ハンス・クリスチャン・アンデルセン『絵のない絵本』×メンデルスゾーン『無言歌』小説を彩るクラシック#18
フェリックス・メンデルスゾーン『無言歌』
『無言歌』は「言葉(歌詞)のない歌」という通り、歌のような美しい旋律をもつ曲のことで、メンセルスゾーンは生涯にわたって『無言歌』の作曲を続けました。
アンデルセンは、文学によってこれと同じことができるのでは?と考え、物語を読めばその絵が浮かぶ、絵のない絵本を生み出しました。
『絵のない絵本』での描写力は素晴らしく、世界や時代を飛び越えて「絵画」となるような、想像力が湧きたつ瞬間を切り取っていきます。
例えばこんなシーンがあります。
立派な森を前にして、お金持ちの農民は「去年はこの木を切って儲けたなあ」と言いました。そのあとに酔っ払いや若者がやってきますが、彼らは森の美しさには目を向けずに、通りすぎていきます。
つづいて野心的な絵描きがやってきて、いさましくロッシーニの行進曲をふきならしながら森を見たままに描き、最後に貧しい少女が森にやってきます。
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