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プレビュー:新国立劇場オペラ『サロメ』2023年5月27日(土)〜6月4日(日)新国立劇場、6月11日(日)・13日(火)札幌文化芸術劇場 hitaru

2023年5月27日(土)〜6月4日(日)
新国立劇場オペラ

『サロメ』

妖艶でデカダンな香りを楽しむ『サロメ』

異色のオペラのヒロイン、サロメ

『サロメ』は新約聖書に出てくるエピソードが元になっていますが、モローの絵画やオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』が発表されると、一気に妖艶で猟奇的、世紀末的な雰囲気が増します。

左:”Salome Carrying the Head of John the Baptist on a Platter”ギュスターヴ・モロー(1876年)
右:オスカー・ワイルド『サロメ』挿絵,オーブリー・ビアズリー (1894年)


宴の夜、継父ヘロデの好色な眼差しに嫌気がさしたサロメは外に出ます。すると古井戸から声が聞こえ、衛兵隊長ナラボートに声の主、ヨハナーンを連れて来させます。ヨハナーンはサロメの母ヘロディアスと継父ヘロデを非難する言葉を吐き、サロメに対しても嫌悪感をあらわにします。

ところがなぜかサロメはヨハナーンを好きになってしまうのです。やがてヘロデ王がサロメに踊るようにいいます。どんなものでも褒美として与えると言われ、サロメは踊ります(「7つのヴェールの踊り」のシーンとして有名です。1枚ずつヴェールを剥ぎ取りながら艶かしく踊リます)。


踊ったのちにサロメが求めたのはヨハナーンの首でした。ヘロデ王はサロメに盆にのったヨハナーンの首を運ばせます。サロメはそのヨハナーンにキスをします。ヘロデ王は狼狽しサロメを殺害するよう兵士に命じます。

サロメはヨハナーンにとってのファム・ファタール(男性を誘惑して最終的に破滅させてしまう女=死をもたらす女)です。カルメンやマノンと並び、サロメはファム・ファタールの代表として有名ですね。

1幕ながら贅沢な音楽

この作品はいくつもの幕があるグランド・オペラではありませんが、ストーリーが持つ異色さ、退廃的な雰囲気、あり得ないシチュエーションなどなど非常に濃密で緊張感漂う作品です。それはオーケストラの音の厚み、色彩にも表れています。

主人公のサロメはまだ少女の設定です。幼いけれど妖艶さがあり怪しい性的魅力を放っている、そういう極端な特徴があり、ほぼ舞台に出ずっぱりで、さらに踊りも披露しなければなりません。決して調和しているわけではないさまざまな音を含む分厚い音を出し続けるオーケストラに負けぬ歌唱も求められます。難役ですが歌手にとってもチャレンジしたい魅力的なヒロインであり、人気も高いのです。

サロメ:アレックス・ペンダ|ヘロデ王:イアン・ストーレイ
ヘロディアス:ジェニファー・ラーモア|ヨハナーン:トマス・トマソン

そんなサロメ役はアレックス・ペンダが務めます。幅広いレパートリーを持つ美しいソプラノで新国立劇場初登場です。ヘロデ王にはヘルデン・テノールとして名高いイアン・ストーレイが出演します。彼も新国立劇場初登場です。

ヘロディアスにはジェニファー・ラーモアが登場。2015/16シーズンのヤナーチェク『イェヌーファ』コステルニチカ役で出演しました。ヨハナーン役はトマス・トマソンが演じます。昨年ジョナサン・ノットと東京交響楽団によるコンサート形式の『サロメ』でもヨハナーン役で出演し、サロメを断固として拒絶する毅然とした態度は迫力がありました。

濃密で豊かな100分間のオペラ体験が楽しみです。

舞台画像|新国立劇場『サロメ』2016年公演より 撮影:寺司正彦


新国立劇場オペラ
『サロメ』

2023年5月27日(土)〜6月4日(日)
会場:新国立劇場 オペラパレス

開演
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5月
27日(土) 14:00
30日(火) 14:00

6月
1日(木) 19:00
4日(日) 14:00
—————

★ チケット料金
22,000円〜3,300円

詳しくは:新国立劇場

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2023年6月11日(日)、13日(火)
会場:札幌文化芸術劇場 hitaru

開演
11日(日) 14:00
13日(火) 19:00

★ チケット料金
16,000円〜5,000円

詳しくは:札幌文化芸術劇場 hitaru


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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