プレビュー:6月10日(土)〜18日(日)新国立劇場バレエ団  『白鳥の湖』

6月10日(土)~18日(日)
新国立劇場バレエ団

『白鳥の湖』

2021/2022シーズンで初お目見えしたピーター・ライト版
待望の再演決定

初演から40年以上経っても色褪せない
完成度の高いプロダクション

ピーター・ライトは英国サドラーズ・ウェルズロイヤルバレエ(現在の英バーミンガム・ロイヤルバレエ)にて現在の新国立劇場舞踊監督である吉田都をプリンシパルにまで育て、やがて英ロイヤル・バレエのプリンシパルへと導いた吉田芸術監督の恩師です。ライト版の『白鳥の湖』は初演から40年以上経ちますが、英バーミンガム・ロイヤルバレエのレパートリーとして上演され続けています。日本では新国立劇場バレエ団にて、2021/2022シーズンに初めて上演され、その演劇性の高さ、特にジークフリート王子の丁寧な心理描写に高い評価を得て、再演が待ち望まれていました。今回は待望の再演となります。

冒頭とラストシーンが特徴的なライト版

ライト版では、物語の最初に国王の葬列のシーンが描かれます。宮廷は喪に服しており、王子は早急に外国の姫君と結婚して王位を継がなければならない状況にあることが理解できます。女王が姫君の肖像画を見せて一人選ぶように迫りますが、王子は乗り気ではありません。自分の立場を理解しているものの簡単には結婚に踏み切れない王子の憂鬱さに寄り添う友人ベンノの存在や、そういう心境ゆえにやがて出会う運命の相手オデットとの愛を貫こうと死を選んでしまう悲劇にも説得力があります。

ライト版では、『白鳥の湖』はジークフリート王子の成長物語であることが明確に打ち出されているのです。

第4幕の王子とオデットの美しいパ・ド・ドゥも見どころの一つです。オデットは王子に裏切られたものの王子を許し、二人はお互いの愛を確認します。けれどもオデットは湖に身を投げてしまいます。そして王子も亡くなりベンノが王子の亡骸を抱え悲しみます。王の死で始まり、王子の死で終わるという救いのない沈痛な悲劇であることが強調されるのです。

 キャストは5組、組まれています。『白鳥の湖』は古典バレエの傑作、バレエの代名詞のような作品ですが、バレエ・カンパニーは毎年『白鳥の湖』を上演しているわけではありません。もしもまだ新国立劇場バレエ団の『白鳥の湖』を経験していないのであれば、この機会にぜひ鑑賞してください。定評あるピーター・ライト版であり充実のキャストでもあるので、どのペアで鑑賞しても深い感動が得られることでしょう。

舞台画像|新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』撮影:鹿摩隆司


6月10日(土)〜18日(日)(9公演)
新国立劇場バレエ団
『白鳥の湖』
会場:新国立劇場オペラパレス

開演
10日(土) 14時
11日(日) 13時、18時30分
13日(火) 13時30分
14日(水) 13時30分
15日(木) 13時30分
17日(土) 13時、18時30分
18日(日) 14時

★ チケット料金
14,300円〜4,400円

詳しくは:新国立劇場


公演一覧
公演プレビュー


エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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