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2023年4月15日(土),16(日) 東京交響楽団 定期演奏会〜15(土)サントリーホール,16(日)ミューザ川崎シンフォニーホール

2023年4月15日(土),16日(日)
東京交響楽団定期演奏会

15日(土)/第709回 定期演奏会(サントリーホール)
16日(日)/川崎定期演奏会 第90回(ミューザ川崎シンフォニーホール)

気鋭の指揮者ウルバンスキを迎え
魅力的なプログラム

勢いにのるウルバンスキの演奏を聴く絶好の機会

©︎Sabrina Ceballos Orquesta Filarmónica de Gran Canaria


クシシュトフ・ウルバンスキはポーランド出身で、現在トロンハイム交響楽団首席指揮者、インディアナポリス交響楽団音楽監督、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者を務めている注目の指揮者です。

2014年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との共演も果たしました。NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団とは2枚のCDをリリースしており、さらに2017年には来日し全国ツアーを成功させています。

東京交響楽団には2009年に初めて客演し、その後2013年から2016年まで首席客演指揮者として活動していました。4月に行われるウルバンスキと東京交響楽団との公演にはピアニストのヤン・リシエツキと共演するプログラムもあるのですが、今回はシマノフスキの『スターバト・マーテル』を取り上げる公演をご紹介します。

選曲センスの良いプログラム

今回、3作品が演奏されます。

セルゲイ・プロコフィエフ
バレエ組曲『ロメオとジュリエット』より(ウルバンスキセレクション)

まずはプロコフィエフの『ロメオとジュリエット』からの抜粋。ご存じバレエのために作られた曲で、バレエで上演すると2時間半くらいかかってしまいます。

プロコフィエフはこの作品を管弦楽組曲として3作品(全部で20曲)作っています。いずれも演奏時間は30分弱くらいで収まり、ストーリーをなぞった構成になっています。この中からウルバンスキ・セレクションとして、やはりストーリーを追う形で以下の曲が演奏されます。

1.モンターギュ家とキャピュレット家
2.情景
3.朝の踊り
4.少女ジュリエット
5.仮面
6.ロメオとジュリエット
7.踊り
8.タイボルトの死
9.別れの前のロメオとジュリエット
10.朝のセレナーデ
11.百合の花を手にした娘たちの踊り
12.ジュリエットの墓前のロメオ
13.ジュリエットの死

の13曲です。

音楽だけでもたいそうドラマティックなプロコフィエフの『ロメオとジュリエット』、ウルバンスキはどのような物語を聴かせてくれるのか楽しみです。

ギョーム・コネッソン
『ハイターカイト』(合唱とオーケストラのためのカンタータ)

2曲目は合唱とオーケストラのためのカンタータ『ハイターカイト』
1970年フランス生まれの作曲家、ギョーム・コネッソンによる2021年の作です。ハイターカイト(Heiterkeit)とはドイツ語で「陽気な、楽しい、リラックスした」といった意味、一昨年に作られたまだ新しい作品です。ウルバンスキはこれまでヨーロッパでの公演でもこの作品を取り上げているようです。日本初演です。

注目のシマノフスキ『スターバト・マーテル』

カロル・シマノフスキ
『スターバト・マーテル』op.53

3曲目はシマノフスキ作曲の『スターバト・マーテル』、歌詞がラテン語ではなくポーランド語で歌われるので演奏機会の少ない作品です。

ソプラノ、アルト、バリトン、混声四部合唱とオーケストラという構成で1926年の作です。ウルバンスキはポーランドの作曲家、シマノフスキ、ルトスワフスキ、ペンデレツキといった人たちの作品を積極的に演奏していることでも知られています。

『スターバト・マーテル』はカトリックの聖歌のひとつで、多くの作曲家たちが曲を作っています。我が子イエスが磔刑に処せられた時に十字架のそばに立つ母マリアの悲しみを歌っています。これがポーランド語で歌われるとやはりポーランド人なら誰でも理解でき、特別な感情を抱くようです。素朴さやシンプルな敬虔の気持ちがあります。

シマノフスキはポーランドの民謡を採集していた時期があり、民謡の旋法が作品でも使用されています。実は多数ある『スターバト・マーテル』ですが、シマノフスキの『スターバト・マーテル』は人気が高いのです。民族的な素朴さと同時にスタイリッシュで静的な世界が広がっており、宗教曲として秀逸です。

ソプラノ:シモーナ・シャトゥロヴァ、メゾソプラノ:ゲルヒルト・ロンベルガー©︎Rosa Frank Vorschau、バリトン:与那城敬 ©︎Hiromi NAGATOMO

ポーランド語で歌うという困難さに挑むのは、ソプラノのシモーナ・シャトゥロヴァ、メゾソプラノのゲルヒルト・ロンベルガー、バリトンの与那城敬、そして東響コーラスで、ポーランド人は指揮のウルバンスキのみ。彼らのチャレンジングな演奏に大いに期待しましょう。


東京交響楽団 定期演奏会

【 第709回 定期演奏会 】
2023年4月15日(土)
会場:サントリーホール

開演:18時

【 川崎定期演奏会 第90回 】
2023年4月16日(日)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

開演:14時

★ チケット料金
9,000円〜4,000円

詳しくは:東京交響楽団 15日(土) 16日(日)


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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