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ウィーン・オペレッタの最高峰、シュトラウスII世の『こうもり』〜あらすじや曲を紹介〜

3.オペレッタ『こうもり』あらすじ~全てシャンパンのせい!~

オペレッタ『こうもり』は、演出次第でコメディにもシリアスにもなる、柔軟性のあるストーリー。その時々の舞台を新鮮な気持ちで楽しむことができる、何度見ても飽きないオペレッタです。
ぞれぞれの登場人物が本心を隠して日々を送る第1幕。そんな彼らの本性が、突如として現れる第2幕。夜会のバカ騒ぎの裏で、生々しいやりとりが繰り広げられます。しかし最後は、「全てシャンパンの泡のせい」で大団円! 不忠も浮気も裏切りもお酒の力で許されてしまう、この寛容さがオペレッタ『こうもり』の最大の魅力かもしれません。

3.1.オペレッタ『こうもり』第1幕

【アイゼンシュタイン家の居間】
外から声楽教師アルフレードの歌声。アルフレードはアイゼンシュタイン夫人ロザリンデの昔の恋人で、彼女への愛を歌っています。女中のアデーレは、姉のイーダに誘われた今夜の夜会へ行くために、嘘をついてロザリンデから休暇をもらおうとします。

アイゼンシュタインが登場。彼は翌日からの禁固刑が8日に延ばされてしまい、弁護士と言い争っています。友人のファルケもやってきて、収監される前に夜会へ出かけようと耳打ち。その気になったアイゼンシュタインは、夜会のことは隠して妻に別れの挨拶をします。ロザリンデも夫がいない間にアルフレードとの逢瀬をたくらみます。

一人になったロザリンデのもとにアルフレードが。そこに刑務所長フランクがやって来て(三重唱「飲もう恋人よ」)、アイゼンシュタインと勘違いしてアルフレードを連行してしまいます。

3.2.オペレッタ『こうもり』第2幕

【オルロフスキー公爵の夜会】
夜会の主人はロシアの大貴族オルロフスキー公爵です(「私は客を迎えるのが好き」)。会場には、新人女優とうそぶくアデーレ、フランス人のルナール侯爵と名乗るアイゼンシュタイン、騎士シャグランと称するフランク、ハンガリー侯爵夫人に扮したロザリンデ。

「うちの女中にそっくりだ」と驚くアイゼンシュタインに対して、アデーレは開き直ります(「侯爵様、あなたのようなお方は」)。妻と気付かずロザリンデを口説くアイゼンシュタイン。ロザリンデはアイゼンシュタインから自慢の懐中時計を奪い取り、ハンガリーの歌を披露します(「故郷の調べは(チャルダーシュ)」)。興に乗ったアイゼンシュタインは、3年前の仮面舞踏会のことを語り出します。外で酔いつぶれたこうもりの扮装のファルケを放って帰ったところ、翌日近所の子どもたちから「こうもり博士」と呼ばれて笑いものになったファルケの話でした。

夜会は盛り上がり、シャンパンを讃えて全員が歌います(「シャンパンの歌」)。やがて朝を告げる鐘が鳴り、客人達は大慌てで会場を抜け出していきます。

3.3.オペレッタ『こうもり』第3幕

【刑務所長の執務室】
刑務所に戻ってきたフランク。騎士だと信じ込んでフランクを追いかけてきたアデーレは、パトロンになってほしいと頼みます(「田舎娘を演じるときは」)。アイゼンシュタインが出頭してきますが、すでに「アイゼンシュタイン(アルフレード)」は収監中です。アルフレードに会いに刑務所にやってきたロザリンデ。アイゼンシュタインは妻の浮気に激怒します。ロザリンデは夫に、浮気の証拠の懐中時計を突きつけます。

ファルケがオルロフスキーらを連れて現れ、「こうもりの復讐」だと言います。全ては、アイゼンシュタインをはめるためのファルケの罠でした。アイゼンシュタインは妻に詫び、ロザリンデも夫を許します。オルロフスキーは、アデーレのパトロンになると約束。一同で「全てはシャンパンの泡のせい」と歌って幕。

神保 智 じんぼ ちえ 桐朋学園大学音楽学部カレッジ・ディプロマ・コース声楽科在学中。子どものころから合唱団で歌っていた歌好き。現在は音楽大学で大好きなオペラやドイツリートを勉強中。

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