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プレビュー:クラシックの名曲で心“おどる”世界の旅へN響オーチャード定期2024/2025東横シリーズ渋谷⇔横浜<Dance Dance!>

第130回 11月3日(日・祝) 横浜みなとみらいホール・大ホール
第131回 2025年1月11日(土)横浜みなとみらいホール・大ホール
第132回 2025年4月20日(日)Bunkamuraオーチャードホール
第133回 2025年7月6日(日)Bunkamuraオーチャードホール

ダンスの名曲を集めたユニークなコンサート
趣向を凝らした楽しいプログラム

遊び心のある楽しいラインナップ

横浜みなとみらいホールと渋谷Bunkamuraオーチャードホールでは、NHKの交響楽団の定期演奏会が開かれています。2024/2025シリーズは11月から2025年7月までの間に4公演行われ、それぞれソリストを迎えて舞曲をテーマに世界中のダンス曲が演奏されます。バレエ作品のほか、ワルツ、ポルカ、ハバネラ、タンゴなど、どのプログラムも身近で魅力的な作品が並んでいます。今回のシリーズ、バレエ・ファンにとってお馴染みの作品がたくさんあります。ぜひバレエ・ファンの方にも美しいオーケストラの演奏を楽しんでいただきたいです。

公演は前半2回が横浜みなとみらいホール、後半2回はBunkamuraオーチャードホールで行われます。

それぞれ簡単にご紹介します。

第130回 ヨーロッパを横断! “舞曲”でめぐる世界の旅へ

プログラム
ウェーバー(ベルリオーズ編):舞踏への勧誘 作品65
ショパン:ポーランド民謡による大幻想曲 作品13 
リスト:死の舞踏 S.126 
ビゼー:『カルメン』組曲(キンボー・イシイ版)

指揮はキンボー・イシイ、ソリストはピアノの福間洸太朗。

バレエ・リュスで1911年に初演された『薔薇の精』の音楽、ウェーバー(ベルリオーズ版)の『舞踏への勧誘』で始まります。ショパンの『ポーランド民謡による大幻想曲』、リストの『死の舞踏』はピアノとオーケストラによる演奏です。そしてビゼーの『カルメン』組曲、これはキンボー・イシイ版ということで、オペラ・ファン、バレエ・ファン、どちらにとっても楽しみな曲ですね。

第131回 ウィーンで花開いたワルツ・ポルカ──J.シュトラウスII世生誕200年のニューイヤー

プログラム
J.シュトラウスII:喜歌劇『こうもり』より序曲、「侯爵様、あなたのようなお方は」
J.シュトラウスII:南国のバラ 作品388
J.シュトラウスII:ペルシャ行進曲 作品289J
J.シュトラウスII:喜歌劇『こうもり』より「田舎娘を演じる時は」
J.シュトラウスII:狂乱のポルカ 作品260
コルンゴルト:シュトラウシアーナ
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」 作品212
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ「とんぼ」 作品204
J.シュトラウスII:喜歌劇『ジプシー男爵』序曲
J.シュトラウスII:ウィーンかたぎ 作品354

指揮はサッシャ・ゲッツェル、ソリストはソプラノのヘラ・イェサン・パク。

2025年はシュトラウスII世のメモリアル・イヤー。お正月気分の残る1月11日にたっぷりとシュトラウス作品で楽しむニューイヤー・コンサートです。指揮のゲッツェルはウィーン出身のウィーンっ子、ワルツやポルカなどはお手のもの。『こうもり』、『ジプシー男爵』もプログラムに入り、特にコンサート最初は『こうもり』の序曲から、ソプラノのコロラトゥーラが楽しめる「侯爵様、あなたのようなお方は」が華やかに歌われます。シュトラウス・ファミリーでプログラムが構成されている中、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトの『シュトラウシアーナ』が中盤で演奏されます。これはシュトラウスII世の作品を集め、3部構成(ポルカ、マズルカ、ワルツ)にした洒落た組曲です。

第132回 ロシアからパリへ──バレエ・リュスの栄華

プログラム
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ぺトルーシカ』 (全曲/1947年版)
ブリテン:ピアノ協奏曲 作品13 
プロコフィエフ:交響組曲「3つのオレンジへの恋」 作品33bis

指揮はパーヴォ・ヤルヴィ、ソリストはピアノのベンジャミン・グローヴナー。

2015年から2021年までN響の主席指揮者を務めていたヤルヴィが帰ってきます。20世紀の作品で組まれた3曲、特に『ペトルーシカ』と『3つのオレンジへの恋』は重厚なオーケストラサウンドを楽しめます。

ストラヴィンスキーが作曲したバレエ『ペトルーシカ』はバレエ・リュスによって1911年に初演されました。今回は1947年版全曲が演奏されます。ブリテンの『ピアノ協奏曲』作品13は、第2楽章がワルツです。プロコフィエフの交響組曲『3つのオレンジへの恋』は、同名のオペラからの6曲で成る組曲。第3曲目の「行進曲」は、バレエ『シンデレラ』にて第2幕、シンデレラがオレンジを献上され、それを分けてもらった姉たちが踊るところで引用されています。

第133回 近代ラテン・アメリカの情熱的名曲集──シリーズは熱狂のフィナーレへ!

プログラム
マルケス:ダンソン 第2番
ピアソラ:バンドネオン協奏曲「アコンカグア」
ヒナステラ:バレエ組曲「エスタンシア」 作品8a
バーンスタイン:『ウエスト・サイド・ストーリー』よりシンフォニック・ダンス

指揮は川瀬賢太郎、ソリストはバンドネオンの三浦一馬。

最後は中南米へと渡ります。メキシコの作曲家、アルトゥロ・マルケスの『ダンソン』第2番で始まり(ダンソンは2拍子の舞曲)、アストル・ピアソラのバンドネオン協奏曲『アコンカグア』へと続きます。三浦一馬はこの曲を録音しており、素晴らしい演奏で高く評価されています。ライブで聴けるのが楽しみですね。アルゼンチンの作曲家、アルベルト・ヒナステラのバレエ組曲『エスタンシア』はバレエ作品として作曲された『エスタンシア』から4曲を抜粋して作られた演奏会用の組曲です。そして最後はレナード・バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』よりシンフォニック・ダンス。音質や音の強弱等、メリハリの効いたインパクトの強いダンサブルな作品で聴く者はスイングしたくなります。ダンス曲を集めたシリーズのフィナーレに相応しい作品です。川瀬賢太郎とN響の熱血な演奏に期待しましょう。

企画のセンスが光るN響オーチャード定期公演、誰でも親しめる気軽さも魅力です。踊らずとも心も体も軽やかになれるダンスにまつわる曲で構成されたコンサート。お好きなテーマが必ずあることと思います。早めに良いお席をゲットしましょう。


N響オーチャード定期2024/2025
東横シリーズ渋谷⇔横浜
<Dance Dance!>

公演
第130回 11月3日(日・祝)15:00
会場:横浜みなとみらいホール ・大ホール

第131回 2025年1月11日(土)15:30
会場:横浜みなとみらいホール・大ホール

第132回 2025年4月20日(日)15:30
会場:Bunkamuraオーチャードホール

第133回 2025年7月6日(日)15:30
会場:Bunkamuraオーチャードホール

チケット料金:4,000円~9,800円 

詳しくは:Bunkamura

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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