小説『ラ・ボエーム(ボヘミアン生活の情景)』アンリ・ミュルジェール:~オペラ『ラ・ボエーム』の原作紹介~オペラの原作#07-1
ジャコモ・プッチーニ作曲
オペラ『ラ・ボエーム』の原作
アンリ・ミュルジェール『ラ・ボエーム(ボヘミアン生活の情景)』
ジャコモ・プッチーニ作曲、青春オペラの傑作『ラ・ボエーム』
ジャコモ・プッチーニ 出典:Wikimedia Commons
19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した作曲家ジャコモ・プッチーニは、イタリアのトスカーナ州にある城塞都市、ルッカで音楽一家のもとに誕生しました。
18歳のとき、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『アイーダ』の上演を目にして、深く感銘を受けたプッチーニは、それまで学んでいた宗教音楽家への道を捨てて、オペラ作曲家を目指します。
ミラノに移り、オペラの勉強を始めたプッチーニは3作目に書いたオペラ『マノン・レスコー』が評判となり、名作を次々と生み出していきます。
代表作は『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』『西部の娘』『トゥーランドット』など。
今回は、七月革命後のパリを舞台にした恋と青春のオペラ『ラ・ボエーム』の原作について紹介します。
なお、オペラの公演が6月18日(水)〜7月8日(土)まで新国立劇場にて上演、配信されます。
23章700ページに及ぶ小説の、各章のあらすじ、オペラとの違いや公演情報などを2記事にまとめましたので、作品をより楽しむための参考として、最後までご覧いただければと思います。
『ラ・ボエーム(ボヘミアン生活の情景)』アンリ・ミュルジェール
パリで出版された小説『ボヘミアン生活の情景』の表紙とアンリ・ミュルジェール 出典:Wikimedia Commons
19世紀のパリ。何者かになりたいという野心をもった貧しい4人の若き芸術家と、その恋人たちの生活を赤裸々に描いた小説『ラ・ボエーム(ボヘミアン生活の情景)』。
この小説は、23章からなる連作短編集となっており、それぞれの章ごとに登場人物が入れ替わり、ボエームと呼ばれる人々の、喜びや、苦しみ、笑い、怒り──生活の悪戦苦闘ぶりが、ときにコメディタッチに、ときに詩的に描かれています。
オペラ『ラ・ボエーム』では、18章「フランシーヌのマフ」の物語を軸に、ボエーム生活を送る若き芸術家ロドルフ(ロドルフォ)とお針子ミミの出会いから悲しい別れまでが、叙情性の高い音楽と共に繊細に描写されます。
小説『ラ・ボエーム』の登場人物と舞台
小説『ラ・ボエーム』の登場人物
ロドルフ
詩人
マルセル
画家
アレクサンドル・ショナール
音楽家
ギュスターヴ・コリーヌ
哲学者。古本収集が生きがい
ミミ
お洒落好きな気の多い女性
ミュゼット
国務院の役人の愛人
フェミイ
染物娘
ジャック
彫刻家
フランシーヌ
お針子
小説『ラ・ボエーム』の舞台
1840年代のパリ カルチェ・ラタン
ボエームとは?
元はロマと呼ばれる人々を差す言葉で、フランスではロマはボヘミア(現在のチェコ中西部)からやってきたと考えられていたため、ボエーム、ボヘミアンと呼ばれました。そこから転じて、自由気ままに生きる人をボエームと呼ぶようになったそうです。
19世紀のフランスでは、芸術の都パリへ集った若い芸術家たちのことを意味する言葉となりました。
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