2022年10月29日(土)、30日(日)ヒューストン・バレエ『白鳥の湖』東京文化会館

2022年10月29日(土)、30日(日)
東京文化会館
ヒューストン・バレエ『白鳥の湖』

全米屈指のバレエ団が、待望の初来日!

日本で見る機会の少ないアメリカのバレエ団

アメリカにはハイレベルなバレエ団がたくさんあり、それぞれ充実した活動を繰り広げています。ニューヨークにあるアメリカン・バレエ・シアター、ニューヨーク・シティ・バレエという世界有数のカンパニーにはじまり、豊富なレパートリーと高レベルのダンサーたちで名高いヒューストン・バレエ、サンフランシスコ・バレエ(倉永美沙がプリンシパルとして在籍しています)、さらにボストン・バレエ、シカゴのジョフリー・バレエ(ロバート・アルトマンの映画『バレエ・カンパニー』の舞台となりました)、ワシントン・バレエ、アトランタ・バレエ、オクラホマ州タルサにあるタルサ・バレエなど、数多くのバレエ団が存在しています。

これほど名前を知られているカンパニーが多いのは、20年ほど前から日本人ダンサーがたくさん在籍し、ダンサーたちの行き来も盛んで日本人が大活躍をしているからです。しかし残念ながら、アメリカのカンパニーが来日する機会は、ほとんどありませんでした。今回、全米屈指のヒューストン・バレエがカンパニーとして初来日公演を行うのは、大変貴重な機会です。

加治屋百合子、吉山シャール ルイ・アンドレがプリンシパルとして在籍

ヒューストン・バレエにも日本人ダンサーが在籍しています。アメリカン・バレエ・シアターから2014年に入団した加治屋百合子、吉山シャール ルイ・アンドレがプリンシパルとして活躍しており、他にも加藤凌、藤原青依、福田有美子、アクリ士門、脇塚優らが在籍しています。2021年3月までは飯島望未(現Kバレエカンパニー プリンシパル)がプリンシパルとして在籍していました。

 今回上演するのはウェルチ版『白鳥の湖』1作品のみ。潔さと作品への自信が感じられます。

『白鳥の湖』オディールを演じる加治屋百合子(右)

ウェルチ版『白鳥の湖』の見どころ

芸術監督のスタントン・ウェルチは2006年に『白鳥の湖』を新たに振り付けました。『白鳥の湖』にはさまざまな版があります。ハッピーエンドで終わるか、アンハッピーエンドとなるか、という違いだけでありません。例えばオーストラリア・バレエがレパートリーとしているグレアム・マーフィー版は英国王室をモチーフとしていて、オデットはダイアナ妃をイメージさせますし、マシュー・ボーン版は王子は明らかにマザコンで、慰める白鳥は男性、登場する白鳥はすべて男性です。

ウェルチ版では、「人間が白鳥に変えられている」という点を強調しています。王子は人間の女性としてオデットと最初に出会います。王子が一目惚れするのは人間の乙女なのです。オデットの昼は人間、夜は白鳥、という違いをドレスかチュチュという衣装で区別できるのでわかりやすいです。

また、第1幕のパ・ド・トロワがなく、4人の花嫁候補が第1幕からヴァリエーションを踊ります。男性ダンサーが群舞含め大変活躍し、よく踊ります。男性ダンサーがよく踊る──これは従来の『白鳥の湖』にはない特徴で、とてもダイナミックで勢いがあり、物語は一層ドラマティックになるのです。

今回4公演で3キャストが組まれています。加治屋百合子、吉山シャール ルイ・アンドレはもちろん主役で登場しますが、他にも『ブラックスワン』でダンス・ダブル(ダンスシーンでの代役)を務めたサラ・レイン、カンパニーの看板スター、コナー・ウォルシュ、新しくカンパニーに加入して活躍が期待されるプリンシパル、ベッケイン・シスタ、チェイス・オコーネルらが主演します。

全幕で彼らを見ることができるのは、日本では非常に稀なこと。アメリカのバレエ団の底力を楽しみましょう。


ヒューストン・バレエ『白鳥の湖』

2022年10月29(土)、30日(日)
会場:東京文化会館

開演: 12時、17時

チケット料金:7000円〜25000円 

詳しくは:光藍社


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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