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プレビュー:2023年12月17日(日)バッハ・コレギウム・ジャパン『メサイア』埼玉会館

2023年12月17日(日)
バッハ・コレギウム・ジャパン『メサイア』


クリスマス・シーズンの風物詩
ヘンデルの『メサイア』を極上の演奏で

経験してみたいオラトリオというジャンル

ヘンデルの『メサイア』はオラトリオというジャンルの作品です。

オラトリオとは、オーケストラと、ソロと合唱による声楽とで演奏されます。宗教的(キリスト教)なテーマを扱い、いくつかのパートで構成される叙事的な曲のことです。オペラと似ているのですが、テーマが宗教的であること、舞台装置がないこと、声楽家は衣裳をつけず演技をしないという点が異なります。淡々と演奏されるような印象を持ちますが、物語を紡いでいくため音楽的に豊かで深みがあり、どんどん引き込まれていきます。

実は親しみやすいヘンデルの『メサイア』

ヘンデルの『メサイア』は3部分で構成されています。第1部はイエス・キリストの降誕に関する神の予言で、旧約聖書にある神の予言が歌われます。第2部はイエス・キリストの受難と復活です。そして第3部はイエスの再臨と永遠性です。

気持ちが高揚するヘンデルの「ハレルヤ」をご存知の方は多いと思います。「ハレルヤ」は第2部の最終で歌われます。またソプラノのアリア「リジョイス(シオンの娘よ、大いに喜べ)」も『メサイア』の第1部で歌われるアリアです。美しく親しみやすい旋律の曲が多く含まれていることがおわかりいただけると思います。

アメリカではクリスマス・イブに上演する習慣がある

「メサイア」は「メシア(救世主)」の英語読みです。実は「ハレルヤ」の歌詞は英語で書かれているのです。ヘンデルはドイツ人ですが、キャリアの成功を収めたのはイギリスでした。そのため『メサイア』は、英語の詞が使われているのです。

アメリカでは1818年のクリスマス・イブに『メサイア』の全曲が初演され、それ以来、クリスマス・シーズンに『メサイア』を演奏する習慣が生まれました。年末に日本では「第九」が演奏される独特な習慣と同じですね。アメリカやイギリスでは英語歌詞ということで『メサイア』の人気が高いようです。

鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で楽しむ贅沢

鈴木雅明 photo: Marco Borggreve

バッハ演奏家・研究者である鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)は1990年に創設されました。J.S.バッハの作品を中心としたバロック音楽の演奏で国内にとどまらず海外でも高い評価を得ています。オリジナル楽器(作曲当時の演奏に用いられていた楽器、または復元楽器)を用いた彼らの演奏は、作品を生き生きと輝かせ、大変な人気を誇っています。

毎年BCJは彩の国さいたま芸術劇場で公演を行っており(現在長期休館中のため昨年に続き会場は埼玉会館)、毎年楽しみにしているお客様も多く、今年は『メサイア』が上演されることになりました。

『メサイア』公演に先駆け11月18日に鈴木雅明による作品解説レクチャーも開催されました。作曲の経緯、使用されている旧約聖書の箇所と構成、他の作品からの借用や影響、自筆譜、演奏の際の楽器編成、付点リズムの問題、メサイアと日本人、などなどわかりやすく解説され、演奏会での豊かな鑑賞体験につながる多彩な内容でした。

鈴木雅明氏による作品解説レクチャーの様子

BCJにとって『メサイア』は最も得意とする作品のひとつです。古楽演奏のスペシャリストたちが集う演奏を楽しみましょう。

ソリストは精鋭が揃い、ソプラノの澤江衣里、カウンターテナーのクリント・ファン・デア・リンデ、テノールのセイル・キム、バス・バリトンのポール・マックス・ティプトンが登場します。

なお、軽井沢大賀ホール(12月23日)、サントリーホール(12月24日)でも同じソリストを迎え『メサイア』演奏会が行われます。

アイキャッチ画像: 横田敦史


2023年12月17日(日) 15:00
会場:埼玉会館大ホール

チケット料金:5,0000〜7,000円(U-25 2,000円)

詳しくは:埼玉会館



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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