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プレビュー:新国立劇場オペラ『トリスタンとイゾルデ』3月14日(木)~29日(金) 新国立劇場オペラパレス

2024年3月14日(金)〜29日(金)
新国立劇場オペラ

『トリスタンとイゾルデ』

ワーグナーの最高傑作を体験するまたとないチャンス

再演が待ち望まれていた伝説のプロダクション

演出:デイヴィッド・マクヴィカー  指揮:大野和士

現在最も活躍している演出家のひとり、デイヴィッド・マクヴィカーを迎え新国立劇場で『トリスタンとイゾルデ』が2010年に上演されました。この公演は大変話題となり、チケットも完売してしまったのでした。マクヴィカー演出では、夜のとばりに月や星が象徴的に存在する美しい舞台で物語が繰り広げられます。この公演は幻のプロダクションと言われ、再演が待ち望まれていました。今シーズン、ようやく再演が叶うことになります。指揮はもちろん、芸術監督である大野和士、そして彼が音楽監督を務める東京都交響楽団が演奏します。

媚薬が導く許されざる恋究極の恋愛ドラマ

新国立劇場『トリスタンとイゾルデ』2010年公演より

『トリスタンとイゾルデ』はワーグナー自身が台本を書いています。ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクの叙事詩『トリスタンとイゾルデ』を参考にしていますが、もともと「トリスタン伝説」はケルトを起源としヨーロッパ各地にあり、詩人たちが語り継いだ物語です。

コーンウォールのマルケ王は甥である騎士トリスタンに、アイルランドの王女イゾルデを王妃とするので迎えに行くよう命令します。実はすでにトリスタンとイゾルデは出会っており互いに愛情を抱いていました。けれどもイゾルデは王の妃となってしまう……アイルランドへ向かう船上で心中を図るため二人は毒薬を飲みます。ところがこれは媚薬でした。二人の愛は燃え上がり逢瀬を繰重ねます。マルケ王は二人を疑い続けます。そうして迎える結末は、ハッピーエンドとはなりませんでした。

ライトモチーフ、無限旋律、半音階進行めくるめく昂揚と官能を音楽で描ききる


新国立劇場『トリスタンとイゾルデ』2010年公演より

ワーグナーの描くトリスタンとイゾルデの恋愛は、特にエロス(愛)とタナトス(死)に重点をおいています。

尽きることなく燃え上がる恋情を、「トリスタン和音」と言われる不安定な響きの和声を使って表現していますし、調性がぐずぐずで体をなさない半音階進行、旋律がつながって現れる無限旋律といった技法を駆使して終わることのない高揚と官能をいやというほど感じさせます。途切れることのない甘美で官能的な音響に、観客は圧倒されめまいを感じてしまいます。

単独で演奏される機会も多い有名な前奏曲は、すでにこの作品全体を象徴しており、最後に演奏される「イゾルデの愛の死」では鳥肌が立つようなカタルシスが得られます。

ワグネリアンにも楽しみな、極上のキャスト

左から:トルステン・ケール、ヴィルヘルム・シュヴィングハマー、リエネ・キンチャ
エギルス・シリンス、藤村実穂子、大野和士


13年も待ったかいのある素晴らしいキャストが揃っています。

トリスタンには、世界最高峰のヘルデンテノールとして名高いトルステン・ケールが、イゾルデにはワーグナー歌手であるリエネ・キンチャが出演します。
マルケ王にはバイロイト音楽祭にも出演している若手のヴィルヘルム・シュヴィングハマー、従者クルヴェナールにバス・バリトンのエギルス・シリンス、ブランゲーネにはメゾソプラノ、藤村実穂子が出演します。芸術監督の気合いのほどがうかがえます。

休憩含め上演時間は5時間45分(演奏は正味4時間半)。長丁場ですがチケットはすぐに売れてしまうというワーグナーの最高傑作、体験してみたいと思いませんか。

※2024年2月19日発表

『トリスタンとイゾルデ』トリスタン役変更について
『トリスタンとイゾルデ』でトリスタンを歌う予定だったケール氏がキャンセルとなり、今、脂の乗ったヘルデンテノールとして名声を高めつつあるニャリ氏に変更となります。

撮影:三枝近志


2024年3月14日(金)〜29日(金)

会場: 新国立劇場オペラパレス

開演
3月14日(木) 16:00
17日(日)14:00
20日(水・祝)14:00
23日(土)14:00
26日(火)14:00
29日(金)14:00

チケット料金:31,900円~1,650円

詳しくは:新国立劇場



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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