プレビュー:新国立劇場オペラ『椿姫』2024年5月16日(木)~29日(水) 新国立劇場オペラパレス
2024年5月16日(木)〜29日(水)
新国立劇場オペラパレス
『椿姫』
オペラが見たいなら迷わずこれ
今回は「初」が多い注目の人気レパートリー
大人気の『椿姫』
悪者が出てこない悲劇のあらすじ
新国立劇場「椿姫」より 撮影:堀田力丸
新国立劇場オペラのレパートリー『椿姫』はヴァンサン・ブサール演出によるプロダクション。ブサールは世界中のオペラハウスで現代オペラから上演機会の少ない作品、大人気の作品まで手がけ、縦横無尽に活躍している人気の演出家です。この『椿姫』も美しい色使い、モダンな舞台美術、艶やかな衣裳(ブサールが手がけている)で魅了されます。
舞台は19世紀半ばのパリの社交界、高級娼婦ヴィオレッタは田舎の富豪の息子アルフレードの求愛を受け入れ、郊外で二人で暮らし始めます。そこにアルフレードの父ジェルモンが訪ねてきます。アルフレードは二人が本気で愛し合っていることを理解するものの、家名のために身を引いてほしいとヴィオレッタに頼みます。ヴィオレッタはアルフレードの前から姿を消しますが、何も知らないアルフレードは裏切られたと考えてしまいます。誤解が解けるときは、ときすでに遅く、病に冒されているヴィオレッタはアルフレードに他の女性と結婚して自分のことを話して幸せになってほしいと告げ息絶えます。
この作品の原題は「道を踏み外した女」という意味です。それは「娼婦に身をやつした」という意味ですが、もう一つ、今まではしたたかな高級娼婦で多くの男性を手玉に取ってきたのに、アルフレードには本気になってしまったという「プロの娼婦として道を踏み外してしまった」という意味にもとれます。世間知らずで一途な若者のアルフレード、ヴィオレッタの本質である健気さを理解するジェルモン、そして真の愛に生きようと思ったヴィオレッタ、この3人は誰も悪くありません。けれども世間は彼らを許すことなく二人のすれ違いもあり、悲しい結末を迎えることになります。
新国立劇場「椿姫」より 撮影:堀田力丸
見どころはしっかり押さえたい
新国立劇場「椿姫」より 撮影:堀田力丸
幕が開いてすぐのヴィオレッタの邸宅で開かれているパーティでの「乾杯の歌」、ヴィオレッタの「ああ、そは彼の人か〜花から花へ」、第2幕のジェルモンがアルフレードをなだめる「プロヴァンスの海と陸」などは有名です。特に注目して聴いていただきたいのは第2幕、ジェルモンとヴィオレッタによる20分ほどにも及ぶ掛け合いの部分。二人がお互いを理解していき変化していく様子、物語の展開としても重要な場面。劇場がしんと固唾をのんで聞き入る場面です。
新国立劇場「椿姫」より 撮影:堀田力丸
ソプラノ中村恵理が再びヴィオレッタで登場
通のファンにも楽しみなキャストが組まれています。ヴィオレッタ役のソプラノ、中村恵理は2022年に続きヴィオレッタとして登場。2022年は代役で舞台に立ち、大変評判となりました。彼女は新国立劇場オペラ研修所出身。バイエルン州立歌劇場専属歌手を2010〜2016年までつとめ、英国ロイヤルオペラ、ベルリン・ドイツ・オペラ、ウィーン国立歌劇場など超一流のオペラハウスにデビューしています。新国立劇場の開場以来、シーズン公演でヴィオレッタを歌った最初の日本人歌手です。大注目です。
アルフレードにはイタリア出身のテノール、リッカルド・デッラ・シュッカ。2022年に兵庫県立芸術文化センター『ラ・ボエーム』のロドルフォで出演しています。新国立劇場初登場です。
ジェルモンはベネズエラ出身、エル・システマ(ベネズエラで行われている、公的融資による青少年育成目的の音楽教育)で音楽教育を受けたバリトンのグスターボ・カスティーリョ。彼も2022年兵庫県立芸術文化センター『ラ・ボエーム』のマルチェッロで出演しています。新国立劇場初登場です。
指揮者も新国立劇場初登場です。作曲もするイタリア出身のフランチェスコ・ランツィロッタが指揮をします。
レパートリー作品を存分に楽しめる、意欲的なキャストに期待が高まります。
左上:指揮フランチェスコ・ランツィロッタ ヴィオレッタ:中村恵理
左下:アルフレード:リッカルド・デッラ・シュッカ ジェルモン:グスターボ・カスティーリョ
新国立劇場「椿姫」より 撮影:堀田力丸
2024年5月16日(木)〜29日(水)
新国立劇場オペラ『椿姫』
会場:新国立劇場オペラパレス
開演
6月16日(木) 19:00
19日(日)14:00
22日(水)14:00 託児サービスあり
25日(土)14:00
29日(水)14:00
会場: 新国立劇場オペラパレス
チケット料金
29,700円〜1,650円
詳しくは:新国立劇場
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