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プレビュー:2024年4月27日(土),28日(日),29日(月・祝),5月3日(金・祝),4日(土・祝),5日(日・祝)新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』新国立劇場オペラパレス

2024年4月27日(土)〜5月5日(日・祝)
新国立劇場バレエ団

『ラ・バヤデール』

古代インドを舞台に禁断の恋が巻き起こす悲劇

あらすじがおもしろい

『ラ・バヤデール』は音楽がチャイコフスキーの三大バレエ『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』、そして『ドン・キホーテ』『ジゼル』と並び、古典バレエの人気作品です。頻繁に上演されるわけではありませんが、大きなバレエ団のレパートリーには必ず入っています。

おとぎ話、というには少し生々しいというか大人向けのストーリーで、それゆえ物語がダイナミックに展開していくにつれキャラクターもはっきりしていてわかりやすく、初めて鑑賞しても楽しめる作品と言えるでしょう。

古代インドの寺院が舞台で、神に仕える巫女の舞姫ニキヤと若く高名な戦士ソロルは愛し合っています。ところがソロルは、富と権力をもつ領主ラジャーの娘ガムザッティと婚約してしまいます。このニキヤ、ソロル、ガムザッティの三角関係、ヴェルディのオペラ『アイーダ』のアイーダ、ラダメス、アムネリスの関係と似ています。一人の男性をめぐる二人の女性の身分に差があること(後から登場し男性を自分のものにしてしまう女性の方が身分が高い)、男性はきちんとけじめがつけられない優柔不断なところがあること、などが共通しているのでオペラファンも実は楽しめます。

一方、ニキヤは高僧ハイ・ブラーミンに一方的に言い寄られています。ニキヤとソロルの密会を見てしまったハイ・ブラーミンはソロルとガムザッティの婚約を知り、ソロルを陥れあわよくばニキヤを自分のものにしてしまおうとラジャーにソロルとニキヤが恋仲にあることを密告します。

ハイ・ブラーミンはニキヤを殺してしまいガムザッティとソロルを結婚させるという陰謀を企てます。二人の仲を知ったガムザッティもニキヤに身を引くよう迫ります。

婚約披露宴でニキヤはソロルが贈った花かごを持ち踊ります。実はそれはラジャーが用意したものであり中に毒蛇が仕込んでありました。ニキヤは毒蛇に噛まれてしまいます。解毒剤をハイ・ブラーミンが渡すもののソロルとガムザッティの様子を見た彼女は絶望し拒絶、死んでしまいます。

 ニキヤの死にショックを受けたソロルはアヘンに溺れ、ニキヤの幻影を見て許しを請います。正気に戻った時、神の怒りを買い、寺院は崩壊してしまいます。

見どころは三角関係、陰謀を経てソロルが夢見る影の王国の美しさ

自分のせいでニキヤを失ったソロルはただ悲嘆するだけでアヘンに逃げ幻影を見ます。それが第3幕、影の王国です。

青白い舞台に白い衣裳を纏ったコール・ド・バレエが一人ずつ3段になっているスロープをゆっくりと降りてくるシーンは本当に美しく、『白鳥の湖』の夜の湖のシーンとはまた異なる幻想性に目を奪われます。第1幕、神殿でのニキヤとソロル、第2幕、婚約披露宴でのガムザッティとソロル、そして神殿の像が踊り出すブロンズの踊り、見どころはたくさんあるのですが、なんといってもこの「影の王国」は必見です。

 インドが舞台ということで衣裳や寺院など他の古典作品に比べエキゾチックな要素が特徴的でとても雰囲気が良いです。三角関係をどう描くか、ダンサーの解釈を見比べるのも楽しいですね。大人が満足できるバレエです。

画像|瀬戸秀美 


2024年4月27日(土)〜5月5日(日・祝)
新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』
会場:新国立劇場オペラパレス

開演
4月27日(土)14:00
28日(日)13:00/18:30
29日(月・祝)14:00
5月3日(金・祝)14:00
4日(土・祝)13:00/18:30
5日(日・祝)14:00

チケット料金
14,850円〜4,950円

詳しくは:新国立劇場



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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