プレビュー 新国立劇場オペレッタ『こうもり』2023年12月6日(水)~12日(火)新国立劇場オペラパレス
おしゃれに華やかに一年を締めくくろう年越しのお楽しみ『こうもり』
オペラは壮大なスケールで複雑な人間模様が繰り広げられ、ドラマティックで悲劇的なテーマが多いです。一方、オペレッタは軽く洒落た雰囲気で楽しめる喜劇がほとんどです。オペレッタはドイツ語圏、あるいはフランスで上演されることが多く、『こうもり』は大晦日の年越しに上演されています。
作曲したヨハン・シュトラウスII世といえばウィンナ・ワルツの王様として広く知られていますが、実は彼はオペレッタの王様とも呼ばれているのです。
『こうもり』にもふんだんに軽快なワルツが流れ、終始心浮き立つ幸せな気持ちになれます。
大人のために作られた深読みできるユーモア、風刺、そして心の機微
銀行家のお金持ち、アイゼンシュタインとその妻ロザリンデは倦怠期の夫婦。仮装パーティでこうもりに扮装しその時に恥をかかされたとアイゼンシュタインを恨んでいるファルケ博士、アイゼンシュタイン家の小間使いアデーレ、かつてロザリンデに歌を教えており元恋人でもあるイタリア人テノール歌手のアルフレード、刑務所長フランク、オロフスキー公爵(女性が男装して歌う)らが主な登場人物です。ファルケ博士がアイゼンシュタインへの恨みを晴らそうともくろんだ謎の夜会で彼らが繰り広げるドタバタドラマが実に楽しいのです。
上流階級の夜会の華やかな雰囲気、そしてそこに集った人々の思惑……、最後にファルケ博士が「すべてはシャンパンのせい」と言ってみんなで乾杯し、めでたしめでたしで終わるというハッピーエンドは、実に大人らしい締めくくりです。自分もその夜会にいるかのようなウキウキワクワクした高揚感はたまりません。
また、音楽も極上のワルツ、ポルカが流れ、シュトラウスII世の音楽にも魅了されます。
音楽に負けない美術、衣裳
演出を手がけるのはテノールのハインツ・ツェドニク。ウィーン出身のウィーン宮廷歌手です。キャリアの中で『こうもり』は四役をレパートリーとしており、生粋のウィーンっ子であるツェドニクほどこの作品の演出に相応しい人物は他にいないでしょう。
彼の演出を生かす舞台はアール・デコ様式美術に彩られています。クリムトを彷彿とさせるデザインで、衣裳も当時のスタイルでまさに舞台上に当時のウィーン上流階級の夜会が出現します。
年末に相応しい華やぎのある、そしてひたすら楽しい『こうもり』、ぜひ体験してください。
2023年12月6日(水)~12日(火)
会場:新国立劇場 オペラパレス
開演
12月6日(水) 19:00
9日(土)14:00
10日(日)14:00
12日(火)14:00
チケット
26,400円~1,650円
詳しくは:新国立劇場
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