、イタリア人であるもののルイ14世のフランス宮廷で宮廷楽長の地位を得て、ルイ14世の寵臣として絶大な権力を手に入れた大作曲家です。
ジャン=バティスト・リュリ|リュリ作曲『王の夜のバレ』に出演するルイ14世のコスチュームデザイン画
出典:Wikimedia Commons
この時代、特にフランスのオペラには必ずダンスが盛り込まれていました。今回上演される『アルミード』にもたっぷりダンスシーンがあります。ここで踊られるのはバロック・ダンス。バロック時代の宮廷で踊られていたダンスが楽しめます。
『アルミード』はヘンデルの『リナルド』と同じストーリーです。主人公がアルミードなので魔女アルミードを中心に物語が展開していきます。
オペラ『リナルド』の原作、叙事詩『オデュッセイア』に登場する魔女キルケー
出典:Wikimedia Commons
北とぴあ国際音楽祭のキーパーソン
寺神戸亮©︎Tadahiko Nagata
北とぴあ国際音楽祭を語る上で重要なキーパーソンは寺神戸亮です。ヴァイオリ二スト、指揮者である寺神戸は、バロック・ヴァイオリンの第一人者。ベルギー在住で、ソリストの活動だけでなく、多くのオーケストラ、古楽アンサンブルのコンサートマスターを務めています。指揮者デビューはこの音楽祭の第1回公演、パーセルの『ダイドーとエネアス』です。彼はこの音楽祭で生まれたレ・ボレアードという古楽オーケストラ・合唱を率いています。オリジナル楽器を使用する彼らの演奏によって、バロック・オペラ作品の魅力が一層際立つ上演が実現しているのです。
演出:ロマナ・アニエル|アルミード:クレール・ルフィリアートル
ルノー:フィリップ・タルボ|フェニス:湯川亜也子|シドニー:波多野睦美|イドラオ:与那城敬
今回、演出にバロック・ダンスや宮廷舞踊のスペシャリストであるロマナ・アニエルを迎えます。また、バロック・オペラを得意とするソプラノのクレール・ルフィリアートルが出演します。テノールのフィリップ・タルボ、メゾソプラノの湯川亜也子、同じくメゾソプラノの波多野睦美、バリトンの与那城敬も出演。素晴らしい歌手が揃いました。さらに、バロック・ダンスの名手、ピエール=フランソワ・ドレが出演、彼は振付、演出も手掛けます。ダンス陣も充実しています。
演出/振付/バロックダンス:ピエール=フランソワ・ドレ
ようやく上演が実現するリュリの『アルミード』。歌唱だけでなくバロック・ダンスも重要な役割を占めるフランス・バロックをフランスの貴族の気分で楽しみましょう。
北とぴあ国際音楽祭2022『アルミード』
2022年12月9(金)、11(日)
会場:北とぴあさくらホール
開演:9日(金)18時、11(日)14時
★ チケット料金
9日(金)3000〜8000円(25歳以下 1500〜4000円)
11日(日)4000〜9000円(25歳以下 2000〜4500円)
詳しくは:北とぴあ国際音楽祭2022
この記事へのコメントはありません。