プレビュー:2023年7月1日(土),2日(日) 牧阿佐美バレヱ団『三銃士』新国立劇場

2023年7月1日(土),2日(日)
牧阿佐美バレヱ団

『三銃士』

一人はみんなのために、みんなは一人のために
バレエで楽しむ痛快冒険活劇

意外な文学作品がバレエに


アレクサンドル・デュマ・ペール原作の『三銃士』は、『王妃マルゴ』や『モンテ・クリスト伯』などと並びデュマの代表作の一つです。稀代のストーリーテラーらしく史実も巧みに盛り込んだ、ハラハラドキドキの冒険活劇となっています。アニメや映画にもなっていますね。

『三銃士』はダルタニヤンという王子様でも大貴族でもない田舎の無名の青年が主人公です。ポルトス、アトス、アラミスというダルタニヤンの仲間たちも出てきますが、全員男性。この作品は、主要登場人物がほとんど男性なのです。


例えばデュマの息子であるアレクサンドル・デュマ・フィスが書いた『椿姫』はまさにバレエにぴったりな題材ですが、『三銃士』がバレエに向いていると思う人はあまりいないのではないでしょうか。
ところが、『三銃士』は複数の振付家によってバレエ化されているのです。1980年に演出・振付家のアンドレ・プロコフスキーが、ヴェルディの曲を使用してバレエ作品にし、オーストラリア・バレエで初演されました。

このプロダクションを唯一日本で上演しているのが牧阿佐美バレヱ団です(1993年初演)。2019年以来、4年ぶりの上演となります。

男性が活躍する楽しさ


古典バレエでは、男性はあくまで女性を引き立たせるナイト的役割を求められます。カーテンコールでも必ず男性は女性を前に出し、自分は女性の一歩後ろにいますね。

そんな彼らが生き生き動き回れる作品の代表が『海賊』でしょう。ユーリ・グリゴローヴィチ振付の『スパルタクス』も男性ダンサーが活躍しますが、ボリショイ・バレエのレパートリーで他のカンパニーでは上演されません。そんなわけで、『三銃士』は男性ダンサーが思い切り舞台で飛んで跳ねて剣さばきを披露できる稀有な作品なのです。

テクニックに強く、それぞれの役柄の個性を明確に表現できる優秀な男性ダンサーがたくさんいるハイレベルなカンパニーでないと上演できません。

登場人物の相関関係を予習する


主人公は立身出世を願い都会に出てくる青年、ダルタニヤンです。そしてのちに仲間となる三銃士、ポルトス、アトス、アラミスの3人。立ち居振る舞いや衣裳もかっこいいです。

ルイ13世とアンヌ王妃、アンヌ王妃と密かに愛し合っているバッキンガム公爵(美男子という設定です)、アンヌ王妃の侍女であるコンスタンス(ダルタニヤンと恋に落ちます)がいます。さらに、王妃を陥れようとするリシュリュー枢機卿、枢機卿の護衛隊長ロシュフォール、そしてリシュリューに服従しているミレディという女性が出てきます。

カンパニー総出演でフランスの宮廷で繰り広げられるロマンスあり陰謀ありの壮大な物語。決闘シーンなど男性ダンサーが大活躍する見応えたっぷりの『三銃士』をお見逃しなく。

舞台画像|牧阿佐美バレヱ団 撮影:鹿摩隆司


2023年7月1日(土),2日(日)
牧阿佐美バレヱ団
『三銃士』
会場:新国立劇場 中劇場

開演
1日(土) 16:00
2日(日) 15:00

★ チケット料金
13,000円〜7,000円

詳しくは:牧阿佐美バレヱ団


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エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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