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2022年11月11日(金)〜13日(日)モンテカルロ・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』東京文化会館

2022年11月11日(金)〜13日(日)
モンテカルロ・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』
マイヨーが手がけるシェイクスピア作品、待望の日本初演

©️Alice Blangero

バレエにゆかりのあるモンテカルロ

クリックで拡大 ©️Alice Blangero

モナコ公国のモンテカルロ・バレエ団が7年ぶり8度目の来日を果たします。

モンテカルロは、今日のモダン・バレエの基礎を作ったバレエ団「バレエ・リュス」の本拠地となったことで知られています。

1929年にセルゲイ・ディアギレフが亡くなりバレエ・リュスは解散、関係者は世界中に散らばり、それぞれバレエ・リュスの系統であることを名乗って活動しはじめます。1931年にはモンテカルロにバレエ・リュス・ド・モンテカルロという後継団体が発足するのですが、1951年にはついにバレエ・リュスは完全になくなってしまいます。

1985年にモナコ公国のカトリーヌ公女がモンテカルロ・バレエを復活させました。そして1993年に鬼才の振付家、ジャン=クリストフ・マイヨーがこのバレエ団の芸術監督となったのです。

現在は、モンテカルロ・バレエ、名門バレエ学校として名高いプリンセス・グレース・アカデミー、モナコ国際ダンスフォーラムが一つの組織として統合され、モンテカルロは重要なバレエの拠点、情報発信地となっています。

唯一無二のカンパニーに育てたマイヨー

ジャン・クリストフ・マイヨー Photo: Félix Dol Maillot

マイヨーは類まれなセンスの持ち主で、古典文学や童話に材をとりながらも、独自の世界観で全く見たことのない舞台を作り上げてしまいます。
それは少し近未来的で幻想的、ときどき官能的。透明感があってひたすら美しい世界。それでいてとてもわかりやすいというのも魅力で、彼の作品は日本でも人気が高く、たくさん上演されています。

ダンサーを伸びやかで美しく見せる振付にも注目です。彼の作品を踊りたいと、世界中からダンサーが集まり、モンテカルロ・バレエは世界有数のカンパニーとなりました。
日本人ダンサーは現在、小池ミモザ、田島香緒理が所属しています。

使用音楽に注目

マイヨーは『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』に続いて3度目のシェイクスピア作品として『じゃじゃ馬馴らし』を取り上げ、2014年、ボリショイ・バレエにて初演しました。
これを自分のカンパニーで上演するために2020年に来日するはずだったのですが、中止となってしまったのです。今回、ようやく日本でお披露目がかないます。

逃げるキャタリーナと追うペトルーチオのスピーディな前半の展開から、夫婦となった二人の心が徐々に通い合うようになっていく、という繊細な気持ちの変化をマイヨーは丁寧に描き、美しいハッピーエンドを見せてくれるのです。

 今回、マイヨーの演出に大いに貢献しているのがショスタコーヴィチの音楽です。
ショスタコーヴィチの映画音楽『女ひとり』『馬あぶ』『ハムレット』などのほか、ジャズのスタンダード・ナンバー『二人でお茶を』を管弦楽に編曲した『タヒチ・トロット』まで登場します。マイヨーのこの選曲のセンスには脱帽です。

ショスタコーヴィチというと、彼の作曲活動を取り巻く時代と地域に関する数々のエピソードのせいでどうしても「重い」という印象を持ってしまいがちです。でも、『交響曲第7番』第1楽章はテレビのCMに使われ、『セカンド・ワルツ』も非常に人気が高いです。

実は彼の音楽にはリズムがシンプルでキャッチーな要素があり、加えてユーモアと品格もあります。マイヨー作品のように洗練されていておしゃれな作品でショスタコーヴィチの曲を使用すると、作品は一段とセンスアップし、彼の音楽も素晴らしく魅力を発揮するのです。
マイヨーのおかげでショスタコーヴィチの音楽の再発見をするかもしれません。

マイヨーが手がけるコメディを日本初演作品で楽しめる絶好の機会です。お見逃しなきよう。


モンテカルロ・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』
2022年11月11日(金)~13日(日)
会場:東京文化会館

開演:11日(金)19時、12日(土)13時、17時、13日(日)13時
★ チケット料金
5000円〜17000円

詳しくは:NBS


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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