プレビュー:2022年7月22日(金)〜24日(日)東京バレエ団『ベジャール・ガラ』東京文化会館
東京バレエ団 ベジャール作品レパートリー化40周年記念
『ベジャール・ガラ』
9年ぶりの上演『火の鳥』を含む、ベジャール4作品を体験する贅沢
モーリス・ベジャールは20世紀を代表する振付家です。今年は没後15周年にあたります。また、東京バレエ団は1982年にベジャール振付の『ボレロ』をカンパニー初演して今年で40年になります。
ベジャールと東京バレエ団には親密な交流があり、『ザ・カブキ』『M』という作品をベジャールは東京バレエ団のために作りました。
ほかにも東京バレエ団はベジャール作品をたくさんレパートリーに加えてきました。今回、その中から4作品を上演します。
『ギリシャの踊り』
『ギリシャの踊り』は「あらゆる命を生み出してきた母なる海」がテーマ。東京バレエ団が繰り返し大切に上演してきた作品で、ミキス・テオドラキスの音楽が流れた途端、地中海の風景が広がります。
『ロミオとジュリエット』
『ロミオとジュリエット』(パ・ド・ドゥ)を20世紀バレエ団(当時ベジャールが主宰したカンパニー)が初演したのは1966年でした。反戦のメッセージがこめられ、ロミオとジュリエットは憎しみを超えた愛を表現します。東京バレエ団としては初演以来、昨年38年ぶりに上演しました。嬉しいことに今年も上演されます。
『バクチIII』
『バクチIII』はベジャールがインド旅行を経て、インドの思想に影響を受け創作しました。バクチは親愛という意味で、3組の神様とその妻の踊りからなる3部構成です。今回はそのうちの第3部、破壊と再生を司るシヴァ神とシャクティの踊りです。シタール、インドの打楽器が奏でる音楽とともに、独特の雰囲気を醸し出します。
『火の鳥』
そして『火の鳥』。ストラヴィンスキーはこの曲をロシア革命直前に作曲しました。フォーキン振付版ではロシアの民話に基づくストーリーでバレエ・リュスによって上演されました。ストラヴィンスキーのこの音楽から力強い生命力、現代性を感じたベジャールは、バレエ用ではなく組曲版の『火の鳥』を使用、ストーリーはロシアの民話から離れ、レジスタンスの戦いに置き換えました。パルチザンのリーダーは倒れても、再び立ち上がる不撓の姿を描いています。
どの作品も深い思索の末に生まれ、哲学をもっているベジャール作品は、鑑賞後にいつまでも余韻が残ります。今回3公演が予定されていますが、どの日も鑑賞したくなる絶妙なキャスティングで悩ましいです。
日本でベジャール作品を鑑賞できる幸せをかみしめるとともに、ベジャール作品は永遠に生き続けることを改めて感じる機会となるでしょう。
7月22日(金)~24日(日)
会場:東京文化会館
開演:22日(金)19時|23日(土),24日(日)14時
チケット料金:3000円~13000円
詳しくは:NBS公式
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