男性が活躍するバレエ『海賊』のあらすじや演出の違いを解説!最新上演情報も紹介
5. バレエ『海賊』の見どころ・人気の場面
『海賊』は非常に見どころが多く、ガラ公演や発表会でも抜粋して踊られることが多い作品です。
『海賊』の中でも特に注目してほしい見どころや人気の場面を紹介します。
5.1
第1幕 オダリスク
第1幕 オダリスク
『海賊』第1幕で踊られる「オダリスク」は女性3人組のパ・ド・トロワです。
演出によっては、第2幕の洞窟の場面で踊られることもあります。
「アダージオ」「それぞれのバリエーション」「コーダ」の構成で、このバリエーションは、コンクールや発表会でも非常に人気があります。
▼オダリスク第1Va
▼オダリスク第2Va
▼オダリスク第3Va
5.2
第1幕 ギュリナーラとランケデムのグラン・パ・ド・ドゥ
第1幕 ギュリナーラとランケデムのグラン・パ・ド・ドゥ
第1幕の奴隷市場の場面では、奴隷市場ランケデムと売りに出されるギュリナーラのグラン・パ・ド・ドゥが踊られます。
日本では「奴隷のパ・ド・ドゥ」とも呼ばれています。
全幕作品ではギュリナーラの顔が見えないように薄いベールがかけられており、途中でベールが外されると周囲の人々がギュリナーラの美貌に驚くという場面も。
ガラ公演や発表会でも人気の場面です。ギュリナーラのバリエーションは、コンクールでも度々踊られます。
5.3
第2幕 コンラッド、メドーラ、アリのパ・ド・トロワ
第2幕 コンラッド、メドーラ、アリのパ・ド・トロワ
第2幕の洞窟で踊られるコンラッド、メドーラ、アリのパ・ド・トロワは、『海賊』の中で最も有名なシーンです。
もっとも、ガラ公演や発表会などでは、メドーラとアリのパ・ド・ドゥとして踊られることが多く、アダージオのあとのバリエーションでもアリとメドーラだけが踊ることが多いです。
メドーラのVaにはさまざまなバージョンがある
先述のとおり、バレエ『海賊』にはさまざまな作曲家の音楽が使われています。
第2幕のパ・ド・トロワ(パ・ド・ドゥ)中のメドーラのバリエーションはその傾向が特に顕著で、さまざまなバージョンがあります。
おそらく、メドーラのバリエーションとして最もメジャーなのが下記のバージョンです。
回転やパッセの連続で、メドーラの美しく気丈な姿が表現されています。
ほかにも、『ラ・バヤデール』のガムザッティのVa、『ドン・キホーテ』の森の女王のVa、『パキータ』のリシュアンのVaなどの音楽がメドーラのVaで使われています。
衣装もクラシックチュチュとジョーゼットタイプの2種類があり、『ドン・キホーテ』や『パキータ』の音楽で踊られるときはジョーゼットタイプが多いです。
5.4
第3幕 美しい「花園」の世界
第3幕 美しい「花園」の世界
第3幕のパシャの宮殿で繰り広げられる「花園」の世界は、女性ばかりの場面。まさにパシャのハーレムを表したような世界です。
美しい女性たちが花輪を手に踊ります。
中心には、メドーラとギュリナーラの姿が。2人はここでもそれぞれバリエーションを踊ります。
▼「花園」の場面で踊られるギュリナーラのVa
▼「花園」の場面で踊られるメドーラのVa(動画7:52〜)
6. 2023年5月 NBAバレエ団が『海賊』を上演予定
2023年5月20日(土)・21日(日)、NBAバレエ団が『海賊』を上演します。
2018年の初演時には、NBAバレエ団史上最大来場数を記録するほど人気だったとか。2023年は同団の30周年です。この記念の年に人気作『海賊』をパワーアップさせて再演します。
NBAバレエ団の『海賊』は、従来知られているストーリーとはやや異なります。
舞台は19世紀初頭ギリシャ。コンラッド率いる海賊たちの潜む島に、ハープの音色が響いていた。コンラッドが愛するメドーラの歌声はどこか悲しげに聞こえる。コンラッドは、オスマン軍に潜入させていたスパイからこの島への襲撃計画を聞き、仲間を率いて奇襲攻撃を仕掛けるため出発する。一方のオスマン軍の駐留地であるコロンの港街では、勝利を確信し、前祝いが開かれていた。パシャ(高級軍人の称号)のザイードは、一番のお気に入りである奴隷のギュルナーレと踊っていた。
そこへ僧侶に変装したコンラッドが近づき、ザイードの暗殺を試みる。しかしザイードはギュルナーレを盾にしたため、あと僅かのところでザイードを取り逃がしてしまう。この戦いの中救出されたギュルナーレは、修羅場をくぐり抜けてきた冷酷さと、燃えるような情熱を合わせ持っていたコンラッドの瞳に一瞬で心を奪われてしまう。しかし、彼には愛するメドーラがいることを知り、火のついてしまった自分の想いに苦悩するのであった。
夜が明け、海賊たちが救出した娘たちと共に盛り上がっていたのも束の間、オスマン軍の逆襲にあう。ザイードは海賊たちを縛り上げ、コンラッドを殺せば見逃してやると条件をつきつける。沈黙の中、ある1人の海賊が声をあげた。裏切ったのは、非情にもコンラッドが信頼するビルバントであった。苦しむコンラッドの元へ愛するメドーラが駆け寄ると、ザイードはその美しさに目を奪われて彼女を連れて去ってしまう。
やがて生死の境から目を覚ましたコンラッドは、ギュルナーレの懇願を振り切りメドーラの救出へ向かうのであった。
NBAバレエ団 https://nbaballet.org/official/the_corsair_2023/
本作では、コンラッドの恋人メドーラとギュルナーレが三角関係になるなど、従来の『海賊』とは違った人間関係となっています。
海賊たちが客席から登場するなど、演出にも工夫が凝らされています。
ぜひ、会場に足を運び、ドラマティックな世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
2023年5月20日(土),21日(日)
NBAバレエ団『海賊』
会場:所沢市民文化センターミューズ マーキーホール
開演
20日(土) 13:00/17:00
21日(日) 16:00
★ チケット料金
SS席〜B席 9,900円〜6,600円
親子ペアS席 13,200円
学生席(U25) 3,300円
詳しくは:NBAバレエ団
7. まとめ
バレエ『海賊』のストーリーや代表的な演出などを紹介しました。
ガラ公演や発表会で人気の『海賊』ですが、全幕を観る機会はあまりありません。
2023年5月20日・21日に、NBAバレエ団が『海賊』全幕を上演します。ぜひこれを機に『海賊』の全幕を鑑賞し、ドラマティックな世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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