プレビュー:新国立劇場オペラ『セビリアの理髪師』5月25日(日)〜6/3日(火) 新国立劇場オペラパレス

キャストが絶妙

新国立劇場「セビリアの理髪師」より 撮影:寺司正彦
今シーズン最後のレパートリー作品は楽しい『セビリアの理髪師』です。『カルメン』『蝶々夫人』と、シリアスで重たいオペラならではの人間模様を描いた作品が続きましたが、『セビリアの理髪師』は恋の駆け引きを楽しむ明るい喜劇です。後味の良いハッピーエンドなのも初心者には入りやすい作品です。
1960年代後期、フランコ政権時代のスペインが舞台

新国立劇場「セビリアの理髪師」より 撮影:寺司正彦
セビリアは『カルメン』の舞台でもあります。
演出のヨーゼフ・E. ケップリンガーは、舞台はセビリアでも1960年台に設定しました。舞台上には800種類もの小道具が置かれ、色彩あふれるキッチュでポップな60年代の世界になっています。
貴族のアルマヴィーヴァ伯爵が、後見人である医師のバルトロの監視が厳しい両親のいない娘ロジーナを好きになってしまいます。セレナーデを試みるものの失敗。自称「町のなんでも屋」、根っから陽キャの床屋のフィガロに頼んであれやこれやと策を講じ、最後は恋が成就するというお話です。このお話はモーツァルトの『フィガロの結婚』の前日譚ですので『フィガロの結婚』は知っているけれど『セビリアの理髪師』は未経験という方に特におすすめします。
ロッシーニの音楽も美しくキャッチー、序曲は聞いたことがあるに違いありません。アリアはもちろん重唱(フィガロと伯爵、フィガロとロジーナ)、また第2幕の五重唱も耳を奪われる聞きどころです。
期待しかない魅力的なキャスト

新国立劇場「セビリアの理髪師」より 撮影:寺司正彦
フィガロには、新国立劇場オペラに5度目の登場となるロベルト・デ・カンディアが演じます。世界中のオペラハウスだけでなくロッシーニ・フェスティバルに何度も出演している大スターです。2002年に新国立劇場の『セビリアの理髪師』フィガロ役で出演して以来、フィガロ役は久々なので楽しみにされている方も多いことでしょう。
ロジーナに、2020年公演でも演じた脇園彩が登場します。バルトロの妨害にめげず幸せを手にする明るく元気なロジーナを、脇園は溌剌と演じていました。2020年以来、世界の劇場で大役をこなしスケールアップした彼女に期待です。
アルマヴィーヴァ伯爵は2020年にも出演したローレンス・ブラウンリーが演じます。ベルカントの歌い手として大活躍のスターである彼は、アルマヴィーヴァ伯爵はもちろん得意としています。
新国立劇場初登場となるのは、バルトロのジュリオ・マストロトータロ。彼もバルトロを得意としており、この3人が揃った舞台は、まさに今見たいキャストなのです。
他にドン・バジリオに妻屋秀和、ベルタに加納悦子が演じます。
新国立劇場オペラ『セビリアの理髪師』
会場: 新国立劇場オペラパレス
開演
5月25日(日)14:00
5月28日(水)14:00
5月30日(金)18:30
6月1日(日)14:00 託児あり
6月3日(火)14:00
チケット料金:26,400〜1,650円
詳しくは:新国立劇場
この記事へのコメントはありません。