誰もが楽しめるバレエ『ドン・キホーテ』のあらすじや見どころを解説
2.バレエ『ドン・キホーテ』の原作は小説!原作とバレエの違いとは?
バレエ『ドン・キホーテ』の原作は、セルバンテスの同名小説です。バレエ『ドン・キホーテ』と原作小説との違いを解説します。
2.1
バレエ『ドン・キホーテ』の原作となった小説
バレエ『ドン・キホーテ』の原作となった小説
バレエ『ドン・キホーテ』の原作は、1605年と1615年に出版されたセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』です。
小説のほうは、タイトル通りドン・キホーテが物語の主人公となります。
騎士道物語に夢中になりすぎたアロンソ・キハーノという男性が、自らを経験豊富で勇敢な騎士と思い込み、世の不正を正そうと旅に出ます。
旅の後半では、カマーチョという富豪がお金を使ってキテリアという女性と結婚しようとしたのを、キテリアの恋人バジリオが狂言自殺で防いだというエピソードも。これが、まさにバレエ『ドン・キホーテ』のもととなった部分です。
2.2
原作小説とバレエの違いとは?
原作小説とバレエの違いとは?
小説『ドン・キホーテ』とバレエ『ドン・キホーテ』の違いは、誰を主役として物語が回っているかという部分です。
小説『ドン・キホーテ』では、ドン・キホーテが主人公としてさまざまなエピソードが盛り込まれています。
一方、バレエ『ドン・キホーテ』の主人公は、キトリとバジル。ドン・キホーテは、物語の要所要所で登場する脇役に留まっています。
3.バレエ『ドン・キホーテ』の振付師・演出家ごとの違い
バレエ『ドン・キホーテ』は1869年の初演以降、多くの振付師がさまざまな演出を生み出してきました。
本記事では、バレエ『ドン・キホーテ』で特に有名な演出をご紹介します。
3.1【初演】プティパ版
バレエ『ドン・キホーテ』の初演は1869年、マリウス・プティパによって振り付けられモスクワのボリショイ劇場で上演されました。
プティパが得意としたスペイン舞踊を取り入れ、庶民的な喜劇に仕上げた初演『ドン・キホーテ』は大成功を収めました。
1871年、プティパは改訂版『ドン・キホーテ』を生み出します。庶民的な初演と比べてクラシックバレエの技法を多く取り入れ、このときに第2幕の夢の場と第3幕の結婚式の場面が追加されました。
3.2 ゴルスキー版
1900年、プティパの弟子であったアレクサンドル・ゴルスキーがプティパ版を大幅に改定したゴルスキー版を制作し、ボリショイ劇場で上演しました。
プティパ版で見られたシンメトリーな形式をやめ、ゴルスキー版では個々のダンサーがそれぞれ輝くような踊りや表現を要求したのです。
このゴルスキー版は、以降のドン・キホーテの大元になっているといわれています。現在上演されているバレエ『ドン・キホーテ』では、ほとんどが振付・演出にプティパとゴルスキーの名前が書かれています。
3.3 ヌレエフ版
伝説のバレエダンサーであるルドルフ・ヌレエフによるヌレエフ版『ドン・キホーテ』では、超絶技巧をふんだんに盛り込んだ振付が特徴です。
ヌレエフ版の『ドン・キホーテ』は、パリ・オペラ座やミラノ・スカラ座バレエ、ウィーン国立バレエ団などがレパートリーにしています。
スパニッシュで豪華な衣装やセットも見どころの1つです。
3.4 バリシニコフ版
ミハイル・バリシニコフ振付のバリシニコフ版『ドン・キホーテ』は「ミーシャ(バリシニコフの愛称)といえばドンキ」と言われるほど、人気の高いバージョンです。
アメリカン・バレエ・シアターで、ミーシャ自身がバジルを踊りながら芸術監督として手がけた作品でもあります。難しいテクニックやコミカルな演技、スピーディーなストーリー展開が特徴的です。
3.5 カルロス・アコスタ版
カルロス・アコスタ版は、彼が英国ロイヤルバレエ団に在籍しているときに作った作品です。
舞台上でダンサーが声を発したり、ジプシーの場面でギタリストが登場したりするなど従来の『ドン・キホーテ』とは一風違った演出が楽しめます。
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