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プレビュー:映画『ダンサー イン Paris』9月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

2023年9月15日(金)より
映画『ダンサーインParis』

エトワールへの夢が立たれたバレリーナの再生の物語

セドリック・クラピッシュ監督の最新作はダンスシーン満載

 『猫が行方不明』(1996)、『スパニッシュ・アパートメント』(2002)、『パリのどこかで、あなたと』(2019)などの作品で日本でも人気の高いフランスの映画監督セドリック・クラピッシュの最新作が『ダンサー イン Paris』です。クラピッシュ監督は、以前からパリ・オペラ座バレエ団の映像を長年撮っており、前パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督であるオーレリ・デュポンのドキュメント『輝ける一瞬に』(2010)や、デュポンの引退公演『マノン』を撮ったことでバレエファンにはお馴染みです。

彼はエトワール(パリ・オペラ座バレエ団の最高位)を目指すプルミエール・ダンスーズのバレリーナが挫折し、バレエの道を断たれてしまうものの、コンテンポラリー・ダンスとの出会いでセカンド・キャリアをスタートさせる、という映画を作りました。バレエ、コンテンポラリー・ダンスのダンスシーンがふんだんに出てきて、ダンスファンにはたまらない内容です。

パリ・オペラ座バレエ団の現役プルミエール・ダンサーズであるマリオン・バルボーが主演

エリーズ:マリオン・バルボー

 主人公エリーズは、『ラ・バヤデール』のニキヤ役で舞台に立つ本番中に恋人の裏切りを見て動揺し、舞台上で怪我をしてしまいます。バレエを続けることができなくなりカンパニーにいることもできなくなりました。一晩で恋人と仕事を失ってしまうのです。この主人公をパリ・オペラ座バレエ団の現役プルミエール・ダンスーズであるマリオン・バルボーが演じています。

ダンスシーンに一切スタントを使用しないという監督の意向があり、バルボーがバレエからコンテンポラリーまでたっぷりと踊っています。日本のメディアに登場する機会が少ないバルボーですが、この映画で日本のファンを増やすことでしょう。

バレエは『ラ・バヤデール』が演じられており、舞台袖から見たステージや舞台裏の様子もうかがえてとても魅力的です。

また、ときどき、パリ・オペラ座バレエ団のエトワールであるジェルマン・ルーヴェが同僚として登場しますのでお見逃しなく。

振付家ホフェッシュ・シェクターと彼のカンパニーも出演

左ジョジアーヌ:ミュリエル・ロバン      左アンリ(エリーズ父):デゥニ・ポダリデス

コンテンポラリー・ダンスはイギリスの振付家ホフェッシュ・シェクターが本人役で、また彼のカンパニーも出演しています。ホフェッシュ・シェクターと彼のカンパニーは2010年に日本に来日公演を行っており、その時の上演作品『ポリティカル・マザー』がこの映画でも踊られています。特にクリエーションの過程が描かれるシーンは興味深いです。シェクターや彼のカンパニーのメンバーがとても自然体でバルボー演じる主人公のエリーに接しており、エリーが癒され、再びダンスに向かおうと変化していくデリケートな変化がナチュラルに描かれています。

心優しい人たち、何気ない日常が物語を豊かに

左ロイック:ピオ・マルマイ                  左本人役:ホフェッシュ・シェクター

 傷ついたバレリーナの再生の物語、あたたかな周囲の人たちや効果的で魅力的なダンスシーンが物語にリアリティを与えています。

特に、ダンスシーンからは長年撮影してきたクラピッシュ監督のダンスへの深い理解と愛情が感じられます。

エリートダンサーのキャリア・チェンジの物語、心に残ります。

画像|© 2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA Photo : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES


2023年9月15日(金)より
映画『ダンサーイン Paris』
会場:ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

開演:劇場による
チケット料金
一般:2,000円 学生:1,000円~1,500円

監督:セドリック・クラピッシュ 振付・音楽:ホフェッシュ・シェクター

出演:マリオン・バルボー、ホフェッシュ・シェクター、ドゥニ・ポダリデス、ミュリエル・ロバン、ピオ・マルマイ、フランソワ・シヴィル、メディ・バキ、、スエリア・ヤクーブ

【原題:EN CORPS/2022/フランス・ベルギー/フランス語・英語/日本語字幕:岩辺いずみ/118分/ビスタ/5.1ch】

配給:アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル

後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、UniFrance/French Film Season in Japan 2023

詳しくは:ダンサーイン Paris



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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