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【全公演中止】プレビュー:2022年9月24日(土)〜10月2日(日) クロノス・クァルテット

※こちらの公演はクロノス・クァルテットの来日が叶わず、全公演中止となりました。
公演中止の詳細、チケットの払い戻しについては主催からのお知らせをご確認ください。

OZAWA ART PLANNING LLC
https://ozawa-art.com/news/792/

2022年9月24日(土)〜10月2日(日) クロノス・クァルテット

19年ぶりに来日するアメリカの弦楽四重奏団クロノス・クァルテット。いずれも魅力的なプログラムの5公演で日本を巡ります。

来年で結成50年、常に最先端を走る

(C)Lenny Gonzalez

クロノス・クァルテットは実は2020年に来日する予定でした。もうクロノス・クァルテットは来日しないのではと思っていたファンは、それは楽しみにしていたのですが、コロナ禍で中止となってしまいました。そして今年、ようやく本当に来日公演が行われるのです。

1973年に結成したクロノス・クァルテットは来年で結成50年を迎えます。メンバーチェンジを繰り返しながら常に現代音楽をメインに演奏活動を続けてきた稀有な弦楽四重奏団、レジェンドなのはもちろんですが幻でもバーチャルでもありません。実際にライブ演奏を体験できるこの来日公演は、絶対に逃せません。

『Meet Kronos Quartet』クロノス・クァルテットの来歴を紹介しているビデオ。

現代音楽がレパートリーのメイン

左:(c) Evan Neff 右:(c) Erik Kabik

結成当時から今に至るまで現代音楽をメインに据えており、こういう演奏集団は現在でも少ないです。
クロノス・クァルテットは、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒ、テリー・ライリーなど同時代の作曲家の作品を演奏し続けています。

クロノス・クァルテットのために作られた作品も多く、同時代の作曲家とのクリエイティブな協働は、アーティスト同士互いに刺激を与え合っており、クロノスが最も評価される部分です。

さらに、クラシックではない他ジャンルの同時代の音楽も積極的に演奏してきました。たとえばジミ・ヘンドリックスの『紫のけむり(パープル・ヘイズ)』を取り上げたことで人気が一気に広まりました。

ジミ・ヘンドリックスの演奏(上)と、クロノス・クァルテットの演奏(下)

この半世紀、活動は活発に続けられ、数多くの演奏活動、膨大なレコーディング── 特にアルバムは、複数回グラミー賞を受賞── は、彼らをポピュラーな存在にしました。彼らは現代音楽だけでなく、ジャズ、タンゴ、ワールド・ミュージック、パフォーミング・アートといった今地球上で行われているあらゆるアートとのコラボレーションをしなやかに続けているのです。

CGアートとコラボレーションしたビデオ。

教育プロジェクトを立ち上げる

最新の活動としては、「フィフティ・フォー・ザ・フューチャー(50 for the Future)」(未来のための50曲)という教育プロジェクトを展開しています。まず彼らは自らが選んだ男女各25名の音楽家に作品を委嘱しました(ライヒやテイリーも含まれています)。そしてそれらのスコア、パート譜、音源を特設サイトにアップし、希望者には無料でダウンロードできるようにしています。ワークショップも開催し、クロノスのメンバーが演奏者に指導する機会も設けています。

50 for the Future公式(英語)

作品は2015年から2020年の5年間で50曲がすでに完成し、日本人では望月京が選ばれています。その望月京の作品『Boids』は、今回東京と盛岡の公演で演奏される予定で、この壮大なプロジェクトの成果をさっそく体験できるのです。

望月京 『Boids』バイオリン譜の一部抜粋。下記リンク先より無料で利用可能
Kronos|Misato Mochizuki

NPRミュージック(アメリカ公共放送の音楽教育チャンネル。日本のNHK教育に相当)でのコンサート。
「フィフティ・フォー・ザ・フューチャー」以外でも様々に音楽教育に貢献している。

魅力的な来日公演のプログラム

今回、京都、東京、埼玉、神奈川、岩手と5公演が行われるのですが、同じプログラムが1公演もありません。それぞれに聴きどころがあり、どれも魅力的で全公演に行きたくなります。本当に悩ましいところです。

公演リスト

  • 京都公演  9月24日(土) ロームシアター京都
  • 東京公演  9月28日(水) 東京オペラシティコンサートホール
  • 埼玉公演  9月30日(金) 彩の国さいたま芸術劇場
  • 神奈川公演 10月1日(土) 神奈川県立音楽堂
  • 岩手公演  10月2日(日) 盛岡市民文化ホール

「クロノス・クァルテット JAPAN 2022」ツアー全体の詳細
ワーナーミュージック・ジャパン特設サイト

今回の来日公演は、クロノス・クァルテットを聴いたことのない若い人(19年ぶりですからライブ未経験の人の方がむしろ多いかもしれません)へ向けて企画されたのではないかという、彼らの軌跡を知ってもらうことと現在進んでいるプロジェクトのお披露目といった意図を感じます。こんなにかっこいい弦楽四重奏団が50年も前から存在していて、現在進行形で最先端にいることを、ぜひ実際に見て聴いて感じましょう。

次ページ:各公演のプログラム解説

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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