愛知県芸術劇場芸術監督 勅使川原三郎　2022年度プロデュース公演記者会見(2022年8月19日)

愛知県芸術劇場芸術監督 勅使川原三郎
2022年度プロデュース公演記者会見(2022年8月19日)

愛知県芸術劇場は、2020年から愛知県芸術劇場の芸術監督を務めている勅使川原三郎がプロデュースする２公演を発表した。
この7月にヴェネツィア・ビエンナーレ2022ダンス部門で金獅子賞功労賞を受賞した勅使川原三郎芸術監督と振付家、アーティスティック・コラボレーターの佐東利穂子がオンライン記者会見に臨み、作品についての期待と意気込みを語った。

左:勅使川原三郎　右:佐東利穂子　Photo by Akihito Abe

勅使川原＆佐東　photo by Bengt Wanselius

上演されるのは、文学作品をモチーフとし、地元のダンサーと共に創作するダンス公演『風の又三郎』と、ミュージシャンとダンサーが互いの音楽とダンスに触発され新たなアートを作り上げるダンス・コンサート『天上の庭』。全くコンセプトの異なる２つの公演だ。

昨年初演ですぐに再演となった『風の又三郎』

『風の又三郎』初演時舞台　(クリック・タップで拡大)（C）Naoshi Hatori

ファミリー・プログラムとして9月3、4日に上演される『風の又三郎』。地元、愛知のバレエダンサーと共に創作して昨年初演され、好評を博しすぐに再演となった。

「他の都市や海外でも披露できるパフォーマンス」とこの作品を評価する勅使川原は、地元で作品が創作され、繰り返し上演されていくことの大切さを説いた。今年は新たなダンサーも加わる。ダンサーの人材育成に取り組んでいることのほか、劇場が、地元のダンサーがのびのびと活動できる場になっていってほしい、独自のダンスが生まれたらよりよい、とも語った。

これまで作品の上演中、朗読を何度も行ってきた佐東は、今作でも朗読を担当する。
「声に出して読んでみると、音など、目に見えている風景だけでなく動いている風までも、言葉のリズムによって運ばれてくる。この描写とダンスの構成とが合っており生き生きとした作品になっている」、と言葉とダンスが共鳴していることを話した。
また、「踊ることによって作品は成長していくのでずっと上演され続けてほしい」と願いを語った。

オンライン会見中の勅使川原と佐東

チェロとダンスのコラボレーション『天上の庭』

『天上の庭』はシリーズ名の「ダンス・コンサート」だけでなく「ライヴミュージック＆ダンス」というサブタイトルがついている。世界トップクラスのダンスと音楽を同時にコンサートホールで楽しむ、という趣旨で企画され2016年から始まったオリジナル・シリーズだ。
ダンスの勅使川原三郎、佐東利穂子にチェリストのヨナタン・ローゼマンが出演し、9月16、17日に行われる。

ヨナタン・ローゼマン　左:photo by Heikki Tuuli　右:photo by Tuomas Tenkane

「天上の庭」とは煩わしい日常から離れた、純粋に音楽とダンスが出会う場所、とタイトルの由来が明かされた。
さらに、「英語で演奏することを “play” ということから音楽とダンスがたわむれる＝遊戯性が生まれる。ストーリーはなく純粋に音楽とダンス、そこから何が生み出せるか、を考えている。観客のみなさんは、『風の又三郎』とはまた別な楽しみ方ができると思う」と、公演のコンセプトを勅使川原は説明した。

勅使川原と佐東がヴェネツィア滞在中にローゼマンが二人を訪ねてリハーサルを行い、演奏曲目もほぼ決定したとのこと。J.S.バッハの『無伴奏チェロ組曲』、カサドの『無伴奏チェロ組曲』からと、コダーイの『無伴奏チェロ・ソナタ』Op.8が演奏される。
佐東はヨナタンと初めて会った時、分かり合える部分があると感じたという。「チェロの演奏で踊るのは初めてで、チェロのために書かれた音楽に触れることが楽しみ」と期待を語った。

ダンス『風の又三郎』

9月3日(土)、4日(日)
会場：愛知県芸術劇場 大ホール
開演：15時
★ チケット料金
3000円〜4000円

詳しくは：愛知県芸術劇場

勅使川原三郎 ライヴミュージック＆ダンス『天上の庭』

9月16日(金)、17日(土)
会場：愛知県芸術劇場 コンサートホール
開演：16日(金)19時、17日(土)16時
★ チケット料金
5000円〜7000円

詳しくは：愛知県芸術劇場

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ヘッダー写真（C）Hiroshi Noguchi（Flowers）