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プレビュー:ヒューストン・バレエ 『オープニング・ガラ』『ジゼル』7月3(木)〜12日(土) 東京文化会館他

早くも再来日
芸術監督の作品を集めたスペシャルなガラ公演と、
ウェルチ版日本初演の「ジゼル」、2種類の公演で華やかに

2022年に芸術監督であるスタントン・ウェルチが振り付けた『白鳥の湖』を披露したヒューストン・バレエ。迫力ある男性ダンサーたちの群舞や際立つ美しさの女性ソリストたちなどレベルの高さ、作品のわかりやすさやクオリティの高さに圧倒されました。大好評だった初来日から時間をあけずに、この夏、再来日を果たします。

昨年、共同芸術監督として元アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルであるジュリー・ケントが新たに加わり、ますます充実した活動を行っているカンパニーの様子にも期待ができます。

今回の来日公演は、日本初演となるウェルチ版『ジゼル』と、特別プログラムとして「オープニング・ガラ」の2種類の公演が予定されています。

ユニークな演目で構成されたオープニング・ガラ

最近、日本ではガラ公演は頻繁に行われるわけでなく、そもそも貴重な機会となることは間違いないのですが、特に上演演目が珍しい作品が並んでいるので見逃せません。

「オープニング・ガラ」で上演されるのは『クリア』『シルヴィア』『蝶々夫人』『魂の音』『ヴェロシティ』の5作品。芸術監督スタントン・ウェルチ振付の代表作ばかりを観ることができる、貴重な公演です

『クリア』は2001年アメリカン・バレエ・シアターで初演された作品で、ヒューストン・バレエでは2007年に初演、以来レパートリーとなっています。芸術監督のジュリー・ケントはアメリカン・シアターに在籍時、初演ダンサーとして踊りました。音楽はバッハの「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲」と「ヴァイオリン協奏曲ト短調」を使用し、衣裳はマイケル・コースが手がけています。7人のスターダンサーによって踊られ、加治屋百合子、エリック・ベスト、アクリ士門、滝口勝巧 らの出演が予定されています。

『シルヴィア』は、2019年にオーストラリア・バレエ団との共同制作で生まれた作品。第1幕、半神のシルヴィアがエロスに「最初に見た相手に恋をする」という魔法をかけられ、その直後に現れた羊飼いを見て恋に落ちてしまうシーンのパ・ド・ドゥが披露されます。カリーナ・ゴンザレス、ハーパー・ウォッターズが出演します。

『蝶々夫人』もウェルチの振付作品です。初演は1995年オーストラリア・バレエですが、ウェルチは加冶屋に踊ってもらいたいという思いで作ったそうです。加治屋百合子、コナー・ウォルシュとカンパニーを代表する二人によるパ・ド・ドゥです。

『魂の音』は2013年パリのシャンゼリゼ劇場で初演されました。ショパンの音楽に乗せて踊られるこの作品、ピアニストのラン・ランとのコラボレーションで生まれたものです。藤原青依、エリック・ベストが出演します。

『ヴェロシティ』はウェルチの作品、パ・ド・ドゥではなく、11人ずつの男女によって踊られます。音楽はアメリカ人作曲家マイケル・トークで、スピーディな展開が続き、最後は全員で華やかに踊る作品です。

ウェルチ版『ジゼル』の見どころ

全幕ものとして今回はウェルチ版『ジゼル』が上演されます。この作品は、ウェルチが加冶屋百合子のために振り付けたのだそう。音楽を原作に忠実に使用しているとのことで、現在上演されている多くの版よりも音楽がたくさん使われています。ということは踊るシーンが増えるということで、第1幕では貴族の男性たちが踊ったり、村の結婚式のシーンが加わったりしています。

加冶屋はもともとジゼル役を得意としており、世界的に高い評価を得ています。

実は日本で加冶屋が『ジゼル』の全幕を踊るのは今回が初めてとのこと。たおやかで美しい加冶屋のジゼル、絶対に見逃せませんね。

ウェルチ作品を主にしたガラ、そして古典の『ジゼル』を披露することで古典から現代物まで幅広いレパートリーを持ち、アメリカ有数のバレエ・カンパニーであるヒューストン・バレエの魅力がはっきりと理解できる良い機会になるのでないでしょうか。


会場:愛知県芸術劇場大ホール

詳しくは:光藍社

エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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