神様がドタバタ騒ぎ!オッフェンバックのオペレッタ『天国と地獄/地獄のオルフェ』のあらすじや曲を紹介
ジャック・オッフェンバックのオペレッタ『天国と地獄』(『地獄のオルフェ』ともいわれます)は、ギリシャ神話の神々がドタバタ騒ぎを繰り広げる底抜けに楽しいオペレッタです!
オペレッタ『天国と地獄』は、ギリシャ神話の「オルフェウスの悲劇」を元にした古典的オペラ、クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714-1787)が1762年に作曲した『オルフェオとエウリディーチェ』を下敷きに、オッフェンバックがおもしろおかしくパロディ化したものなのです。
神話本来の内容は夫婦愛がテーマであるにも関わらず、主人公がダブル不倫中の夫婦だったり、退屈に飽きた神々が天国でストライキを起こしたりと何でもあり!
経済発展に沸き、ブルジョワ市民階級が台頭してきた当時のフランス社会。そのような19世紀の社会を描写しながら、浅薄な価値観や倫理観を強烈な風刺でえぐり出そうとした一面を持った作品でもあります。
パロディもとの『オルフェオとエウリュディーチェ』のあらすじは、こちらで紹介しています。
また、新国立劇場デジタルシアターで『オルフェオとエウリュディーチェ』を2023年4月7日まで無料配信しています。
先に感動的な本家を知っておくと、このあとのパロディがより面白く感じられるかもしれません。
オペレッタ『天国と地獄』のあらすじや見どころを知って、作品を楽しみましょう!
オペレッタ『天国と地獄/地獄のオルフェ』とは?
「ブフ・パリジャン座の天国と地獄のチラシ」ジュール・シェレ画、出典:Wikimedia Commons
オペレッタ『天国と地獄』は、フランス・パリで活躍した作曲家ジャック・オッフェンバックの作品です。
この作品は「オペレッタ」というジャンルに分類されることが多く、歌手はセリフ部分を普通にしゃべります。これが、セリフ部分も全て歌唱するオペラと大きく異なる特徴です。『天国と地獄』のオリジナルはフランス語ですが、ドイツ語や日本語など各国語で訳詞上演され、ミュージカルに近い感覚で楽しむことができる作品になっています。
オッフェンバックはパリで活動したドイツ出身のユダヤ人で、自作品のドイツ語上演もしました。現在オペレッタというと、ヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)の『こうもり』やフランツ・レハール(1870-1948)の『メリー・ウィドウ』などドイツ語圏の作品が人気ですが、その火付け役となったのがオッフェンバックのオペレッタでした。
『天国と地獄』|『Orphée aux Enfers』
オペレッタ『天国と地獄/地獄のオルフェ』先読みあらすじ
「1874年リバイバル版のポスター」ジュール・シェレ画、出典:Wikimedia Common
オルフェ(オルフェウス)とユリディス(エウリュディケ)の夫婦は、すでに愛情が冷えきっています。妻ユリディスの不倫相手、羊飼いのアリステ(アリスタイオス)の正体は、地獄の王プリュトン(プルート)。
プリュトンの策略によってオルフェウスが仕掛けた毒蛇にかまれたユリディスは、地獄に連れていかれてしまいます。
夫オルフェは妻の死を知ると、恋人のところへ行けると喜びます。しかし、「世論」に説得され、妻を取り戻しに天国へ向かいます。天国で神々の王であるジュピテル(ジュピター)に会い、妻を取り戻したいと要求します。ジュピテルはユリディスを返すようプリュトンに命じ、神々一同も地獄へ向かいます。
地獄で退屈していたユリディスは、ハエに化けたジュピテルと意気投合。地獄のパーティに2人で参加していると、世論に連れられたオルフェが妻を返すよう要求。ジュピテルは、「地上に帰るまで決して振り向いてはならない」とオルフェに条件を付けて、ユリディスを返します。
なかなか振り向かないオルフェにイライラしたジュピテルは、雷を落とします。オルフェが雷鳴に驚き振り返ると、妻はオルフェから引き離されてしまいました。オルフェは大喜びで地上に帰り、ジュピテルはユリディスをバッカスの巫女に任命します。
オペレッタ『天国と地獄/地獄のオルフェ』の登場人物
オペレッタ『天国と地獄』には、神話の神々がたくさん出てきます。ここでは、オリジナルのフランス語読み、日本で一般的なギリシャ神話での名称や英語読みなども、一覧にしてご紹介します!
この記事へのコメントはありません。