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プレビュー:2022年11月12日(土)〜13日(日)日生劇場 NISSAY OEPRA 2022 『ランメルモールのルチア』

2022年11月12日(土)〜13日(日)日生劇場
NISSAY OEPRA 2022 『ランメルモールのルチア』
完全版、ついに上演

2020年翻案上演を経て

NISSAY OPERA 2022 ドニゼッティ作曲『ランメルモールのルチア』は、本来2020年に上演するはずでしたが、新型コロナ・ウィルスの影響で公演が困難に。
翻案して90分1幕もののルチア一人芝居版『ルチア~あるいは花嫁の悲劇~』として上演しました。そしていよいよ今回、完全版を上演することとなったのです。

とんでもない悲劇に見舞われるルチア

物語は17世紀のスコットランド。ルチアは敵対する家の息子エドガルドと恋仲です。けれども斜陽の家を立て直したいルチアの兄エンリーコは、ルチアを別の貴族と結婚させようとします。
そこから兄の陰謀や行き違いによるエドガルドとの誤解などを招き、転がるようにバッドエンドへと向かっていきます。
ルチアは別の男と政略結婚させられ、ベッドで夫を刺殺してしまいます。絶望と悲しみのあまり錯乱したルチアは死んでしまうのでした。

詳しいあらすじ・作品解説はこちら→【ランメルモールのルチア あらすじ】引き裂かれる恋人、悲劇の実話…!

これは1669年に起こった実際の事件をもとにしています。敵対する家に生まれた男女の悲恋、実際の出来事、ということからよく『ロメオとジュリエット』との類似が語られます。
けれども、ルチアは他の男と政略結婚させられ、恋人からはそしられ、夫を殺し、錯乱して絶命します。『ランメルモールのルチア』の方が、はるかに大人の汚さを描いており、ピュアな初恋話ではありません。
生々しく、感情の起伏も激しくて、ドラマティックなどという言葉では言い足りないほどのドラマが繰り広げられるのです。

ドニゼッティは『愛の妙薬』や『ドン・パスクワーレ』のような喜劇もありますが、この作品の他にも『アンナ・ボレーナ』『マリア・ストゥアルダ』のように悲劇のヒロインを描いた作品も残しています。

封建的な時代 権力も力も自由も何もない女性

絶望から錯乱し、それで死んでしまうものだろうか。ルチアの狂乱についてよく言われることです。実際には死には至らなかったのかもしれません。けれども「それくらいで死ぬか」という感覚は現代的なものです。
彼女らが生きた時代は、たとえ貴族の家に生まれても女性は政略結婚の道具で人格や人権などは認められませんでした。家、男に支配され一生を送る女性たち。当時のことをリアルにはわからないからこそルチアの悲しみ、狂乱に衝撃を受け、物語の世界に没頭できるといえるでしょう。

クライマックスは「狂乱の場」

2020年公演より(ルチア:高橋維) 撮影:三枝近志

最大の見せ場は、ルチアが夫を殺して錯乱し血まみれで歌う「彼の優しい声」(狂乱の場)です。それぞれの思いを歌う六重唱や最後のエンリーコのアリアも要チェックではありますが、なんといってもこのオペラは「狂乱の場」がクライマックスで、ここのためにこのオペラがあると言っても過言ではありません。コロラトゥーラの超絶技巧を駆使して10分以上一人で歌い続けます。その間、結婚披露宴に集まった人たちは固まって動けずにいます。感情の爆発を声の妙技で表現する、まさしくベルカント・オペラの真髄です。このただならぬ迫力には、オペラ初心者も通も関係なく圧倒されるに違いありません。

キャストは、12日はルチアが高橋維、エドガルドが城宏憲、エンリーコが加耒徹、13日はルチアが森谷真里、エドガルドが宮里直樹、エンリーコが大沼徹です。演出は田尾下哲、指揮は柴田真郁、演奏は読売日本交響楽団です。


NISSAY OEPRA 2022 ランメルモールのルチア
2022年11月12日(土)、13日(日)
会場:日生劇場

開演:14時
★ チケット料金
6000円〜10000円

詳しくは:日生劇場


公演一覧
Pick Up公演
【ランメルモールのルチア あらすじ】引き裂かれる恋人、悲劇の実話…!


エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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