フランス発のコミカルで庶民的なバレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』(別名『リーズの結婚』)のあらすじや見どころを解説
「初心者におすすめの楽しいバレエ作品は?」と聞かれたら、何と答えますか?
スペインが舞台の喜劇『ドン・キホーテ』や誰もが知るバレエ作品『くるみ割り人形』を挙げる人が多いでしょうか。
しかし、個人的にイチオシの「初心者におすすめの楽しいバレエ作品」は、今回ご紹介する『ラ・フィユ・マル・ガルデ』です。
日本では『リーズの結婚』という名前でも知られており、発表会やコンクールでも、よくヒロインであるリーズのVa(バリエーション、ソロの踊り)が踊られています。
『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を全幕上演するバレエ団が少ないこともあり、バレエをやっていても、ストーリーをよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は『ラ・フィユ・マル・ガルデ』のストーリーや見どころをご紹介します。バレエをやっている方も、バレエを観たことがない方も本記事をきっかけに、ぜひ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を観てみてくださいね。
1.バレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』のあらすじ
『ラ・フィユ・マル・ガルデ』の舞台は、のどかな光景が広がるフランスの田舎です。
農場の一人娘リーズと農夫のコーラスというカップルを中心に、リーズとコーラスが結婚するまでの過程が面白おかしく描かれています。
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バレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』の登場人物
バレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』の登場人物
『ラ・フィユ・マル・ガルデ』の主な登場人物をご紹介します。
- リーズ・・・農場の一人娘
- コーラス・・・リーズの恋人で若い農夫
- シモーヌ・・・リーズの母で未亡人。農場主。リーズには、裕福な農場主の息子アランと結婚してほしいと考えており、コーラスとの恋を認めていない。
- アラン・・・裕福な農場主トーマスの息子。突飛な行動をとる変わった人。
- トーマス・・・アランの父で裕福な農場主。リーズとアランの結婚を望んでいる。
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バレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』のあらすじ
バレエ『ラ・フィユ・マル・ガルデ』のあらすじ
『ラ・フィユ・マル・ガルデ』は全2幕です。
今回は『ラ・フィユ・マル・ガルデ』の演出の中でも最も有名なアシュトン版に基づいて、ストーリーを解説していきます。
【1幕】
農場の朝〜麦畑での踊り
農場に朝がやってきました。パジャマ姿のリーズは家から飛び出し、恋人のコーラスが気がつくよう、2人の合図であるピンクのリボンを木の枝に結びつけます。
そこへコーラスがやってきて、リーズとコーラスは楽しく踊りますが、コーラスとの仲に反対しているリーズの母シモーヌに邪魔をされてしまいます。
実は、今日は裕福な農場主のトーマスとその息子アランがやってくる日。リーズとの結婚を申し込みにきたのです。しかし、突飛な行動ばかりを取るアランにリーズたちはあきれてしまいます。
とりあえず、リーズたちは収穫シーズンを迎えた麦畑へ向かいました。麦畑では、農夫たちが楽しく収穫をしています。リーズとコーラスもシモーヌの目を盗んで踊るのでした。
しかし、秋晴れから一転、麦畑に嵐がやってきてアランが飛ばされるなど大荒れの天気に。皆、畑をあとにします。
【2幕】
リーズの家〜結婚へ
嵐でずぶ濡れになってしまったリーズたちは家に帰ってきます。リーズはシモーヌの目を盗んでコーラスに会いに行こうとしますが、シモーヌに見つかり、家の扉に鍵をかけられてしまいます。
シモーヌは糸巻きを始め、リーズも手伝いますが、やがてシモーヌは眠り込んでしまいます。
シモーヌが目を覚ますと、農夫たちが収穫した大きな麦の束を運んできました。農夫をねぎらうためにシモーヌは家を出て行きます。
残されたリーズがコーラスとの結婚生活を空想していると、コーラスが飛び出てきました。実は、コーラスは先ほど運ばれてきた麦の束に隠れていたのです。
2人が愛を誓い合っていると、シモーヌが戻ってきます。リーズは慌ててコーラスを自分の部屋にかくまいました。リーズの態度を怪しんだシモーヌは、先ほどコーラスを隠した部屋にリーズを閉じ込めます。
シモーヌは、リーズとアランの結婚式のために公証人を呼びに行きます。アランとトーマスもやってきて、リーズの部屋の扉を開けると、花嫁衣装を着たリーズがコーラスと手を取り合っていました。
その姿を見た公証人は「リーズとコーラスこそ結婚すべきである」と、結婚契約書を破り、シモーヌを諭します。そして、ついにシモーヌはリーズとコーラスの結婚を認め、2人は祝福されるのでした。
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