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オペラ・バレエを映像で楽しもう! ~無料動画や配信 安価で楽しんだり、じっくり研究しながら鑑賞できる!~

オペラ・バレエを映像で楽しもう!

1887年にエミール・ベルチナーがレコードを実用化し、1893年にはフランスのリュミエール兄弟が世界初の映画を公開しました。やがて1927年に録音した音源と動画を同時再生するトーキー映画が生まれ、音楽と映像の両方を世界に流通させられるようになりました。

技術の発展に伴って、クラシックの世界もその時々の最新技術を尽くし、磨いてきた芸術を保存・流通させる試みが行われてきました。現在も、最新の技術に乗せて鑑賞体験を、手軽に、どこにでも届けています。伝統と歴史を大切にしながらも、常に進化をしてもいるのです。

本記事ではクラシックの中でも「オペラ」「バレエ」の二つを映像で鑑賞できる方法を紹介します。
インターネット・デジタル技術で、クラシック舞台を手軽に、廉価に、気が向いたときに楽しみましょう。

なお、今回紹介する方法の多くで、舞台要素のないオーケストラ・コンサートや、クラシックではない近代のミュージカル、舞台劇などのコンテンツも提供されています。ご興味がある方はそういった作品も併せて楽しめるようになるかも?

映画館

現在各地の映画館では、オペラや映画の公演の様子をライブビューイングや劇場作品として上映していることがあります。

特に以下の団体は積極的に劇場でクラシック音楽舞台を楽しむ機会を提供してくれています。

METライブビューイング
(メトロポリタン歌劇場)

アメリカ・ニューヨークを本拠地とする世界トップクラスのオペラ劇団、メトロポリタンオペラのライブビューイングです。

日本では松竹が配給を担当しているので、松竹系の映画館ブランドであるMOVIXやピカデリー、東劇などで鑑賞することができます。

通常の他の映画と違って一般料金3700円と少し高額なのですが、映画館の大きなスクリーンと優れた音響でオペラを味わう体験は値段相応のよさがあります。

(2022-23シーズンの料金。通常の映画は割引サービス等がなければ1800円)

ここ数年の動向では、11月から翌年7月にかけて毎月1〜2作品程度のペース、年間10〜12作品を上映しており、9月には一部劇場でアンコール上映をしています。

ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン

ロイヤル・オペラ・ハウスおよびロイヤル・バレエは、イギリス王室の後援を受ける、こちらも世界トップクラスのオペラ劇団/バレエ団です。両団体の上演を映画館で楽しめる企画が毎年行われています。

日本では東宝が配給を行っており、TOHOシネマズなどを中心に上映されています。

こちらも通常料金3700円(2021-2022シーズン)と、通常の映画に比べて高額です。

この数年の動向では、年始から8月ごろまでに10作品程度を上映しています。年末が近づくころには上映予定が発表されると思われますので、お楽しみに!

Kバレエカンパニー

日本のバレエ団Kバレエカンパニーでは、舞台上演の数か月後にシネマ版として劇場公開される公演があります。ユナイテッド・シネマ/シネプレックス系で上映されています。

こちらも2500円(2022年6月の『ロミオとジュリエット』の場合)と、METやロイヤル・オペラよりは安価ですが、一般の映画よりは少し高いです。

現時点では不定期に企画されているようです。

そのほか、ライブ・ビューイング・ジャパンなどが海外の名劇団の公演を上映する企画を行っていることがあります。

インターネット配信

動画のインターネット配信は今や世界的に普及しました。

個人も企業も国の公的機関も、YouTubeやニコニコ動画などのプラットフォームで動画コンテンツを提供し、また既存の映像コンテンツが見放題サービスやオンラインレンタルで提供されることも当たり前になっています。

クラシック音楽もそれぞれの場所で提供されています。

公式配信

いくつかの大手の劇団や関連団体が全幕公演を配信しています。主に公式ホームページ上や、Youtubeの公式チャンネルから鑑賞できるようになっています。

新国立劇場ではサイト内でオペラの全幕無料配信を行っています。そのほかにも、NHKオンデマンドと提携して提供しているコンテンツもあります。
新国デジタルシアター

藤原歌劇団は、コロナ禍のステイホーム支援のために『カルメン』『蝶々夫人』の全幕を無料公開していて、現在も視聴可能になっています。
藤原歌劇団 OPERA de STAY HOME

メトロポリタンオペラは自前のオンデマンド配信サービスを展開しています。アメリカの劇団なので英語サイトしかありませんが、月額14.99ドル(およそ2000円)または年間149.99ドル(およそ2万円)で過去のMETの配信コンテンツを見放題!また、一作品4.99ドル(およそ700円)でのレンタルもあります。(要クレジットカード登録)
800公演以上もの膨大な全幕オペラを、パソコンの大きな画面のほか、スマホ・タブレットの専用アプリからでも気軽に楽しむことができます。

海外のオペラ・バレエ団体を招致して国内興行を行っている光藍社も、YouTubeチャンネルでキエフ・バレエおよびキエフ・オペラ(22年冬よりウクライナ国立バレエ、ウクライナ国立歌劇場)のいくつかの公演を全幕で公開しています。
KORANSHA TV キエフ・バレエ「白鳥の湖」全編

Opera VisionはEU共同のプロジェクトです。EU各地の劇場+日本の新国立劇場がパートナーシップを結んでおり、様々な公演を無料で配信しています。(配信期間は作品によります)
サイトは英語、フランス語、ドイツ語のみで、ほとんどの動画は英語と伊仏独などからもう一言語での字幕がついています。
YouTubeの自動翻訳機能を使って日本語字幕にすることができます。下記折り畳みを参照してください。
Opera Vision

海外のYouTubeオペラ動画で日本語の字幕を表示する方法 クリックで表示

①の歯車マークをクリックすると、設定メニューが表示されるので、②の「字幕」をクリックします。

各動画に配信元がつけた言語の字幕が選べるようになっています。いずれかの言語を選んでください。このサンプルでは「英語」を選びます。(ここで「日本語」が選べる場合、それを選んで終了です。)

設定メニューが閉じて、先ほど選んだ言語の字幕が表示されるようになっています。もう一度、一枚目の画像の①「歯車」→②「字幕」をクリックすると、今度は言語に「自動翻訳」が追加されているので、これをクリックします。

緑枠のスクロールバーを使って「日本語」を探してください。最下部の方にあるかと思います。
配信者が作った字幕を自動翻訳で日本語にしてくれます。自動翻訳なので読みづらい文章になるかもしれませんが、概ね内容がわかるような日本語字幕が表示されます。
なお、画像二枚目のときに選んだ言語から日本語に自動翻訳しているので、その時に選んだ言語によって翻訳に差が発生する場合があります。

(なお、サンプルのスクリーンショットには、オペラやバレエではない自社動画コンテンツを使用しています)

その他にも、日生劇場東京芸術劇場などは、Youtube公式チャンネルで公演のダイジェストやメイキング映像などを配信しています。
また、一部には公演を生配信するイベントなどもあります。

動画サブスクリプションサービス

アマゾンプライムやU-NEXTなどの各種動画サブスクリプションサービスのコンテンツの中に、オペラやバレエの舞台が含まれています。

普段お使いの動画サブスクのついでに観られるため、映画やドラマなどを観ているなら、作品検索のときにちょっと目を向けてみてはいかがでしょうか。筆者が利用しているU-NEXTの場合、「音楽」や「舞台」などのカテゴリに入っているようです。

有料チャンネル

有料チャンネルのWOWOWでは、メトロポリタンオペラやKバレエの公演を放映しています。
劇場で公開されたMETライブビューイングなどをテレビで鑑賞可能になります。

自分から作品を選んで観るのではなく、受動的におすすめされる色々な舞台を観てみたいなら、チャンネル側で放送予定を組んでくれる有料チャンネルを頼るのもいい使い方でしょう。

映像ソフト、その他

オペラ・バレエなどの舞台の様子を録画したDVDやブルーレイディスクなどの映像ソフトが販売されています。古い作品だと、VHSやレーザーディスクなどもあります。
有名な映画などなら多くが動画サブスクリプションで観られる時代ですが、古い作品や小規模な舞台の映像記録などは、映像ソフトでしか振り返れないものもあります。

一作品ごとに数千円になりますが、入手すれば同じ作品をずっと、何度も見ることができます。
後からでもソフトを買えばいつでもその作品に触れることができるのも利点でしょう。

流通しているものなら、Amazonや各劇団の通販で購入するのが、見たい公演を見るベストな手段です。

取り扱いはあまり多くないかもしれませんが、TSUTAYAなどのレンタルビデオ店で扱われているものや、中古販売されているものなどを探せば、低価格で鑑賞できるものがあります。

また、図書館や資料館などで収蔵されているものを閲覧しに行く方法もあります。

東京文化会館の音楽資料室では音楽関係の映像資料DVD、LD、VHSあわせて約4200点を一般公開していて、著名な古典オペラ・バレエの多くを観ることができます。
国立国会図書館にも、音声映像資料のコーナーがあり、映画などと同じように保管されています。
地域の図書館等にもオペラなどのDVDがあるかもしれません。近所を探してみるといい出会いがあるかもしれませんよ?

また、新国立劇場では、これまで新国立劇場で行った講演の多くの動画データを保存しています。劇場5階の閲覧室でそれらの試聴ができます。
音楽・芸術系の大学の図書館も貴重な資料があることでしょう。手軽とは言い難いかもしれませんが、どうしても観たい作品がある場合には頼ることができるかもしれません。

まとめ

映像でクラシックの舞台を楽しむ代表的な方法をまとめました。

なるべく良い映像、良い音声を楽しみたいのなら、映画館での上映。
手軽に楽しみたいのなら普段お使いの動画サブスクで検索してみたり、図書館や学習・文化施設を訪ねてみると、無料でオペラ・バレエを楽しむことができそうです。

生音の音楽や、実際にそこで役者やダンサーが演じる空気感は、映像からは得難い体験です。
しかし、映像には映像で、何度も観られるために作業中気軽に流してみたり、細かな表現を確認しに何度も巻き戻したりできるメリットもあります。お手軽だから沢山の作品を観やすいことも、もちろん大事なメリットです。

ですから、両方の強みを使い分け、より豊かなオペラ・バレエライフを送ってください!

オペラハーツの編集とライターを兼任。 小中でピアノ教室に通い、中高では吹奏楽部で打楽器を担当した程度の演奏経験。 クラシック以外にロック、EDM、ボカロ、ゲーム音楽なども好んで聴く。

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