プレビュー:3月2日(木)~12日(日)ハンブルク・バレエ団『ジョン・ノイマイヤーの世界』『シルヴィア』東京文化会館
2023年
ハンブルク・バレエ団
『ジョン・ノイマイヤーの世界』/3月2日(木)~5日(日)
『シルヴィア』/3月10日(金)~12日(日)
ノイマイヤー ラスト・シーズン
見逃せない、歴史に残る来日公演
芸術を愛する人すべてに経験してほしい、特別な公演
ハンブルク・バレエ団が5年ぶり9度目の来日公演を行います。芸術監督のジョン・ノイマイヤーは、なんと50年もの長い間、このカンパニーを率いてきました。
ノイマイヤーは『椿姫』『ニジンスキー』『マタイ受難曲』など傑作を生み出し、現代バレエの生けるレジェンドです。彼の芸術監督としてのラストシーズン(2024年夏まで)という特別な時期に日本で公演を行ってくれるというわけです。
今回は、『ジョン・ノイマイヤーの世界』Edition2023と『シルヴィア』の2作品を上演します。
日本では初演となるノイマイヤー版『シルヴィア』
ノイマイヤー版の『シルヴィア』は、パリ・オペラ座バレエ団のために作られ1997年に初演されました。
もともと『シルヴィア』は1876年にパリ・オペラ座で初演された作品で、ギリシャ神話の世界が舞台になっています。
狩の女神ディアナのお気に入りのニンフ、シルヴィアとシルヴィアに恋する牧童のアミンタ、愛の神アムール、かつてディアナが愛した牧童エンディミオン、という主要キャラクターが登場し、シルヴィアが愛を知り最後にはアミンタと結ばれる、というストーリーです。
ノイマイヤー版では、スタイリッシュな美術、衣裳で、シルヴィアを一人の女性として捉え、成長していくさまを描いていきます。パリ・オペラ座の初演では、役のキャラクターにぴったり合ったエトワールたちによって演じられたのでした。
今回、手兵のハンブルク・バレエのダンサーによって日本で上演されます。シルヴィア役は菅井円加とイダ・プレトリウスが演じ、菅井は4回公演のうち3回も踊ります。本家ハンブルク・バレエのメンバーによる熱演に期待しましょう。
単なるガラ公演に終わらぬ圧倒的な感動を呼ぶ作品
音楽ファンにもぜひ見てほしい
『ジョン・ノイマイヤーの世界』は、2016年に日本初演されました。多数のノイマイヤー作品の中から選ばれた作品をハイライトで上演するという内容で、華やかなガラを楽しめると思っていた観客は想像もしなかった感動の世界を経験することになったのでした。2018年にも再演され、今回Edition2023として改訂版が上演されます。
ノイマイヤー自身が作品を選び、バレエ芸術に身を投じた自らの人生を辿っていく構成になっています。彼が舞台に立ち、バレエに魅了された人生を穏やかに語り、カンパニーのダンサー全員が数々の素晴らしい作品を踊り続けます。
『椿姫』
『ニジンスキー』
『作品100―モーリスのために』
例えば彼がダンスと出会い惹きつけられた子供時代を重ねた『アイ・ガット・リズム』『キャンディード組曲』『くるみ割り人形』や、友人であるモーリス・ベジャールの70歳の誕生日ガラのために作った『作品100─モーリスのために』(ノイマイヤーはアメリカ人で、音楽は同世代であるサイモン&ガーファンクルの『明日にかける橋』『旧友』が使用されている)、2020年コロナ禍で創作された『ゴースト・ライト』なども踊られます。『椿姫』『ニジンスキー』『マーラー交響曲第3番』といった彼の大作であり代表作ももちろん入っています。
音楽の使い方にも注目していただきたいです。ストーリーがなく、音楽そのものに振り付けたシンフォニック・バレエの『マーラー交響曲第三番』やJ.S.バッハの『クリスマス・オラトリオ』に振り付けた『クリスマス・オラトリオ』、ヴェルディの音楽を使用せず、全編ショパンが流れる『椿姫』、リムスキー=コルサコフの『シェヘラザード』とショスタコーヴィチの『交響曲第11番』が繰り返し使われる『ニジンスキー』など、バレエファンにとどまらず音楽ファンにもぜひおすすめです。ノイマイヤーの並々ならぬ音楽センスに感嘆するはずです。
ノイマイヤーが芸術監督として来日する最後の公演──歴史に残る偉大な芸術家と同時代に生きていることを感謝する、忘れられない公演となることでしょう。
Photos:Kiran West
2023年3月2日(木)~5日(日)
『ジョン・ノイマイヤーの世界』Edition2023
開演
2日(木) 19:00
3日(金) 19:00
4日(土) 14:00
5日(日) 14:00
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2023年3月10日(金)~12日(日)
『シルヴィア』
開演
10日(金) 19:00
11日(土) 13:30/18:00
12日(日) 14:00
会場:東京文化会館
★ チケット料金
24,000円〜8,000円
詳しくは:NBS
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