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プレビュー:全国共同制作オペラ『道化師』『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』2023年2月3日(金),5日(日)東京芸術劇場/3月3日(金),5日(日)愛知県芸術劇場

2023年
2月3日(金)、5日(土) 東京芸術劇場
3月3日(金)、5日(土) 愛知県芸術劇場

全国共同制作オペラ

『道化師』『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』


演出に期待が高まる、ヴェリズモ・オペラ2作品 ━━━━

全国共同制作オペラとは

全国共同制作オペラとは、文化庁の助成を得て、全国の劇場・音楽堂、芸術団体等が高いレベルのオペラを新演出で制作するプロジェクトのことです。

2009年度から始まり、野田秀樹演出のモーツァルト『フィガロの結婚』(2015年)、岡田利規演出の團伊玖磨『夕鶴』(2021年)など毎回話題を呼び、実績を積んでいます。莫大な費用がかかるオペラ制作ですが、この公演はいずれもチケット代がとても良心的ですので、ライブでのオペラ体験を積む絶好の機会なのです。

今年は、東京芸術劇場と愛知県芸術劇場で上演されます。

ヴェリズモ・オペラ

左:『道化師』スコアカバー 1892年
右:『カヴァレリア・ルスティカーナ』1890年初演時のスケッチ
出典:Wikimedia Commons


今回上演されるのは2演目、レオンカヴァッロの『道化師』とマスカーニの『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』です。この2作品は上演時間が短いため一緒に上演される機会が多いです。そしてどちらもヴェリズモ・オペラというオペラのジャンルに含まれています。

ヴェリズモ・オペラとは、19世紀末から20世紀のはじめ、ヴェリズモ文学に影響を受けたオペラの新しい傾向のことで、上流階級ではなく庶民の日常に起こる出来事を描いています。『道化師』と『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』、どちらも実際にあった殺人事件がもとになっており嫉妬が渦巻き悲しい結末を迎えるのですが、物語は大変流麗で美しい旋律に彩られて展開していきます。

ヴェリズモ文学 … 19世紀末から20世紀初頭にかけてイタリア文壇界で流行した、当時のイタリア社会における貧困階層の生活を主題とする写実主義文学。その影響は舞台劇へと波及し、数々のヴェリズモ文学を原作とした舞台作品が生まれました。
今回上演される『カヴァレリア・ルスティカーナ』と『道化師』はヴェリズモオペラを代表する作品と言われており、世界中で同時上演され続けています。

気鋭の演出家がオペラを初演出

上田久美子 © 2/FaithCompany


今回、演出を手がけるのは上田久美子。上田は宝塚歌劇団在団中、多くの作品を演出し注目を集めてきました。2022年に退団しフリーランスとなった最初の演出が、今回のオペラ作品です。初めてオペラを演出するということで大変期待が高まっています。

例えば、一つの役を歌手とダンサーの2人が演じます。舞台となる19世紀イタリアでの出来事でありながら、目には見えにくい誰もが共感できる個々の心情をダンサーが表現してくれるという趣向です。

また、裕福で美しく暮らす人々の話ではなく、どこにでもいる普通の人たちの出来事を描いていることの理解を深めるために、上演はイタリア語で行われますが、字幕は通常の翻訳と関西弁の意訳がつけられます。大衆演劇に心を奪われるような親近感が得られ、かつ深い真理&心理を知ることができそうです。

たくさんの豪華な出演者

指揮:アッシャー・フィッシュ©︎NikBabic9|テノール:アントネッロ・パロンビ


指揮は、バイエルン国立歌劇場来日公演に参加したことのあるアッシャー・フィッシュ、『道化師』のカニオ役、『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』のトゥリッドゥ役にドラマティック・テノールのアントネッロ・パロンビが出演します。

ダンス:トゥリッド/柳本雅寛©︎大洞博靖|アルフィオ/宮河愛一郎


ダンスでは、『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』のトゥリッドゥ役に柳本雅寛、アルフィオ役に宮河愛一郎などが出演。ダンスファンにも楽しみなキャストとなっています。オーケストラは、東京公演は読売日本交響楽団、愛知公演は中部フィルハーモニー交響楽団が務めます。

オペラは、出演者で見るか、演出家で見るか、と言われるほど演出家の手腕が発揮される舞台芸術です。上田の演出は、まだ見たことのない新しい景色を見せてくれるに違いありません。ぜひ劇場で体験しましょう。

記者会見にて|演出の上田久美子さんと日本人出演者の皆さん© 2/FaithCompany


全国共同制作オペラ
『道化師』『田舎騎士道(カヴァレリア・ルスティカーナ)』

2023年
2月3日(金) 18時30分、5日(土) 14時
会場:東京芸術劇場 コンサートホール

★ チケット料金
14,000円~2,000円

3月3日(金) 18時、5日(土) 14時
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

★ チケット料金
10,000円~3,000円(プレミアムシート14,000円)

詳しくは:
東京公演東京芸術劇場
愛知公演愛知県芸術劇場


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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