プレビュー: ジョナサン・ノット&東京交響楽団 歌劇『サロメ』11月18日(金)ミューザ川崎シンフォニーホール/11月20日(日)サントリーホール
ジョナサン・ノット&東京交響楽団 歌劇『サロメ』
11月18日(金) ミューザ川崎シンフォニーホール/11月20日(日)サントリーホール
東京交響楽団と音楽監督のジョナサン・ノットによる新たな挑戦、コンサート形式のオペラ シュトラウス『サロメ』
モーツァルトのオペラのダ・ポンテ三部作を成功させていよいよ始まる新しいリヒャルト・シュトラウスのオペラ・シリーズ、最初に取り上げるのは、『サロメ』です。聖書を元にしたオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』をオペラ化したものです。
聖書のサロメは画家たちを魅了し続けたモチーフで、クラナッハ、ティツィアーノ、カラヴァッジオ、モローらによる名画もあります。ワイルドの戯曲の挿絵として描かれたビアズリーの、サロメがヨカナーン(洗礼者ヨハネ)の首を持っている絵をご覧になったことがある方も多いことでしょう。世紀末にワイルドが記したサロメは猟奇的で狂気を帯びており、すっかりサロメ=ファム・ファタールというイメージが定着しました。
ビアズリーの挿絵が入った英訳版が出版されたのが1894年、この独訳版が出版され、ドイツで劇として『サロメ』を見たリヒャルト・シュトラウスは、1903年から1905年にかけて『サロメ』をオペラにしたのです。
順にクラナッハ、ティツィアーノ、カラヴァッジオ、モローによるサロメの絵画。クリックで拡大
出典:Wikimedia Commons
オーブリー・ビアズリー『サロメ』挿絵
出典:Wikimedia Commons
オペラはさまざまな意味でセンセーショナルなため上演できなくなったりしたのですが、逆に聴衆の関心を惹くこととなり成功を収めました。聖書のエピソードを題材とし聖人を登場させたことや、少女であるサロメに潜む淫蕩さ、そしてなによりもシュトラウスの重厚でパッションに満ちた、でも世紀末感が漂うオーケストレーション、それらが相まって現代でも人気の高いオペラ作品として生き続けています。
サロメについてもっと詳しく知りたい方はこちら→戯曲『サロメ』オスカー・ワイルド:平野啓一郎新訳版〜オペラ『サロメ』の原作紹介〜オペラの原作#01
コンサート形式の楽しみ
演出:トーマス・アレン ©︎Sussie Ahlburg サロメ役:アスミク・グリゴリアン ©︎Algirdas Bakas
この作品は1幕もので、オペラとしては上演時間が短い方だといえるでしょう。
今回はコンサート形式で上演されます。コンサート形式とは、舞台美術がなく、歌手は衣裳を着けず、ステージ上にはオーケストラと歌手がいて、物語が進行するものです。
味気なく思われるかもしれませんが、意外にもわかりやくて「聴くこと」に集中できるのです。演奏の素晴らしさも堪能できますし、むしろ初心者におすすめしたいくらいなのです。
もちろん歌手たちは棒立ちで歌っているわけではありません。今回は名バリトン歌手であるトーマス・アレンの演出が入るので、コンサート形式ならではの演出が楽しめるに違いありません。
サロメ役は、リトアニア出身のアスミク・グリゴリアンが務めます。2018年のザルツブルク音楽祭にて、ウェルザー=メスト指揮、ウィーン・フィルによる『サロメ』でサロメを歌い、大成功を収めています。
グリゴリアンのサロメ像はどのようなものなのでしょうか。クライマックスの「七つのヴェールの踊り」はもちろん、1幕ものとはいえほとんど出ずっぱりのハードなサロメ、グリゴリアンによる最新のサロメ像に期待が高まります。その他にも今勢いのある歌手たちが揃いました。
指揮:ジョナサン・ノット ©︎K.Miura
世紀末感たっぷり、オーケストラ編成も大きくいろいろな意味で濃いこの作品、ノット&東響はどのような景色を見せてくれるのでしょう。
これだけの実力者が集結しているのに、コンサート形式だからこそのチケット料金も魅力です。そういう意味でもぜひオペラ初心者に鑑賞してほしい公演です。
歌劇「サロメ」
2022年11月18日(金)、20日(日)
会場:18日(金)ミューザ川崎シンフォニーホール
20日(日)サントリーホール
開演:18日(金)19時、20日(日)14時
★ チケット料金
18日 6000円〜15000円
20日 4000円~15000円
詳しくは ↓
ミューザ川崎シンフォニーホール/歌劇「サロメ」特設ページ
東京交響楽団/18日公演ページ
20日公演ページ
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Pick Up公演
戯曲『サロメ』オスカー・ワイルド:平野啓一郎新訳版〜オペラ『サロメ』の原作紹介〜オペラの原作#01
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