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音楽家すぎやまこういちを偲んで~ドラゴンクエストで融合し、受け継がれるクラシック音楽とゲーム音楽~(10/5公演情報更新)

昨年9月30日、偉大な音楽家、すぎやまこういちがこの世を去りました。

世界的に『ドラゴンクエスト』の音楽家として知られるすぎやまさん。その音楽的ルーツはクラシック音楽にありました。
壮大さと繊細さを併せ持つクラシック音楽の技法は、すぎやまさんによって現代のゲームミュージックに組み込まれ、新たな形で受け継がれています。さらにすぎやまさんは、ゲームを通じてクラシック音楽を人々に届ける活動でも多大な貢献をしました。

一周忌を間近に控える今、その歴史をちょっと紐解いてみると、クラシックがもっと身近に感じられるかもしれません。
今回は、『ドラゴンクエスト』の音楽とゲーム音楽の歴史を、クラシックの視点から振り返ってみます。

 
 
 
 
 
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第二の国歌?『序曲:ロトのテーマ』

1986年に発売された『ドラゴンクエスト』は、エニックス(現スクウェア・エニックス)から発売された、日本初の家庭用ゲーム機向けオリジナルRPG。『ドラクエ』または『DQ』の略称でもよく知られています。
当時まだ目新しかったファンタジーの世界に引き込むゲーム性が大ヒットして、続編の発売日には会社や学校を休んで攻略しようという社会現象にもなりました。
漫画『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』と続けて超ヒット作を描いた鳥山明による格好良さも親しみやすさもあるビジュアルに加え、その世界を彩るゲーム音楽も高い人気を誇ります。


中でもとりわけ有名な『序曲:ロトのテーマ』は、2021年の東京オリンピックの入場式で、選手団入場BGMの最初の一曲という、日本を代表する一曲として使われるほどのものでした。
ゲームをやったことがなくても、ゲームのCMで流れていたり、バラエティ番組などのBGMに使われたりしていて、日本人の誰もがどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

以前よりゲームファンなどから第二の国歌と冗談で言われるほど親しまれていましたが、この時は本当に第二の国歌になってしまったかのようでした。

そんな『ドラゴンクエスト』の音楽は、実はクラシックの様式と技法を使って作られています。

作曲を手掛けたのはすぎやまこういち(1931-2021)です。『ドラゴンクエスト』以前の経歴では、学生時代にクラシック音楽を学び、テレビディレクターとして『ザ・ヒットパレード』の企画を立ち上げて成功させ、『亜麻色の髪の乙女』など歌謡曲でもヒット曲を作っています。

彼が劇場アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』の主題歌・劇伴音楽を手掛けた際はNHK交響楽団に演奏してもらったのですが、これがN響初のアニメ音楽演奏だったので、当時その点でも話題になりました。

元々ゲームが大好きで、ゲーム会社へのアンケートはがきが届いたことがきっかけで、ゲーム音楽に携わることになったそうです。2021年、惜しまれながらご逝去されましたが、多くの分野で愛された作曲家でした。

出典:Wikimedia Commons

オペラハーツの編集とライターを兼任。 小中でピアノ教室に通い、中高では吹奏楽部で打楽器を担当した程度の演奏経験。 クラシック以外にロック、EDM、ボカロ、ゲーム音楽なども好んで聴く。

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