オペラあらすじ「さまよえるオランダ人」リヒャルト・ワーグナー

さまよえるオランダ人
Der fliegende Holländer


作曲:リヒャルト・ワーグナー
原作:ハインリヒ・ハイネ「フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記」
台本:リヒャルト・ワーグナー
初演:1843年1月2日、ドレスデン宮廷歌劇場(ドレスデン)
構成:全3幕
上演時間:約2時間30分

登場人物

オランダ人  |幽霊船の船長
ダーラント船長|ノルウェー人の貿易船の船長
ゼンタ    |ダーラントの娘
エリック   |ゼンタに思いを寄せている

ストーリー

〜呪われた幽霊船は7年に一度港に寄れる〜

ダーラントの船の隣に赤い帆の幽霊船が停泊する

ダーラント船長の船が、荒波を逃れ、港に停泊して嵐が過ぎるのを待っています。そこへ、赤い帆を張った船が現れて錨を降ろし、男がひとり降りてきました。
男は、呪われていて死ぬこともできず、海を彷徨い7年に一度しか上陸することができない、そして永遠の貞節を誓う乙女だけが、彼の呪いを解くことができるのだと、自分の悲しい身の上を歌います。

そうとは知らないダーラント船長は男に話しかけました。男は、自分はオランダ人で、長いこと船でさまよっていたと話し、しばらく宿泊の世話をしてほしいと船長に頼みます。
お礼にと持ってきた箱の中には、たくさんの真珠や宝石が輝いていました。そして、船長の娘を妻にできれば、船にある財宝すべてを渡すと持ちかけます。欲にくらんだダーラント船長は、その申し出を受け入れてしまいます。

幽霊船のオランダ人と乙女ゼンタ

村の女性たちが、糸紡ぎをしているなかゼンタだけが壁に掛けてあるオランダ人の肖像画を見つめています。このオランダ人の悲しい歌を乳母から聞いて育ったゼンダは、幽霊船伝説の呪いを解くことができるのは自分しかいないと、不思議な確信をもっていました。
彼女のことが好きな猟師のエリックは、オランダ人とゼンタが海に去ってしまう夢を見たと心配しますが、それを聞いたゼンダは、ますます想いを強くしてしまいます。

そこに、ダーラント船長の船が港についた知らせが届きました。ゼンタはダーラント船長からオランダ人を紹介され、壁の肖像画のオランダ人だと驚きます。互いに運命を感じた二人は、永遠の愛を誓います。

果たして呪いは解けるのか

ダーラント船長の船の水夫たちが合唱する中、娘たちがオランダ人の船に声を掛けますが、返事はなく不気味な声だけが響き渡ります。
一方、エリックはゼンタを追いかけています。自分に愛を誓ったのに酷いと責めますが、彼女は聴く耳を持ちません。しかし、その話をオランダ人が聞いていました。

オランダ人は、貞節を失ったと絶望し、自分は海に帰る、そして自分は「さまよえるオランダ人」だと身元をあかして海へ去っていきます。ゼンタはその後を追い、崖からオランダ人への愛を誓い、海へ身を投げます。

すると、オランダ人の船は呪いが解け沈没してゆきました。オランダ人とゼンタが光の中を天へ上り、幕は下ります。


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「オペラハーツ」副編集長

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