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プレビュー:映画『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』10 月 6 日(金)より TOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー

2023年10月6日(金)より
TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

現代ニューヨークに置き換え 若者の生きづらさを描くミュージカルに

『ラ・ボエーム』を元にした新たなミュージカル

 『ラ・ボエーム』はプッチーニが作曲したオペラで、プッチーニのオペラの中でも絶大な人気があります。1830年代のパリが舞台で、金も人脈もない若い芸術家の夢、友情と挫折、悲しい別れを描いた青春群像劇です。

どの時代にも共通する青春時代の日々は、ブロードウェイ・ミュージカル『レント』となり人気を博しました。『レント』は1990年頃のニューヨークが舞台で、『ラ・ボエーム』よりもさらに若者の生きづらさを強調しており、薬物、セクシャル・マイノリティといったテーマが盛り込まれています。

今回新たに映画化された『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』は、オペラ歌手によってプッチーニの『ラ・ボエーム』が歌われるミュージカル映画です。

舞台は現代のニューヨーク
さまざまな人種の登場人物が一層厳しい環境で青春を送る

 1830年代のパリから現代のニューヨークに置き換え、登場人物はアジア人です。ニューヨークを舞台にアジア人がイタリア語で歌う、というなかなかシュールな状況なのです。現代といってもCovid-19のパンデミック下という設定で(割と登場人物がマスクを着用している)、登場人物は1830年代の若者たちと同様貧しく、さらに格差、移民、人種的偏見という要素も加わり、より一層社会的弱者で生きづらい状況になっています。

ロドルフォ、ミミは中国人、マルチェッロはメキシコ系アメリカ人、ムゼッタはプエルトリコ人、ジョナールはアフリカ系アメリカ人、コッリーネは日本人、とアジア人をメインにした歌手が登場します。

オペラを新しい観客層にグローバルにアプローチする

 製作の「モアザンミュージカル」は香港を拠点としたオペラカンパニーで、「オペラを、現代に通じる新しい形で上演する」ことをコンセプトとしているアジア初のオペラカンパニーです。今回のミュージカル映画化は、Covid-19のパンデミックによって考えだされたのだそうです。

新たなオペラのあり方を模索したひとつの形、として興味深い映画です。

さまざまな人種による現代の若者たちの物語として成り立つのは、『ラ・ボエーム』が時代を超えた青春をテーマにしているからでしょう。

登場人物たちは、おそらく実際に存在しているであろうと思わせます。彼らの夢が叶うようにと願わずにいられない映画です。

上映時間が96分とコンパクトにまとめられているので、気軽に鑑賞できます。

画像|© 2022 More Than Musical. All Rights Reserve


2023年10月6日(金)より
映画『ラ・ボエームニューヨーク愛の歌』
会場:TOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー

開演:劇場による

チケット料金
一般:2,000円 学生:1,000円~1,500円

監督:レイン・レトマー/作曲:ジャコモ・プッチーニ/音楽監督:ショーン・ケリー 製作:モアザンミュージカル 出演:ビジョー・チャン、シャン・ズウェン、ラリサ・マルティネス ルイス・アレハンドロ・オロスコ、井上秀則、アンソニー・ロス・コスタンツォ、イ・ヤン 2022 年/香港・アメリカ/スコープサイズ/96 分/カラー/伊語/5.1ch 原題『La bohème: A New York Love Song』/日本語字幕翻訳:古田由紀子 配給:フラニー&Co. シネメディア リュミエール/宣伝:フラニー&Co. 映倫区分 G 映倫番号49770

詳しくは:ラ・ボエームニューヨーク愛の歌



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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