世界中で愛される、泣けるオペラ『椿姫』〜あらすじや曲を紹介〜
世界の上演ランキングで常に上位に位置するオペラ『椿姫』。オペラ王ヴェルディの一番人気の代表作です!
テレビや映画で聴いたことがある有名な「乾杯の歌」のほか、一度聴いたら忘れられないアリアは必聴!分かりやすく共感しやすいストーリーや魅力的な登場人物とリアルな心理描写、ドラマと完全に一致した音楽、パリ裏社交界(ドゥミ・モンド)の豪華な舞台や衣装など、初めてオペラを見る人にもお勧めできるオペラです。涙を誘う悲劇でありながら、最後まで美の余韻に浸ることができるのも人気の秘密。
オペラ『椿姫』は直近で、9月13日(水)~9月18日(月・祝)に、東京文化会館大ホールで、ローマ歌劇場来日公演が予定されています。また新国立劇場でも2024年5月16日(木)~5月29日(水)に公演予定です。
『椿姫』のあらすじや見どころを知って、楽しみましょう!
1.オペラ『椿姫』とは?~主人公は高級娼婦~
劇場のマリー・デュプレシ、カミーユ・ロクプラン画 出典:Wikimedia Commons
毎年、世界のどこかで必ず上演される大人気オペラ『椿姫』。しかし、初演当時は非常に斬新で、人々に受け入れられにくいオペラでした。オペラと言えば神話や歴史的英雄が主人公だった時代、社会の闇である「娼婦」が主役のオペラなど考えられないものだったのです。
社会風紀上の検閲の壁も予想される中、ヴェルディが渾身の思いで世に送り出した傑作がオペラ『椿姫』です。常に弱者への視点を持ち続けたヴェルディ、社会の中で顧みられない人々の中に真のドラマがあると見抜いていたのでした。
1-1.オペラ『椿姫』概要
邦題|原題 椿姫|La traviata
原作:アレクサンドル・デュマ・フィスの小説『椿姫|La Dame aux camélias』
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
初演:1853年3月6日、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場
構成:全3幕
上演時間:約2時間
1-2.オペラ『椿姫』先読みあらすじ
オペラ『椿姫』初演当時の公演案内 出典:Wikimedia Commons
19世紀パリ、売れっ子高級娼婦のヴィオレッタは、夜ごと夜会を開いて享楽的な生活をしていました。街で彼女を見かけて以来、恋心を抱き続けていた田舎貴族のアルフレードが夜会にやってきます。アルフレードの真摯な愛の告白に、心を動かされるヴィオレッタ。
パリ郊外、ヴィオレッタは夜の世界から身を引き、アルフレードと穏やかな生活を送っていました。アルフレードの留守中、彼の父ジェルモンがやってきて息子との別れを迫ります。アルフレードのために身を引く決意をし、家を飛び出したヴィオレッタ。彼女に裏切られたと勘違いしたアルフレードは、パリの夜会に現れたヴィオレッタをなじります。
パリの粗末な屋根裏部屋。肺病で衰弱したヴィオレッタは、死の床でジェルモンの手紙を読み上げます。真実を知ったアルフレードが、会いに向かっていると書いてあるのです。迫りくる死を感じながらアルフレードを待つヴィオレッタ。ようやくアルフレードとジェルモンが訪れ、ヴィオレッタに許しを請う中、彼女の最後の命の灯が消えていくのでした。
2.オペラ『椿姫』の登場人物
ヴィオレッタ・ヴァレリー|ソプラノ
パリの高級娼婦
アルフレード・ジェルモン|テノール
田舎出身の貴族の青年
ジョルジョ・ジェルモン |バリトン
アルフレードの父親
フローラ・ベルヴォワ |メゾソプラノ
ヴィオレッタの友人
アンニーナ |ソプラノ
ヴィオレッタの女中
ドゥフォール男爵 |バリトン
ヴィオレッタのパトロン
ガストーネ子爵 |テノール
アルフレードの友人
他
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