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プレビュー:2023年5月18日(木)〜6月3日(土) 新国立劇場オペラ『リゴレット』新国立劇場

2023年5月18日(木)〜6月3日(土)
新国立劇場オペラ

『リゴレット』

悲しい物語を美しい旋律で綴る
新制作『リゴレット』

待望の新制作はヴェルディの代表作

ヴェルディといえばオペラ作曲家として名高いですが、なかでも『リゴレット』は彼の代表作です。ヴェルディにとって26作あるオペラのうち21番目に作曲されました。新国立劇場にとっては10年ぶり、待望の新制作として選ばれた作品です。

救いのない悲しみ 弱者への眼差し


主人公のリゴレットは宮廷に使える道化師です。身体に障害があるために差別され道化師という職業しか得られずにいます。仕える貴族はマントヴァ公爵。侯爵は快楽主義でモラルもなにもなく堕落した日々を過ごしています。

そしてリゴレットには清らかで美しい娘、ジルダがいます。ジルダに対しては、リゴレットは父親として「心根の優しい良き人間」でいられるのです。

大切に大切に育ててきたジルダは唯一外出を許されていた教会で、よりによってマントヴァ公爵(身分を隠し学生のふりをしている)と出会ってしまいます。ジルダを見初めた公爵は彼女を汚してしまうのです。リゴレットは復讐を誓いますが一番起こってほしくはないことが起こり、悲劇に終わります。


ヴェルディは社会的弱者をオペラの登場人物に据えることがあります。登場人物が生きた時代においては社会的構造ゆえ決して成功したり社会的に認められることのない複雑な思いを抱えて生きる人たちを描き、誰もが人を愛したり傷ついたり夢見たりすることを示します。

この『リゴレット』でも癒えることのない父親の悲しみを音楽で表現しています。この社会的弱者の状況、心境は現代にも通じ得るものであり、ヴェルディの彼らへの共感が一層心に迫ります。

次々と繰り出される美しい旋律


絶望的に救いのない悲しいストーリーであるにも関わらず、音楽はひたすら美しく、有名なアリアが散りばめられています。

第2幕の「慕わしき人の名は」、「悪魔め、鬼め!」、第3幕「女心の歌」、そしてソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトンが揃い歌う通称リゴレットの四重唱、「美しい恋の乙女よ」は大変有名なので聞けばすぐにピンときます。音楽が美しければ美しいほど悲劇が際立ちます。

豪華なキャスト

今回新制作のプロダクションは、スペインの演出家、エミリオ・サージによるもので、ビルバオ・オペラ、リスボン・サン・カルロス歌劇場の共同制作で初演し、バレンシアのソフィア王妃芸術宮殿でも上演されています。サージの演出は『運命の力』が新国立劇場で上演されています。

リゴレット:ロベルト・フロンターリ|ジルダ:ハスミック・トロシャン|マントヴァ公爵:イヴァン・アヨン・イヴァス

複雑で難しい人物、リゴレットにはバリトン、ロベルト・フロンターリが登場します。新国立劇場では2015年に『トスカ』のスカルピア役で出演しました。ジルダにはハスミック・トロシャンが配役、彼女は2019年『ドン・パスクワーレ』のノリーナ役で新国立劇場の舞台に立っています。そしてマントヴァ公爵には注目の若いスター、イヴァン・アヨン・イヴァスが登場します。新国立劇場は初登場です。

役柄にぴったりのキャストで大変楽しみです。妻屋秀和、清水華澄、須藤慎吾といった日本のスターたちも登場します。

舞台画像:ビルバオ・オペラ公演より


2023年5月18日(木)〜6月3日(土)
新国立劇場オペラ
『リゴレット』
会場:新国立劇場 オペラパレス

開演
——————
5月
18日(木) 19:00
21日(土) 14:00
25日(木) 14:00
28日(日) 14:00
31日(水) 14:00

6月
3日(土) 14:00
——————

★ チケット料金
27,500円〜5,500円

詳しくは:新国立劇場


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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