古代インドが舞台のバレエ『ラ・バヤデール』のあらすじや演出の違いを分かりやすく解説!
2. ロシアでの呼び名は『バヤデルカ』
日本では『ラ・バヤデール』の呼び名が浸透していますが、初演が行われたロシアでは『バヤデルカ』と呼ばれています。
なお、「バヤデール」というのはフランス語で「舞姫」という意味です。
1830年にフランスで『神とバヤデール』という物語が上演されていたため、ロシア以外では『ラ・バヤデール』と呼ばれています。
3. 『ラ・バヤデール』の作曲はレオン・ミンクス
Leon Minkus -photo by B. Braquehais -circa 1865 出典:Wikimedia Commons
『ラ・バヤデール』の音楽を作曲したのは、レオン・ミンクスです。
ミンクスは、スペインを舞台にした喜劇『ドン・キホーテ』や、ジプシーの娘とフランス将校の恋を描いた『パキータ』などの作曲者としても知られています。
【作曲された順番】
- ドン・キホーテ…1869年
- ラ・バヤデール…1877年
- パキータ…1881年
4. バレエ『ラ・バヤデール』の振付師・演出家ごとの違い
先ほども紹介しましたが、『ラ・バヤデール』には振付家・演出家によって構成や結末が異なります。
特に有名な演出について、その特徴やほかの演出との違いを見ていきましょう。
4.1 【初演】マリウス・プティパ版
『ラ・バヤデール』の初演は1877年、マリウス・プティパによって振り付けられました。
この初演は、ロシアの名ダンサーであるエカテリーナ・ヴァゼムの祝賀公演として上演され、ニキヤはヴァゼムが、ソロルは、プティパの弟子であり振付家としても有名なレフ・イワノフが踊りました。
4.2 ナタリア・マカロワ版
1980年に上演されたナタリア・マカロワ版は、失われていた「神殿崩しの場面」を復活させたことで有名です。
全3幕構成ですが、第3幕のラストに神殿崩しの場面を盛り込み、テンポ良くまとまった演出となっています。
マカロワ版は、英国ロイヤルバレエ団や東京バレエ団のレパートリーの1つであり、世界で最も人気の演出です。
4.3 ユーリー・グリゴローヴィチ版
ユーリ・グリゴローヴィチ版の『ラ・バヤデール』はボリショイバレエで上演されています。
グリゴローヴィチ版の初演は1991年。このバージョンでは、最終幕で神殿崩しの場面が描かれましたが、2013年の改訂版では、神殿崩しの場面が省略されました。
4.4 ルドルフ・ヌレエフ版
ルドルフ・ヌレエフ版の『ラ・バヤデール』は、パリ・オペラ座がレパートリーとしています。
実は『ラ・バヤデール』はヌレエフ自身に取っても特別な作品です。ヌレエフは、1961年に行われたキーロフバレエ団(現マリインスキー・バレエ団)のパリ公演でソロルを踊り、西側デビューを果たします。そして、その後まもなく亡命するのです。
約30年後の1992年に制作されたヌレエフ版の『ラ・バヤデール』は豪華絢爛な演出が特徴です。
なお、ヌレエフ版の『ラ・バヤデール』は、かつてヌレエフが所属していたキーロフ・バレエ版に基づいて、影の王国で終了します。
4.5 セルゲイ・ヴィハレフ版
セルゲイ・ヴィハレフ版は、1900年に改訂されたプティパ版を復元上演したものです。
マリインスキーバレエ団がレパートリーの1つとしています。
ほかの演出では第2幕で演じられることの多いガムザッティとソロル、ガムザッティの侍女によるパ・ダクシオン(物語を展開させるための踊りのこと)が、ヴィハレフ版では第4幕で踊られるのが特徴です。
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