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プレビュー:英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン『白鳥の湖』6月14日(金)~20日(木)公開 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24

2024年6月14日(金)~20日(木)TOHOシネマズ 日本橋ほか一週間限定公開
『白鳥の湖』

カンパニーのトップ二人が主演
際立つ豊かな表現


© Andrej Uspensksi

レパートリーとして定着した
スカーレット版

2018年に31年ぶりの新演出で上演された『白鳥の湖』は、衣裳も舞台美術も一新し大評判となりました。振付を手がけたのはカンパニーの常任振付家、弱冠31歳のリアム・スカーレットでした。英国ロイヤル・バレエの古典バレエは、他の追随を許さぬ豪華絢爛さ、品格が特徴です。21世紀のプロダクションであっても、その堂々たる重厚なおとぎ話の世界を舞台上で作り上げるマジックは健在で、ため息が出るほど美しい世界を見せてくれます。今回再びスクリーンでこの舞台を鑑賞できるのは嬉しいかぎりです。

悲劇性が強く、よりドラマチックに

© Andrej Uspensksi

第1幕では王子の友人たち、男性一人(ベンノ)と女性二人によるパ・ド・トロワが見どころのひとつです。スカーレット版ではこの女性二人が王子の妹という設定になっています。他の版よりもベンノとは友情で結ばれた絆が感じられ、姉妹二人の存在感も大きいです。さらに、ロットバルトは王座を狙う女王の側近という立場で、ジークフリートのそばにいることが多いです。

第2幕、第4幕の湖のシーンはとても静かで暗さが感じられ、一貫して悲劇性の強いとても悲痛な雰囲気に満ちています。

作品の世界観を実現する
舞台美術と衣裳

©2022 ROH. Photographed by Tristram Kenton

英国ロイヤル・オペラ・ハウスの上演作品はどれも舞台美術と衣裳が秀逸なのですが、この『白鳥の湖』も大変現代的でかつ作品のダークな世界観をよく表しています。

第2幕と第4幕、湖のシーンの空に浮かぶ大きな月と、月が出ているのに暗い森、おとぎ話ならではの豪華な宮廷など、舞台美術に目を奪われます。さらに衣裳、王女の姉妹は第1幕のパ・ド・トロワではグレーを基調としたドレスを着ています。このドレスが地味ではなくプリンセスらしい美しさを演出しています。他の人物たちもとてもシックな装いで、品格を感じさせます。第3幕、4カ国の王女と側近たちの衣裳も抑え目な色調、それでいて華やかさを失わないとても品性のある格調高い衣裳です。ロットバルトの特徴的なメイクもスクリーンでの鑑賞ならではでしっかり細部まで見ることができます。舞台美術、衣裳にもぜひご注目ください。

素晴らしい主役の二人

『白鳥の湖』は実はとても内省的で、主役のジークフリート王子の妃選びをしなければならない葛藤と憂鬱、永遠の愛を捧げる相手に巡り会わないと(しかも両思い)人間に戻れないという呪いから逃れられないオデットの悲しみを青白い炎のようにずっと表現しなければなりません。さまざまな版があり、結末はハッピーエンド、アンハッピーエンドの両方がありますが、スカーレット版は悲しい結末を迎えます。そして物語に寄り添うチャイコフスキーの音楽は美しく、主役を演じるのは、よく知られた物語であること以上に、とても難しい作品です。

オデット/オディールのヤスミン・ナグディはオデットとオディールの演じ分けのバランスが素晴らしく、オディールの32回のグラン・フェッテでは強い意志を感じさせ、オデットもメソメソしているだけでないジークフリートへの思いを感じさせます。ジークフリートのマシュー・ポールはコントロールの効いた技をサラッとこなし、かつナグディとのパートナーシップも密でさすがです。

オデットが人間の姿に戻るには死しか選択がないと悟り、悲劇の結末へと突き進む二人の運命を劇場で見届けましょう。

©2022 ROH. Photographed by Tristram Kenton


6月14日(金)~ 20日(木)TOHOシネマズ 日本橋ほか1週間限定公開
英国ロイヤル/オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24

『白鳥の湖』

開演
各劇場による

チケット料金
一般・シニア 3,700円
学生・小人  2,500円

詳しくは:東宝東和



エディター・ライター 出版社勤務を経てフリーランスのエディター、ライターとして活動中。 クラシック音楽、バレエ、ダンスを得意ジャンルとする。

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