小説『鼻』ニコライ・ゴーゴリ:〜オペラ『鼻』の原作紹介〜オペラの原作#02
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ作曲
オペラ『鼻』の原作
ニコライ・ゴーゴリ『鼻』
不条理?メトロポリタンオペラでも演じられた、ショスタコーヴィチの初オペラ作品
マーラー以降最大の交響曲作曲家として名高いショスタコーヴィチ。
若きショスタコーヴィチが初のオペラ作曲に選んだのが、彼が愛した作家ゴーゴリの作品『鼻』でした。
今回は、青年ショスタコーヴィチが熱烈に愛したゴーゴリの『鼻』を紹介します。
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
出典:Wikimedia Commons
オペラ『鼻』は、コミカルな音色とマーチのリズムが楽しく響き、ロシアの民族楽器であるバラライカやドムラを交え、漫才のような早口でのやり取りを歌うので、観客は言葉がわからずとも笑ってしまいそうになります。
メトロポリタン歌劇場(MET)では影絵によるアニメーションを用いたり、脚だけを生やした巨大な鼻の着ぐるみを着てコサックダンスを踊るなどの演出で、奇妙奇天烈な作品を、滑稽に小気味よく描いています。
メトロポリタンオペラ(演出ウィリアム・ケントリッジ)『鼻』(2013)
Bengt Nyman, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0 via Wikimedia Commons
その前衛的な音楽と、突然に顔から「鼻」が消えてしまうという奇想天外なプロットをもつこの作品は、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、近年でも新しいファンを獲得し続けています。
『鼻』ニコライ・ゴーゴリ
当時のロシア帝国ポルタワ県(現在はウクライナ中部のポルタワ州)に生まれたゴーゴリは、学業は芳しくなかったものの、演劇、詩学を愛する少年でした。
俳優を志すも挫折。下級官吏の職を得た後、執筆を続け、『鼻』『死せる魂』『外套』『ネフスキー大通り』『肖像画』『狂人日記』などの傑作を次々に発表。ロシア随一の空想力をもつ作家となりました。
『鼻』(原題:Hoc)は1836年に発表された短編小説です。
小説『鼻』の登場人物と舞台
小説『鼻』の登場人物
- イワン・ヤーコヴレヴィチ
ヴォズネセンスキー大通りに住んでいる床屋 - プラトン・コワリョフ
省参事官補佐。八等官。(ロシア軍の階級で、大尉または少佐に相当する。) - プラスコーヴィア・オーシポヴナ
ヤーコヴレヴィチの妻。 - 鼻
コワリョフの鼻。五等官。(同じく大佐に相当する)
小説『鼻』の舞台
ロシア ペテルブルグ。
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