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ニュース:クラシック・キャラバン2023 記者会見全国27カ所でコンサートを開催(2023年7月21日)

クラシック・キャラバン2023 2023年8月21日(月)〜2024年1月7日(日)

 「クラシック・キャラバン」とは、コロナ禍を乗り越えるために、一般社団法人日本クラシック音楽事業協会が2021年に発足したプロジェクトのこと。今回で3回目の開催となり、8月21日の秋田公演から2024年1月の新潟公演まで27公演が行われる。

記者会見には一般社団法人日本クラシック音楽事業協会の会長である入山功一、出演アーティストである作曲家の池辺晋一郎、ピアニストの仲道郁代、ハーピストの吉野直子、そして「クラシック・キャラバン2023」プロジェクトのアンバサダーを務める落語家の春風亭小朝が登壇した。

左より:朝岡聡、入山功一、池辺晋一郎、仲道郁代、吉野直子、春風亭小朝

3回目の今年は「お客様を演奏会に呼び戻す」

一般社団法人日本クラシック音楽事業協会会長 入山功一

 最初に入山がプロジェクトの取り組みについて語った。

1年目は、コロナ禍で緊急事態宣言が出され、演奏会実施がままならない状況だった。その中で演奏の機会、事業者には仕事の機会を提供することを目的とした。2年目は、演奏会の数は以前の80%ほどに戻ってきていたが、演奏会場に足を運んでくださるお客様は40%以下という状況。このプロジェクトが呼び水になれば、という気持ちだった。そして今年は演奏会の数は以前と同じに戻っているけれどお客様は70〜80%くらい。円安による経済の影響もあると考えられるが、演奏会に戻ってきてもらえるようになれば、と語った。

そして新たに2つの取り組みを行うとのこと。

ひとつ目は、企画アドバイザーを起用し専門的な視点でこのプロジェクトにアドバイスをしてもらう。作曲家の西村朗、ピアニストの仲道郁代、テノールの福井敬が参加する。ふたつ目は、すべての公演のプログラムに日本人作曲家の作品を入れるということ。日本人作曲家に何か貢献できないか、という発想から実行することになった。

登壇者の、プロジェクトに参加することへの思い

アーティスト代表 池辺 晋一郎                          アーティスト代表 仲道 郁代

 企画アドバイザーでもある池辺は、9月23日の高知公演、11月9日の鹿児島公演で司会を務める。

「コロナの前後でお客さんの受け取り方、聴き方が全く違っていることに気づきました。みなさん、生の音楽に浸り、聴く喜びを実感されています。今年のキャラバンでも各地で具現されていくことと思います。こういう音楽のあり方を続けていかなくてはいけないですし、お客さんが喜ぶ瞬間に立ち会いたいです」

同じく企画アドバイザーを務める仲道郁代は、11月9日の新潟公演に出演する(監修も担当)。

「りゅーとぴあでの公演では5台のピアノによるコンサートを行います。プログラムと出演者の決定、舞台進行、舞台設営をスタッフのみなさんと共に考えています。横山幸雄さん、小川典子さん、私のベテラン勢と、五十嵐薫子さん、小井土文哉さん、吉見友貴さんという若手3名の6名が出演します。5台ピアノの作品は珍しく、超絶技巧の難曲なのですが、公演は新潟の1回きりです。希少な公演に挑戦して、次のステップにつながるものになればと思っています」

吉野は、12月7日島根公演と12月9日山口での公演に出演する。

「プログラムはフォーレの『シシリエンヌ』など馴染みやすい曲で構成されています。普段、コンサートに行かない方に、目の前で行われているアーティスト同士の会話や息遣いといった室内楽ならではの空気感を味わっていただきたいです」

一度去ってしまったお客さまを呼び戻す

プロジェクト・アンバサダー 春風亭 小朝                  アーティスト代表 吉野 直子

プロジェクト・アンバサダーを務める春風亭小朝は、コンサート会場に行かなくなってしまったお客さまをいかに呼び戻すか、について語った。

「コロナ禍でコンサートに出かけられない状況になったら、別にコンサートに行くことが日常に必要なことではない、行かなくても平気じゃないかとわかってしまいました。そういうお客さまに劇場に戻ってきていただくには、これまでの3倍以上の努力をしなければなりません。企業努力、プログラム構成、そして情熱も必要です。このクラシック・キャラバンは素晴らしい企画です。入場料は文化庁の支援があり抑えられていますし、プログラムは美しい名曲で組まれています。そして一流の奏者が出演します。コンサートはしばらくぶり、という方にお誘い合わせの上、足を運んでいただければと思います」

実はクラシック初心者にも最適なプロジェクト
魅力的なチケット代、耳馴染みの良い選曲、一流の演奏家

 「クラシック・キャラバン」は、演奏家はもちろん、劇場関係者、音楽マネジメントなどクラシック音楽興行のプロたち、すなわちクラシック音楽業界のプロたちが企画している。文化庁の支援も得てチケット代をかなり安く抑える、一流の演奏家を揃える、誰でも親しめる美しい曲でプログラムを組む、といったすみずみまで心配りのなされた公演ばかり。プロ集団が知恵を絞って劇場へお客さまに足を運んでもらい、かつてのような、そしてかつて以上に活気に満ちた状況になることを目指している。

つまりそれは、クラシック音楽に興味を抱いてまだ日の浅い人にうってつけの企画とも言える。全国27カ所で行われるのでぜひクラシック・キャラバンのコンサートに出かけることをおすすめしたい。

ソリストとオーケストラなどが出演する「華麗なるガラ・コンサート」(大ホール企画)と、室内楽を中心とした「煌めくガラ・コンサート」と2つのタイプのコンサートがあるのでよく調べて出かけよう。

詳しくは:クラシック・キャラバン2023

「華麗なるガラ・コンサート」~クラシック・キャラバン2023~

豪華ソリストたちが贈る、世界のクラシック名曲選

8/21(月)14:00開演 あきた芸術劇場ミルハス 大ホール

<出演>司会:高橋克典、指揮:沼尻竜典、ピアノ:金子三勇士、ヴァイオリン:渡辺玲子、ソプラノ:幸田浩子、テノール:福井敬
詳しくは、こちらから

「華麗なるガラ・コンサート」~クラシック・キャラバン2023~

芸術の秋に聴くクラシック名曲集~女神たちの音楽~

9/23(土・祝)14:00開演 高知市プラザかるぽーと 大ホール

10/13(金)18:45開演 東広島芸術文化ホールくらら 大ホール

11/9(木)18:30開演 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第2ホール

<出演>司会:池辺晋一郎(9/13,11/9)、朝岡聡(10/13)、ヴァイオリン、ピアノ、チェロ、ソプラノ、弦楽アンサンブルほか
詳しくは、こちらから



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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